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ホテルでの挙式の打ち合わせ、衣装合わせを無事に終えた。
あとは、当日9月19日を待つのみ。
順調にマタニティーライフを送り、
妊娠5ヶ月、安定期に入った。
今までの|悪阻《つわり》が嘘のように止まった。
きっかけは?と、言えば……
父と母が『美味しいお水』と称して、アルプスのお水を持って来てくれたこと!
「ホントは、アルプスの良い空気を吸いに、連れて行ってあげたかったんだけどね〜」と……
タブレットで景色を見ながら、よく冷やして飲んだ。
すごく爽やかで、『なんて美味しいお水なの』って
感動した。
『それを飲めば、治まる!』って思い込んだのか?
ピタッと治まったのだ。
洋平は、新しい車が届き、ドライブへ行きたがる。
「ね〜明日、腹帯をもらいに安産祈願に行きたいんだけど……」
「お〜喜んで〜! 行こう行こう!」
「ココのお寺が有名でね、新しい腹帯を買って渡して、祈願された腹帯を受け取るの。
その腹帯に男か女の文字が書かれてるんだって」と、スマホを見せる。
「へー」
「でも、だいたい皆んな逆だって!」
「え? そうなの?」
「うん、私の時は、男って書いてあったんだって」
「たまたまじゃない?」
「そうかもしれないけど、結構な人がそう!
SNSにもあげてる人たくさん居るし……昔からそう言われてるみたい。お爺ちゃんもお婆ちゃんも、お父さんもお母さんも逆だったって言ってたもん」
「お爺様、お父様がそうおっしゃるなら、間違いない!」
「は〜? 洋平、お爺ちゃん、お父さんに忖度しすぎよ」
「あははは、冗談だよ。
じゃあ、明日もらったら楽しみだね」
「うん、明日、戌の日だから、安産祈願に良いんだって。で、明日から腹帯を巻くのよ」
「へーそうなんだね。なんだか、ぐるぐる巻くの大変そうだなぁ」
「儀式だからね。普段は、簡単な腹帯があるから、助かるけどね……」
「美優そういうこと、よく知ってるよね」
「お婆ちゃん子だから……刷り込まれた」
「ふふ、じゃあ早く休まないとな。早くラブラブしなきゃ♡」
「え? もう寝るよ。」
「美優ちゃ〜ん♡せっかく悪阻治まったのに〜
チューしてくれたのに……」
「ふふ」
「お医者さんが、イイよ♡って言ってたのに〜」
お腹撫で撫で……
ついでに、期間限定巨乳を……♡
──うわー!スゲ〜‼︎♡
「う、う〜ん」
「寝ててイイよ〜」サワサワ♡
──スゲ〜感触、何これ⁈手のひらに収まりきらない!たまら〜ん♡見たい!ちょっとだけ……
「もう!寝れるわけないでしょう!」
「う〜ん、ちょっとだけ♡」
──ん?怒ってない?良いのかなあ?
チラッ
──うわー!スゲ〜あー食べたい‼︎埋もれたい‼︎
「洋平!」
「あっ」
「胸を触られたら、なんだか子宮がキューって収縮する気がするの」
「そうなの?」
「だから、短時間だけね」
「うんうん♡ありがとう〜いただきま〜す♡」
──あーサイコー♡
「あ〜♡」
──そう言いながら感じてるじゃん♡
神様、美優のおっぱいが、ずっとこのまま|萎《しぼ》みませんように〜
──は〜たまら〜ん♡
いよいよ、安定期に入ったし、結婚式も近づいてきた。
会社にも、産休に入る旨を伝えなければ……
「はあ〜♡」
それどころではない
翌日、安産祈願に訪れた。
コロナ禍の為、代表者1名しかご祈祷室へは入れない。
扉は全開。中は、わりと冷んやりしているし……
皆、同じ妊婦。何かあっては……
代理でお参りに来られてる方は、中に入っておられるようだ。
2人でお参りする。
ご祈祷料と新しい腹帯を納め、
お札は祈祷後、後日、郵送してもらうことにした。
腹帯、安産のお守りなどが入った袋をいただく。
いよいよ、男女が書かれた腹帯を開く。
チラッと文字が見えた!
