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あなたは、もし、“この世界”が
存在しなかったら。
今のあなたは、しっかり“あなた”として
生きていけると思いますか?
『はい』なら、
この先へと進んで、
『いいえ』なら、
今すぐに引き返してください。
“この世界”って?
何をとぼけているのですか。
ほら、さっさと選んでください。
「この広い世界の頂点で。」
第一章 ‐ 離れ離れ ‐ 1
───────♪
パソコンの画面に写っているのは、
俺の憧れの人、
「玲翔 琉梳(れいと ると)」さん。
琉梳さんは、モデルだ。
背も高くて、スタイル抜群。
俺もこんな人になりたい。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
今日もめっちゃ綺麗です!!
めっちゃ憧れてます!!!
これからも頑張ってください!!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
こんなことを言うのも悪いけど、
玲翔さんはそれほど人気じゃない。
だからこそ───
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
おー!清川さん!!
今日もありがとうございます!!
憧れてくれてるなんて嬉しいですわぁ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
認めてもらえる。
いわゆる認知ってやつだ。
俺は、玲翔さんからの返信が
嬉しくてたまらなかった。
そしてある日──
ぴこん。
ky「まじで送っちゃった…。」
思い切って玲翔さんにDMを送った。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
玲翔さんDM失礼します!!
清川です!!
俺、ずっと、モデルの玲翔さんに
憧れてて…!!
弟子にしてくれませんかっ!!
あと俺のことはキヨって呼んでください!!
突然すみません!!!
本当にすみません!!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
送った後に、
こんなん、断られるに決まってるだろ…
とため息をついた。
「!」が多くて自分でも少し苦笑いする。
メッセージを消そうとすると既読がついた。
もう取り返しがつかない…。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ご連絡ありがとうございます!
じゃあ…キヨさんと呼ばせていただきます。
“清川 竜也(きよかわ りゅうや)”さん。
それで、モデルの件なのですが…
とりあえず一回、会ってみませんか?
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
心臓が飛び出しそうになった。
あっちから誘われた…
会える…推しに……!?
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ありがとうございます!!
大ファンです!!
“玲翔 琉梳”さんのことが
ずっと大好きで…!
あの、レト先輩…って
呼んでもいいでしょうか!!
もうずっとこれが夢で、
叶って嬉しいです!!!!!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
嬉しさと同時に、不安が込み上げてきた。
あの玲翔さん、だぞ…?
ファンの人と会ってるって見られたら…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
あ、あの!
俺一応玲翔さんのファンですけど…
ファンの人と、そんな気軽に会って
大丈夫なんですか…?迷惑とか…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
全然大丈夫。
俺、ぜんっぜん人気じゃないねんし!(笑)
傍から見たらただの友達〜みたいに
見られると思うで、(笑)
あとレト先輩って呼び方、最高。
その呼び方されるの嬉しいわぁ〜
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
急なタメ口にドキッ、とする
…玲翔さんに会えるんだ、俺…
━━数日後━━
ky「えぇっと…ショッピングモールの…」
ky「っあ、いた!!」
俺は玲翔さんを見つけ、小走りで寄る
ky「れ、レト先輩!」
rt「…!お、キヨくん」
ky「こんにち………」
…え?
……キヨ“くん”…?????
俺は思わずかぁぁ、と顔が赤くなる
rt「あれ、どしたん、w顔真っ赤やで?」
ky「き、キヨ“くん”ってなんですか!!」
rt「いやぁ、なんか“さん”だと堅苦しいかな、て」
ky「いやいやいやいやいや!!!」
そんなことありませんよ!!
さん呼びでいいです!!!
ky「すっっごい嬉しいです!!!」
rt「あらまぁ、心の声出とるなぁ」
ky「あ」
何してんだ俺のバカ
rt「ふふ、w…意外と天然やなぁ」
ky「て、天然じゃないです!!!」
rt「はいはい、wほんじゃ、
適当にカフェでも行きますか」
ky「は、はい!!」