みんな辛いことだってあると思う。
それには色々な理由がある。
家族関係や友人関係。
お金のトラブル、DV、
そしていじめ。
私がその高校に合格したのは数ヶ月前
みんなザワザワしながら歩いていた。
「友達できるかな、」
「楽しみだなぁ」
そんな声が聞こえる。
ここの高校はあまり偏差値が高くない。
だからといって不真面目な訳でもない。
(どっちでもいいんだけど)
はぁ、とため息をつきながら入口に入った。
「えぇっと……1のー、A、かな」
どうやら私の組は1-Aらしい。
(中学の頃の友達もいたし、まぁあたりだろ)
(馴染めるか不安だけど、自分なりにがんばろ)
そう思いながら足を進めた。
教室に入ると結構人がいて、中学の頃の友達、春がいた。
「あ、流夏じゃん!」
「春、おはよ。同じ組だね。よろしく」
軽く挨拶を交わしてから席に着く。
(今のうちに友達でも作っておかないと。)
うーん、と悩んでいたとき、先生が教室に入っていった。
「みんな集まってるかー、HR始めるぞ」
いや私の前の席の人居ないんだけど。
事情があるのか?まぁいいや、気にしないでおこう。
「出席とったあと自己紹介するからなー」
先生が言うとみんなは「えー、」とか「めんどくさーい」だとかぐちぐちいっていた。
その時、ガラッと勢いよく扉があかれ、綺麗な黒髪が靡いて見えた。
「す、すっすみませんっ。おっおお遅れましたっ。」
しどろもどろな声を出す正体は、髪が肩くらいまで伸びた女の子だった
どうやら前の席の子のようだ。
一瞬教室内が静まり返り、その後ひそひそと何かを話すこえが聞こえた。
「ねぇ、あの子やばくない?」
「遅れるとかありえないんだけど笑」
どれもみんなあの子を小馬鹿にするようなことばかりだった。
その子はおどおどしながら席につき、後ろの席の私に声をかけてきた。
「ご、ごめん、きゅ、急に話しかけちゃって。せっ、先生何かじゅ、じゅ重要な話とかしし、してた?」
突然話しかけられてびっくりしたが、仲良くなるチャンスだと思い、私は返事をした。
「ううん。特に何も。」
「そっか……。あ、ありがとう」
チャンスだと思った割には会話が続かない。まーそりゃそうか、初めて会うんだし。
「全員揃ったところで、自己紹介してくれ」
先生がそう言うと、ざわざわしながらも自己紹介を始めていた。
「~~~です。趣味は〜」
1人が言い終わると軽く拍手され、次の人も言い始めた。
どんどん流れていき、ついに前の席の子になった。
「れ、礼野、ふっ冬音…です、え、えぇっと、」
所々どもっていて、みんなに笑いが起こる。
「ちゃんとしろよ笑」
「ちょっと不気味ー」
なんなんアイツら、別にどもってもいいじゃんか。
イラつきながらも自分の自己紹介をする。
「柳井流夏です。趣味は〜〜~です。よろしくお願いします」
自分の自己紹介が終わって拍手されると、
先生が
「自己紹介終わったな、じゃあ次の授業の準備でもして待つように。」
そういって教室を出ると、わいわいと賑わう教室の中。
クラスの人達に話しかけられたり、話しかけたりする中で、前の席の__礼野さんはみんなから避けられていた。
気の毒だな。と思い、
「確か、礼野冬音さん、だよね?」
「!!!うん、あ、は、は、はい」
「敬語じゃなくていいよ。同い年なんだし。1年間よろしくね。」
「う、うん。!よ、よよよろしくね!」
よし、1人は話し手ゲット。これで1人にならなくてすむ。どうせ人間なんてこういうもの。
ひとりじゃないと生きていけない。
(相変わらずクズ思考だなー…)
まぁ本当のことだからな。
意外と私も声をかけられ、友達と呼べる仲の子も出来た。
その中に、礼野さんのことを睨んでいた子がいた。
名前はー、えーっと、なんだっけ?
