ruwn・wnru(恋愛表現はありません)
学パロです
『絶対敵対メチャキライヤー』という曲の曲パロです
(お二人で歌ってみたを出しているのでぜひ聞いてください、最高です)
ご本人様方とは全く関係ありません
ここから先は伏せ字なし
「あれ、ウェンお前身長171?ひっく〜」
「はぁ!?うるさいな、てか2センチしか違わないだろ!」
「いや俺の方が高いから、言い訳乙」
「お前それは言い過ぎだろぉ!!」
「あっれぇ?ロウきゅん24点?ひっくぅ〜!」
「うるっせぇな、お前何点だよ」
「62点だけど?もー、赤点なんか取ってないで社会の役に立てよはやく!」
「だからそれは言い過ぎだろうが!」
出会えばすぐそんなやり取りをし、ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てて周りを呆れさせる二人。一人は勤勉で真面目な生徒会長、もう一人は勉強が苦手で校則を破りがちな不良生徒。
そんな正反対な二人が繰り広げる争いは、言うなればどんぐりの背比べのようなものであった。
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「くっそ、遅刻する…!」
薄花色の髪を後ろに靡かせている男子生徒は___小柳ロウはいつものごとくドタドタと廊下を走っていた。予鈴が鳴ってからしばらく経ったからであろう、普段はがやがやと賑わっているのに対し今はしん、と静まっている。
そんな光景を前に小柳はほくそ笑んだ。誰も居ないということはどれだけ走り回っても何も言われない、と思って。
そのはずだったのだが、突然後ろからダン!と聞いたことのないほどの大きな音が聞こえ思わず足を止める。度肝を抜かされた小柳がゆっくりと振り返ると、そこには息を切らせやっとのことで壁に手をつき寄りかかっている生徒会長__赤城ウェンの姿があった。
「はぁっ、はぁっ……やっと追いついた……そこの君止まりなさい!」
ぜいぜいと肩で息をしながら覚束ない足取りで小柳のもとへ向かう。その姿を見ている小柳は勝った、とでも言うようにニヤリと笑った。そのまま無視して走り出そうかとも考えたが流石に大人気ないか、と思いゆっくりと歩き始める。そんな彼を見て赤城は目を見開き、残り少しの体力を振り絞って走り鞄の持ち手を掴んだ。
「だから止まりなさい!」
思いの外強い力で引き寄せられたため後ろに体が傾く。すんでのところで足を踏みしめチッ、と聞こえるように舌打ちをして鋭い視線を向けた。
「危ねぇな、転けたらどうすんだよ」
「君が走るのが悪いでしょ!校則ちゃんと守ってよね」
「うるせぇな急いでんだよ…こんな不良にまで注意するとかお前暇なの?」
未だに掴まれている持ち手を強く引いて赤城の手を引き剥がす。突然のことで今度は彼がよろめいた。
「悪いけどお前に構ってる暇はないんだわ、じゃあな」
ひらひらを手を振りその場をあとにしようとするがその手は赤城に掴まれた。掴んでは離し掴んでは離し、こいつは本当に暇なのかと恨みがましい視線を送る。
「あのさぁ、話聞いてる?風紀を乱すなって言ってんの」
引き攣った笑顔で言う赤城に苛立ちを覚える。しかしそれを態度に出すのはなんとなく悔しくて、こちらは笑って舌を出し
「あーはいはい分かりましたよ生徒会長さーん」
などと言ってやった。
そんな小柳を見て赤城は「お前聞く気無いだろ!マジで嫌いなんだけど!」とキャンキャン吠えている。俺も嫌いだわばーか、ともう一度舌を出した。
赤城はわなわなと震えてまた口を開いたが、言葉を放つ前に「お前ら!!もう授業始まるぞ、早く教室に入れ!!」と担任の怒号が響き渡った。
「あ、はーい、ごめんなさぁい……」
「……っす」
辺りを見渡してみると他のクラスの生徒がくすくすと笑っているのが窓越しに見えて、二人で顔を赤くして教室に向かう。そんな中でもお互いを睨み火花を散らしていた。
