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「すっ、すきです!ぼくと、つきあってくらさい!」
「ありがとう、でもごめんね。そういうのはおなじおもいのひととじゃないといけないんだって」
こうして、幼かった僕の幼かった初恋はあっけなく幕を閉じた。
好きだった人とのカップリング
「はあ〜、尊い…」
ムーミンがスナフキンとどっちがりんごを多く取れるか勝負、と…。ふへへ、またネタがひとつ…。
はあ、やっぱりムースナはいいな…。あのときの一世一代の告白を盛大に振られたのも、今となってはいい思い出だ。
(だって、こんなにも素晴らしいカプが存在するんだもの!)
ムーミン×スナフキン、ムーミン×フローレン…ふふ、それぞれいいところがいっぱいあるんだよなあ…。
まずムースナは恋愛なんてくだらないことしてる暇ないよ、とかいいそうなスナフキン。なのに、ムーミンにだけはささいなことでもドキッと心臓を高鳴らせ、赤面してしまう…。
そしてムーフロのいいところは、やっぱり似たもの同士の大恋愛。ムーミンがフローレンに一目惚れし、フローレンはそれに気づいておきながらわざとムーミンを挑発するように他のものとも距離が近い…。でもその瞳はいつだってムーミンしかとらえておらず、きっと結婚後は奥さんの尻に敷かれるムーミンがいるのだろう…。
「あ、スニフ!やっと見つけたよ、こんなところで何してるんだい?」
「え、ああムーミン。スナフキンとはどうしたの?りんごの収穫を手伝っていたじゃない」
あ、なんで知ってるんだってかおしてる。やっぱりムーミンは無自覚純粋攻めだなあ…。スナフキンとの身長差も尊い…。
「スナフキンはりんごを家にもっていったよ」
「ふーん、そっか」
「じゃあね、ムーミン」
「えっ、ちょっとま」
とりあえずネタは取れたし、別のところから観察しよう。まさかここがバレるだなんて…
ムーミンは追いかけてこないようだし、はやく別の場所を見つけなきゃ。
やっと自覚した恋心 ムーミン視点
「…また、逃げられちゃったな」
最近のスニフはどこかおかしい。いつもノートとペンを持ち歩いているし、僕たちと遊ぶこともあんまり…そういえば、スニフと最後に遊んだのっていつだっけ。
スニフのこと、好きになっちゃったんだけどなあ…。
「あのときのスニフも、今の僕と同じ気持ちだったのかな…」
まだぼくらがよっつのころ、スニフから告白されたことがある。でもそのころは恋愛感情というものがよくわからなくてふってしまった。そんなの、言い訳に過ぎないが……あのとき、スニフ泣かせちゃったな…。
そして、今は反対に僕がスニフに恋をしている。でも、脈なしだなあ。あたりまえか…。
どうしたらまた振り向いてもらえるかなんて、自分勝手だろうけど。
好きな人の好きなもの ムーミン視点
そうとなれば、なにから始めるべきか…。プレゼント?デート…はまだ早いか……そういえば、スニフの好きなものって…うーん、お金と宝石しか思いつかない。
まずは、相手のことを知ることから始めないといけないようだ。
(そう考えて、もう一週間だろうか…)
ちょっと、いやあまりにも情報力の多い一週間だった。
(というか、ムーミン×スナフキン?ムーミン×フローレンはなんとなくわかるが…)
いや、それ以外にもあの猫の世話をちゃんとしている、彼が見つけてくれた洞窟で昼寝することが多い、ほうれん草が苦手とかも知れたけど…。
なんで僕がスナフキンと恋愛してるんだ?彼はただの親友だし、そもそも恋愛なんて面倒なもの背負えないとまで言い切っていたと言うのに。
フローレンは…たまに勘違いされるが、彼女もただの仲のいい友人で、パパから女性は大切に扱いなさいと言われたから気を遣っているだけなのに…。距離か?距離が近かったのが問題か…?でもハグなんて友達同士でも普通にすることじゃないか……。どうしろっていうんだ…
じゃあ、距離が近いのが問題なんだったらスニフとも同じことをすれば良くないか?