「開けるよ、せーの」と開く
『男』と書かれている
「と、いうことは、女の子?」
「かもしれないね」
「うわ〜楽しみだなぁ〜美優そっくりの美人」
「ふふ、女の子はパパに似るって言うから、洋平に似た可愛い子になるよ」
「あ〜モテ過ぎたら困るなぁ〜」
「ふふふ、今からそんな心配〜」
「それが一番心配だよ。予定日1月31日だよね?」
「うん」
「じゃあ、明日、産休の話しようか?」
「うん、そうだね。12月20日から取れるはずだから、その前が土日、ということは、12月18日から取れるね」
「辛かったら、有休使って、もっと早くから休んでもいいよ」
「う〜ん、引き継ぎがどこまで出来るか?よね」
「片岡さん、大丈夫だろ?」
「うん、要領よく覚えてくれてるから大丈夫だと思うんだけど……」
「美優の教え方が良いから……」
「ふふ、そんなことないよ。井上の彼女ちゃんだから、ちょっと気を使う部分もあるけど……」
「どうして?」
「裏話とか言って、井上に伝わったら面倒だから……」
「何? 裏話って〜」
「ほら、洋平だって聞きたがるじゃない。裏話は言えないのよ。守秘義務だから……」
「へ〜そうなんだ」
「色々あるのよ、取締役にも……」
「あ、そういうことね」
「うん」
「ま、そっちは良しとして、経理の方、時々ややこしいのがあるから、フォローしてあげてくれる?」
「うん、分かった。もし分からなかったら、美優に聞く」
「うん、お願いね」
「あ〜赤ちゃん楽しみ〜!その前に美優のウェディングドレス姿、来週楽しみだなぁ〜」
「ふふ、《《期間限定》》スタイルだもんね」
「うん、お腹はまだそんなに目立たないから大丈夫じゃない?胸がたまらん♡」
「大丈夫よ、洋平が胸を隠したデザインを選んだから、そんなに露出してないし……」
「でも、横から見たら、やっぱりすごいよ。これ臨月になったら、どうなるんだろう、あは、あははは♡」
「やっぱ、変態〜」
「爆乳になる〜♡」
「変態、変態、変態〜帰るよ」
「うん♡」
「否定しないんだ、変態って……」
「ハハ」
翌日、事業部長に報告。
「お〜そうか……おめでとう」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます。無理言って申し訳ありません」
「いやいや、めでたいことだし、片岡くんには、引き継ぎしてくれてるんでしょう?」
「はい、あと少しで大丈夫だと思います」
「ならば、安心して出産してください。
杉野くんも居るし、何かあれば連絡させていただきますから…」
「はい、よろしくお願いします」
「お腹、まだ全然分かりませんね。細いから……」
「あ、はい、もう少ししたら大きくなるでしょうね」
「ふふ」
不気味に笑う洋平。何か言いたげ……
──余計なことを言わないでね、胸の話とか……
ジロッと見る
さすがに会社では我慢したもよう……
「では、6週間前の12月20日から、とりあえず、美優さんの場合、お子さんの1歳の誕生日まで、延長で1歳半、再延長で最長2歳のお誕生日まで認められていますので、また、言ってください」
「はい、ありがとうございます。18日19日が土日ですので、私は17日で年内最後になります。よろしくお願いします」
「そうですね。その前に有休を使われるようでしたら、また、私に言ってください。産休については、人事の方にも伝えておきますので……」
「ありがとうございます」
「部長、それから……とりあえず身内だけで、
19日に挙式することになりました」
「お〜そうか!良かったなぁ、杉野くん」
「はい。この時期ですので、盛大には出来ませんので、披露宴は、また改めて、出産後にでも……と思っています」
「そうだな、専務や総務部長も楽しみにされてるだろうし……」
「はい、その時には、部長もよろしくお願いします」
「お〜お〜楽しみにしておくよ。
いや〜キミもついにパパか……」
「まだ、実感はないですけど……」
──そうよね、まだ《《巨乳》》を楽しんでるぐらいだから……
「楽しみだな〜じゃあ、今から人事を通すから、きっとまた、人事部長が飛んでくるから、覚悟しておけよ。ハハ」
「はい」
予想通り、人事部長が走って来た。
「杉野くん、美優さん、ちょっとお時間よろしいでしょうか?」
「はい」
「はい」
──なぜ人事部長まで《《美優》》さんと呼ぶ?
会議室へ
「先ほど、事業部長からご連絡をいただきましたが……産休に入られると……」
「はい」
「そうですか、おめでとうございます。出産予定日は、いつですか?」
「1月31日です」
「では……6週間前の12月20日から産休を取得していただけますが?」
──デジャブか?
「はい、それでお願いします」
「分かりました。美優さんがお休みの時、片岡さんが常務取締役の秘書でよろしいですね」
「はい、大丈夫です」
「更に有休を取りたくなれば、事業部長の方へ連絡してください」
──だから、デジャブか?
「はい、分かりました」
「期間に関しては、事業部長からもお話があったと思いますが、美優さんは勤続年数7年ありますので、最長お子さんの2歳の誕生日まで延長出来ますので、その時に復帰なさるか辞められるかの判断をされても良いと思います。もちろん会社としては、すぐにでも戻ってきて欲しいですが……ハハ」
「はい、ありがとうございます」
──人事部長の確認、必要?デジャブばかり……
《《無駄》》なんじゃないのかなぁ?──と思った美優
──人事部長さんって、お忙しいはずなのになぁ〜
なぜ、いつもすぐに走って来られるのか?
美優は、そんなことばかり、ヤケに気になってしまった。普段は、気にならないのに……
そして、頭の中で、もしも……の話が繰り広げられた。
──この人事部長さんが定年もしくは、退職されたら……
あ!次は、あの洋平の《《巨乳》》元カノの旦那様が、人事部長になるのか?──と思った。
なぜか分からないけど、あの《《巨乳》》が苦手だ。
旦那様には、関係ないけど……
今なら、同じ《《巨乳》》だ。これから私は《《爆乳》》になるのだから勝てる!と、訳の分からない争いが美優の頭の中で炸裂していた。
「な、美優?」
「え?」何も聞いていなかった……
「ふふ」とりあえず笑っておこう
「ん?」変な顔をする洋平
──ううん、ふふ。あなたの《《せい》》よ