いかにもギャルみたいな見た目してた人。
多分いじめるんだろうなー、礼野さんのこと。
偏見は良くないけど、なんかそういう気がする。勘はよく当たるほうだ。
あの子にいじめられたら礼野さんは私に助けを求めるのかな。
どうやって助けよう。
どうやって。
………こういう妄想は良くない
やめておこう。
その後1時間目が始まったりしていた
ぼーっとしていたから分からなかったけど。
礼野さんとはちょくちょく話すようにもなった。難しいねーだとか、いい天気だねーだとか。
礼野さん、喋るのが苦手なのかそういう病気なのか分からないけど、どもってたんだっけ。
……。あの子の口から言われる日を待とう。
放課後のチャイムが鳴る。
もう終わりか、あーあ、疲れた。
下駄箱から靴を取り出したとき、後ろで聞き覚えのある声がした。
「あ、あれ、?」
礼野さんだ
「礼野さん、どうしたの?」
「わ、わわわ私の、くくくっ靴がな、なくて……、」
「え、それやばいじゃん」
あー、始まった。まぁ予想通りではある。
「帰れないよね、どうしようか。」
「っ、わ、わわ私、は、だだっ、大丈夫、だ、っかか、ら、」
「さ、ささ先っ、かっか、帰ってて、い、いいいいよ」
「でも」
「大丈夫!!!」
……。びっくりした。こんな大きな声でるんだ。礼野さん。
「そっ…か。」
「じゃあ先帰ってるね」
「……。う、ん」
礼野さん、凄い傷ついた顔してたな。
まぁそりゃ虐められてるんだし当然か。
…、いや、あの顔は
自分に失望してる顔、っぽいよな。
その日の夜はあまりねむれなかった。
礼野さんのことも気になるし、どうしてあんな顔をするのか。
明日、聞いてみようかな。
いつも通りに起きて、支度をして学校へ行く。
教室に入れば、ある程度のグループが出来ていた。
軽くみんなと挨拶を交わしてから席に着いたが、礼野さんの姿が見当たらない。
どうしたものか。
少ししたあとに先生が教室に入ってきた。
よし、先生に聞いてみよ。
「せんせー。礼野さん居ないんですけどどうしたんですか。」
「あー、礼野か。今日は休みらしいぞ。だが理由を教えてくれなくてな。」
「…。そうなんですね。ありがとうございました。」
どうしたんだろ。礼野さん。
もしかして学校行きたくなくなったか?
なんでもいいんだけど。
その時、スマホが音をだした。
メッセージ?誰から……
礼野さん、だ。
○○マンション
屋上
きて
なにこれ。来いって言うこと?
私いま学校にいるんだけど。
どーすればいいこれ。
…………
行くか。
「せんせー、ちょっと具合悪いんで早退します。」
「は?、ちょ、おい!」
ふぅ、何とか抜け出せた。
ええっと、○○マンションか
着いた。
礼野さんの姿が見える。
「ね、ぇ。」
「や、柳井、さん」
「わ、わわ私、」
「き、ききっ吃音っ、ていう」
「び、び、びょう、き、なんだ、」
「、うん」
「そ、そのせ、せせい、で」
「ちゅ、ちゅうがく、のこっころ虐められて」
「そっ、そのまま高校にい、ぃった、の」
「うん」
「も、もも、もう」
「つらい、よ」
「うん、」
「だから、さ」
「いっしょに」
「しのう、よ」
「……は?」
なにを言っているんだこの人。
正気か?
どうして私も死ななければいけないのか。
どうして私も。
私は。
死にたいなんて。
あれ
なんで
否定できないんだ
死にたくないはず、なのに。
礼野さんだから……か?
「だ、だだ、だめ?」
「………………。ううん、いいよ」
そうすると礼野さんはにんまりと笑い、私を引き寄せた。
「こ、ここ、これでいっしょ、だね……」
「…うん。」
浮遊感。
なにも
聞こえない。
薄れゆく意識の中で、礼野さんの声だけがはっきりと聞こえた。
やっと
私だけのものになった
コメント
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言っておきますとこれ2年前くらいに書いたやつなんで結構痛いです
あ!吃音だ! すげ〜✨尊敬するわー