追いかける恋 ムーミン視点
「…というわけなんだ!」
「………」
「……」
「スナフキン、フローレン!好きだってわかってもらうためにはどんなアプローチが必要だと思う⁉︎」
「….こういうところが、視点が狭い彼を惑わせる原因となるんじゃないか?」
「どういうこと?」
ちょいちょいとフローレンが指を指す方向を見ると…
スニフらしき尻尾がぶんぶんと柱から出ているじゃないか…。彼がああやって尻尾を振っている時は、大体新しい(ネタ?)を見つけた時と、何か話し込んでいる時……。あんなスニフ1人分くらいの狭さの柱に隠れて誰かと話すなんてこと、角度的にもできないだろう。
というか、いつからいた…⁉︎
「あーっと…2人とも、ちょっと森へ出かけない?」
なぜか2人からため息を吐かれてしまった。
「だから、こうやって彼抜きにして話し合いや散歩に出かけようとするのが勘違いしてしまう原因だと言うのに…」
スナフキンの言葉は、スニフが知らない場所へ行くことに躍起になっているムーミンには聞こえなかったようだった。
「…で、どうしたらいい!?」
「えっと、ごめんなさいねムーミン、どんな話だったかしら…」
「僕がスニフのことを空いていると知ってもらうために、どんなアプローチをすればいいか」
「ああ、そうだったね…」
なんだか2人とも疲れているな。そこまで走らせてはないだろうけど、どうしたんだろう?
「まあ、まずは怪しまれない程度にくっつくとかかしらね…あなたの話が正しいとするなら、スニフとも距離を近くしてたくさん話すのよ」
「たしかに…」
「あくまでも、”怪しまれない程度”に留めておいたほうがいいでしょうけどね」
「あと、観察してわかったスニフのお気に入りの場所や、猫の世話などもあるんだろう?一緒に洞窟に行かないか誘ったり、猫の世話を手伝ってやるのはどうだい」
「それから、無難だけどプレゼントとかね」
「それは思いつかなかった…!ありがとうスナフキン、フローレン、僕頑張るから!応援してね!」
「ええ、努力が報われるといいわね」
「頑張れよ」
やっぱり、持つべきものは友だな…!!
アプローチ開始 ムーミン視点
………。どうしよう。いまのところ、全て空回りしている気がする…。
まずはフローレンが最初に出してくれた、スニフの周りをくっつき歩いてたくさん話しかける作戦…。1日目はなんとかやり過ごせたが、2日目から怪しまれて前より距離を取られるようになってしまった気がする…!
「だから、”怪しまれない程度に”って言ったじゃない…!!」
それにスナフキンのデート&手伝い作戦も見事に全て断られてしまった…いや、もしかしたらただ本当に先約があっただけかも知れないけど……!
「まあ、一つ目の作戦で躓いたのが原因だろうな」
「どうしよう…このままだと嫌われそうな気さえしてきた……」
「君ってやつは0か100かでしか行動できないのか…」
「でも、まだあと一つ試してないものがあるってことよね?」
「うん、プレゼント…」
「な、ならそこで今までの失態を免除すればいいじゃないか」
「でもそれも受け取ってもらえなかったら…?」
「………」
「………」
ああ、また2人を困らせてしまった…やっぱり諦めたほうがいいかも。
「そのプレゼントとやらは、何をあげるつもりだ?」
「えっと、これなんだけど…」
そう言って、しゃらしゃら音を立てながらポケットから小さな布にくるまれたものを取り出す。布を開くと、中には小さな真珠をつなげた腕輪が転がった。
「真珠…?」
「これ、手作りなの⁉︎」
「う、うん…ママにも聞いたら、僕にできてスニフにできないものをあげたらって言われたんだ。スニフは泳げないし、キラキラした宝石とかが好きだから…」
「どうかな…?」
2人は目を見合わせて、優しく微笑んだ。
「「きっと、受け取ってくれると思うよ」」
「じゃあ、早速渡してこないとね」
「ほら、早く行かないと置いていかれるぜ」
スナフキンにぐいっと背中を押され、ムーミンは思わずよろめいた。
「わっ…ちょ、ちょっと!心の準備が…!」
「ぐずぐず言ってる暇はないわ、はい行った行った!」
フローレンまで手をひらひら振って送り出してくる。
その勢いに抗えず、ムーミンは腕輪を握りしめたままスニフを探しに走り出した。
「はあ、やっぱり手のかかるやつだな」
