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今日は、なんだか類との距離が遠い気がする
別に物理的な距離ではなく、心の距離が
一緒にいて、さらには口数も多くなっている気がする…なのに
ふとした時の表情が…態度が
そうではないと言っているような気がしてならない
先程寧々に相談してみたら、「そう?あんたらいつもと同じどころか、もっとイチャイチャして見えるんだけど」
と、言われてしまった
イチャイチャ?はしていないと思うのだが…
――「司くんは〜…類くんの事が大好きなのね〜」
――「私…には…もっと…素敵な…………」
昨日、ルカに言われた事が引っ掛かる
大好きのもっと素敵な…?
意味が分からない
そうしてうんうん悩んでいたら、類がやって来た
「司くん、そろそろ本番だよ」
「準備は出来ているかい?」
「っ…ああ!準備万端だ!」
緊張からか?…何故か動悸が収まらなくなっていった
オレ達にとって珍しいジャンルのショーをしてみようとなって、
今回のショーはロマンス
オレが主役で寧々がヒロイン
えむはヒロインの友人で、
類は悪役…いつものような配役だ
もちろん脚本はオレが書いた
ストーリーのクライマックス
愛しさあまりにヒロインを○めてしまいそうになる悪役から、ヒロインをオレが守るのだ
「っ…………ひっくっ…」
「大丈夫!?もう安心だよ!私達が居るから!」
「お前っ!まさかこんなことをするだなんて!」
「………なんでっ…どうしていつも邪魔をするんだ!なんで君が隣に居る必要があるんだっ!」
類…今日の演技は迫真だな…
「どうしても何も!好きな人を泣かせるようなやつが!隣に居られる訳が無いだろう!」
「っ…………!」
今にも泣きそうな演技…まるで本当に傷ついているような…
「う…うわぁぁぁぁぁ!!!」
来たっ…!
襲って来る悪役に対して、オレはすかさず剣で必殺の一撃を喰らわす
散り際の類の表情から…まるで好きな人と結ばれなかった悔しさや、切なさが溢れるように感じられる
その顔で、どうにも胸が締め付けられて…どうしようもないほどみぞおちが苦しくなる
なぜなんだっ…?
「今日のショーも良かったよ〜〜!!」
「ワンダショ最高〜〜〜〜!!」
「面白かったぞ〜〜〜!!」
鳴り止まない拍手と歓声
観客とショーを創り上げたかのようなこの一体感
これだからカーテンコールは素晴らしいのだと思う
「演出めっちゃドキドキした〜〜!!」
隣を見ると類がとても嬉しそうに顔をほころばせていた
その横顔が綺麗で胸が高鳴って…
また、みぞおちが苦しくなった。
――「ん?咲希?その手に持っている本はなんなんだ?」
――「これ?少女漫画だよ!」
――「もう、すっごいドキドキしちゃうの!なんか…こう…」
――「みぞおちがギュ〜〜〜って!」
――「まるで“恋”してるみたいに!!」
先日、咲希がそう言っていたのを思い出した
そうか、今、気が付いた
大好きのもっと素敵な……
そう、これは“恋”なのだと
「ああ…くそっ…」
心臓が破裂しそうなほど高鳴って、顔がどんどん赤くなって…
この時間が続いてほしいのに、続かないでいてほしいと思う
これはおかしいことなのだろうか…?
「どうしても何も!好きな人を泣かせるようなやつが!隣に居られる訳が無いだろう!」
っ…………苦しい
司くんにそれを言われる事が
以前、司くんを泣かせてしまった。
あんなふうになるまで溜め込ませてしまった
そう考えると…苦しくなってしまう
隣にいていいのか…分からなくなってしまう
おそらく、寧々やえむくんがあのセリフを言っても、演技だと割り切れるだろう
しかし、司くんがセリフを考えて、言っている
しかもそれが“親友”だと言われた後だと、どうにも傷付いてしまって…
ああ…もう…嫌になってしまうね…