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昼休み、後ろに腕を回してどかっと椅子に座っている小柳は横目で赤城を見ていた。ガリガリとペンを走らせノートが黒色で埋まっている。一体何のためになるんだ、と溜息をついた。
すると、突然赤城ががたんと音を立てて椅子から立ち上がって小柳の方へ向かい、勢いよく机に両手をついた。
「あのさぁロウくん?校則破んないでくれるかな?」
青筋を立てて言う赤城に多少意表を突かれたが、落ち着いて見てみるとなんだか面白くなってきてにやりと笑ってみせた。
「はぁ?お前ちょっとルール破ったくらいでキレすぎだろ」
「ちょっとじゃないんだけど?シャツは出てるわ、ネクタイは緩いわ、どんだけ破ったら気が済むの?」
「あーあーうるせ、ほんとしつこいなお前」
しっしっと手を振ると、また赤城は口元を引き攣らせて怒りを覚えているようだったが自分を煽る小柳を見て少し冷静になったのだろうか、今度は彼がにやりと笑ってみせた。
「学習しないねロウくんは、ほんと親の顔が見てみたいわ〜」
半笑いで肩をすくめる赤城。それが癪に障り怒鳴ってやりたい衝動に駆られた小柳だったが、そんなことをしてはかえって彼の思う壺だな……と口を閉ざした。
「あーそうですか、俺に構ってる暇あるなら勉強でもしてれば?」
「別に言われなくてもしますし〜!ていうか今度したら絶対許さないからね」
「はっ、どうせ止められねぇ癖によく言うよ」
バチバチと火花を散らしながら睨み合っていると今度は前方からダァン!と大きな音が聞こえた。二人でびくりと肩を跳ねさせそちらを見ると顔を真っ赤にした教師が教壇に両手をついている。
「お前ら……仲良くするのは良いが少しは静かにしろ!もう授業始まるぞ!」
本日二回目の耳をつんざくような怒号が教室に響き渡った。周りはくすくすと笑っていたり巻き込まれないように目を逸らしていたり様々だ。ひとまず怒りを収めようと謝罪しようとしたが、はたと動きを止めた。
……仲良し?俺らが?
赤城も同じことを思ったのか、二人で顔を見合わせぐるんと勢いよく顔を前へ向ける。
「先生、別に僕ら仲良しじゃないんですけど!」
「そうっすよ、変なこと言わないでください」
「つべこべ言うな!とにかく静かにしろ!!」
また両手を机に叩きつけ大きな音が響く。やらかした、と直感で悟り小柳は顔を伏せ赤城は早歩きで席へと戻った。
「全く、」と教師が溜息を付き後ろを向いた瞬間、二人は同時に顔を上げお互いを見やり睨み合う。そんな一連の動きがシンクロしてしまって面白くなり同時にぶっと噴き出した。
その瞬間射るような眼差しを感じて赤城は背筋を伸ばし、小柳はばつが悪そうに視線を逸らしたのだった。
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放課後、朝とは正反対に人が集まっている廊下を早く帰りたいという一心で駆ける小柳。人の居ない少しの隙間をするすると通り抜ける姿はまるで忍者のようだ。
「止まりなさいそこの不良生徒!!」
すると聞き馴染みのある声が聞こえげっ、と顔をしかめる。後ろを振り返ると予想通りの人物__赤城ウェンがいた。朝と同様に息を切らした彼に小柳はにんまりとした笑みを浮かべる。
「だから廊下は走るな、って……何笑ってんの」
「いや、昨日は言わなかったけど……お前さぁ、散々俺に廊下走んなって言ってたよな?なのにお前が走っちゃって良いんですか〜?」
その言葉にぎょっとする赤城と口元に手を当てて笑う小柳、そして壁には『ろうか走るな!』と大きく書かれた張り紙。その公式が作り出すものは赤城の逆鱗に触れるには十分で。
「なぁどうした優等生、そろそろ負けを認めるかぁ?」
その言葉に赤城はわなわなと肩を震わせ近傍にあった紙をぐしゃりと握り潰し、苦虫を噛み潰したかのような顔で小柳を見やった。表情に獣のような怒りがギラギラと光っている。
「ロウくんさぁ……全く反省してないみたいだね」
「ふはっ、お前顔真っ赤じゃん…頭に血でも上ってんの?」