「ほんとにね…大体、スニフも正直過大評価し過ぎているわ。なんでお互い気づけないんでしょうね…」
「そういう遠回りこそが、恋ってやつじゃないか」
プレゼント ムーミン視点
「あ、やあスニフ!」
「え、あ、ぐ、偶然だねムーミン」
(また僕らの居場所を探していたんだろう。こんなちっちゃい体で谷を走り回って、健気だなあ。)
「…ムーミン?」
「あっ、えっとね、これ渡したくて…」
そう言って、再びポケットから布に包まれた真珠の腕輪を出す。
「スニフ、真珠も好きかなって思ったから」
ああ、目をまあるく見開いて驚いている。なんで自分なんかに渡すんだろうとでも考えているのだろうか。そんな反応も愛らしいけど…
「…受け取ってくれるかい?」
「えっ…あ、ぼくでよければ、うん、ありがと……」
「えっ⁉︎あ、こちらこそ…」
「ふはっ、なんでムーミンが感謝するんだよ!」
スニフと笑いあったのは、いつぶりだろう。 笑いながらも、胸の奥では嬉しさがじんわり広がっていく。手渡した腕輪よりも、今こうして一緒に笑っていられることの方がずっと大切で――まるで宝物みたいに思えた。
距離が近い スニフ視点
――はあ……。
ムーミンがくれたブレスレットを見て、ため息を一つ。もう何度繰り返したかわからない。
「まあたため息なんかついて!面白くないね」
「仕方ないだろ…最近のみんなの様子、ミイもよく知ってるでしょ……」
「ああ、この目でよく見てるさ。ほんと、いきなりムーミンがスニフのストーカーになって、こんなものわたしにくるなんてね!」
「ほんとだよ…おかげでびっくりしちゃってムースナ小説の筆が乗らないのなんの………」
「あんたもあんただよ!あんなに想われてるのに気づかないなんてね」
「いやなにに気づけばいいのさ、ぼくなにもしてないよね?」
「あははっ!やっぱりあんたらは馬鹿同士でお似合いだな!」
どう言うことだ。そもそも誰と誰の話だ、馬鹿ってなんなんだ………。
距離が近い 2
「やあ、スニフにミイ。こんな物置で何をしていたんだい?」
「あ、スナフキン……そ、そうだ!ちょっと相談したいことがあって…」
本当ならムースナのためにこう言うことは遠慮したいんだけど、今回ばかりは仕方ない……。
「……って感じで…!スナフキンなら何か知ってないかなって思ったんだけど……」
「…はあ……」
「え、どうかした…あ、ごめんねいきなりこう言うこと話しちゃって!」
「…いや、それはいい…その、スニフはムーミンのことが好きなのか?」
…え、それって……
スナフキンはムーミンのことが本当に好きだったのか!?ムースナはあくまで二次創作として嗜んできたけど、そういうことなら現実でもあの尊い会話やらなんやらが見れる可能性はあるわけで………!
「え!?いっいやっ、ぜんっぜん!!というか僕がムーミンのことを好きになることなんてないって!大丈夫!」
「っ…はああ…………」
あれ、なんでため息…まあでも、これからは本物のムースナが見れるかもしれないってことか!そうとなれば……
「スナフキン!僕…君たちのこと応援するね!!」
「はああ……いや、そういうことじゃなくて………」
距離が近い 3
「やあ、ムーミン…」
「あれ?どうしたんだいスニフ、君の方から話しかけてきてくれるなんて珍しいね」
「いや、えっと…ムーミン、最近なんかおかしくない?」
「え、おかしいって何が?」
「えーっと、まず、急に僕に話しかけてくることが増えたじゃない、特に最近。あと、なんかやけにおでかけとか冒険に誘いにくることが増えたし、この前なんか真珠のブレスレットもらっちゃったし」
「あー、えっと……」
「前まではこんなことなかなかなかっただろ?だからどうかしたのかなって……」
「い、いや、えーっとそれは、なんていうか…」
「……あのさムーミン、もしかしてスナフキンとあんま上手く行ってない、とか…?」
「は、はあ!?そんなわけないだろ馬鹿か!」
「いきなり馬鹿っていうことないだろ!そうとしか思えないし!てかもしかしてスナフキンの気持ちを知ったとか…」
「スナフキンの気持ちとか知らないよ!」
告白
せっかく話しかけてきてくれたかと思ったら、急におかしくなったか聞かれたしなんなんだよスナフキンとうまく行ってないのか?って!スナフキンはただの親友だし、スナフキンの想いってなんだ!?