瞬間、赤城は腕を大きく振り上げて紙を投げ捨て拳を震わせた。
「もう怒った、今日こそは絶対許さないから!!」
「はっ、捕まえれるもんなら捕まえてみろよ」
その言葉を合図に二人は走り出した。周囲で驚いたり笑ったり呆れたりしている人達のことなど見もせずに。彼奴等何してんだ…とか、お前らいい加減にしとけよ〜とか、色々な声が聞こえてくるがそんなことは気にしていられず、お互いに目の前の一つの敵のみを見ている。
そんなこんなで走り続けているといつの間にか大勢の生徒で溢れ返っていた空間を抜けており、眼前には先ほどとは裏腹に誰も居ない廊下。朝と概ね同じ光景に少し胸が高鳴った。楽しい、とでも言うように心臓がどくどくと鼓動を打っている。
「おまっ、逃げ足だけは速いなぁ!」
「あっれぇ?ウェンくん遅いねぇやる気ある?」
べっ、と舌を出して赤城の方を見ると彼は「てっめぇ〜……!」と怒りを露わにし、小柳はまたにやりと笑って走り続ける。
突然どたん!という音が辺りに木霊した。小柳はぅおっ、と情けない声を出して後ろを見るとそこには床に倒れ伏している赤城ウェンの姿があった。
「は、おま…大丈夫か?」
流石に無視するのは可哀想かと思い手を差し伸べると赤城はその手を強く引き寄せた。突然の出来事に対応できず小柳もまた床に転がる。
「いって!?何すんだよウェン!」
「敵に塩を送るのが悪いじゃん?優しいのは良いことだけど〜」
「くっそ、人の厚意を無下にしやがって……!」
ギロリと音がつきそうなくらいに赤城を睨むが、彼はしてやったり、というような表情を浮かべている。小柳はというとそんな彼に腹が立ち悪態をつこうとしたが、その前にゴン!という音が響き同時に頭に重い衝撃が走った。
「いったぁ!?」
「いって……!」
痛みが走る頭を抑えて顔を上げるとそこにはまた顔を赤くした教師が。今日はこんな光景ばっかだな、と呑気な考えが頭をよぎった。
「お前らなぁ…何回言わせれば気が済むんだ!次やったら反省文書かせるからな!!」
それだけ言うとずかずかと効果音がつきそうな大股でその場を去っていく。まだ痛みが残る頭を抑えながら小柳は傍らの赤城に視線を移すと、そこには自分と全く同じ格好をした彼が居た。同じように頭を抑え、同じように小柳を見ている。
そんな奇抜な光景に耐えられなくなり小柳はぶはっと噴き出した。赤城もまたそんな彼を見て噴き出してしまう。
「ウェンお前っ、早く起き上がれよ!」
「それはロウくんもでしょー!ったくもう……」
少々痛みが落ち着いた頭から手を離し床について勢いよく立ち上がる小柳。そのまましゃがんでいる赤城を指差して口を開いた。
「お前のせいで怒られたんだけどどうしてくれんの?」
「なっ……はぁ!?」
刹那に叫んだ絶叫が轟く。
「いやロウくんが廊下走るからでしょ!?そのせいで僕まで怒られたんだけど!」
同じように立ち上がってお互いを指差して争いを繰り広げる。こいつにはどうやったら勝てるか、と二人は思考を巡らせていた。すると何かを思いついたであろう赤城がぽんと手を打つ。
「じゃあさ、今から僕の家でホラゲしよーよ!叫ばなかったほうが勝ちね」
「やんねぇよ、俺は早く帰りてぇんだ」
「ふーん、怖いんだ〜」
「はぁ?怖いとかじゃねぇから」
腕を組みそっぽを向いて言う小柳の肩に赤城は腕を回し「じゃあいいじゃん!決まりね!」と言ってそのまま腕を引いて走り出した。つんのめって転びそうになる小柳だったが、腕を強く引かれかろうじて転倒を免れる。
「危ないなぁロウくんは、しっかりしてよね」
「お前が引っ張るからだろうが!つーかもっと速く走れねぇのかよ」
「はぁ!?文句言うなら自分で走ってよ!」
「置いてくことになるけど良い?」
「こいつぅ〜……!」
例の如く睨み合いバチバチと火花を散らす二人。彼らの決着はいつ、どこで、どうやって付くのか。
それは誰にも分からない。
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