「あのねスニフ、僕が好きなのはスナフキンでもフローレンでもない、君なんだよ!」
「は!?なんで!」
「き、気付いたのは最近だけど、多分もっと前から好きだった…という、か……」
告白 2 スニフ視点
…はあ!?どういうこと!?てっきりフローレンとスナフキンどちらを選ぶかで悩んでいて、それがたまたまどっちかにばれちゃったとかそんなんだと思ってたのに!
急に告白してきてさあ!あれもしかしてこれ夢…?スナフキンかフローレンの頭の中に入ったとか…
「だから、僕が告白してるのは君、スニフなんだってば!」
「…………スニフ?」
「っ〜〜〜!ばっかじゃないの!?」
「っえ……」
「さっきからさあ!おかしいじゃん!なんで僕⁉︎てか君昔に振ってきたでしょ!
『そういうのは同じ想いの人とじゃないとだめ』って馬鹿な僕にも超わっかりやすく振ってきたじゃん!」
「……」
「というか!君の思わせぶりな行動のせいで幼い僕とスナフキンの気持ちを傷つけてくれちゃって!この馬鹿ムーミン!」
「っそうだよ僕は馬鹿だ!大馬鹿者だ!だがスナフキンと僕はただの親友、恋愛感情なんて芽生えてない!もちろんフローレンともだ!」
ムーミンはスニフを真っ直ぐに見つめ、言葉を振り絞った。
「……昔の僕は気づけなかった。君がどれほど大切で、どれほど隣にいてほしい存在か……!でも今は違うんだ、はっきり分かってる!」
「な、なに言ってるんだよ……信じられるわけないだろ!」
スニフは顔を赤くして、怒鳴るように突っぱねる。
胸がぐらぐら揺れて、これ以上は信じたらダメだと自分に言い聞かせながら。
それでもムーミンは一歩近づき、必死に続けた。
「僕は君を泣かせたこと、一生忘れない!あの時の間違いを、もう二度と繰り返さないって決めたんだ!だから……僕を信じてほしい、スニフ!」
ーースニフの瞳からは大粒の涙がひとつ、ふたつ、みっつとこぼれ落ちていくーー
「っ……ちょっと、返事は待っててほしい……」
条件
あれから2日が経った。返事を保留にされた時は僕の中で時が止まってしまったように感じだけど、そんなことはなかったな。元にほら、今も廊下からスニフが歩いてきてーー
「ちょっと、僕の部屋来て」
廊下の床板がぎし、と小さく鳴るたびに心臓が跳ねる。スニフがドアノブに手をかけた。そして、ひと呼吸置いてから中に入る。──僕も深呼吸してから、続いて部屋に入った。
「…えっと」
「この前は曖昧な回答してごめんね。その返事なんだけど…」
「…うん、どんな答えでも、受け止めるよ」
「ふふ、なにそれ」
「それでさ──」
「えーっと、つまり僕がこれまで通り?フローレンやスナフキンと仲良くしていれば、付き合ってくれると……」
「正確には『イチャイチャ』ね」
「は、はあ…?」
「これができないと取り消しだからね!」
「それが、ぱぱたちのなれそめなの……?」
おわひ
後日談
ムーミンとスニフが結ばれてから、スニフがいつも持ち歩いていたメモ帳はだれもみなくなったらしい…?