テニスプレイヤーから剣士まで

**第二期 第11話: 鉱石と静寂の町シルバード**

トーマス、ケイン、そしてグラントの三人は、エリクサーを討伐した後、再びシルバードの町へと戻ってきた。彼らが町の門を通り抜けると、町長や町の住人たちが集まって温かく迎えてくれた。

「おかえりなさい、勇者たちよ！」町長が大声で歓迎し、その声に応じて周囲の人々が拍手を送った。

「今回の功績は、我々にとって非常に大きなものだ。町を守ってくれてありがとう。」町長は深々と頭を下げ、ギルドからの報奨金とは別に、町からの特別報奨金も手渡した。それは通常の2.5倍の額で、三人は思わず目を見開いた。

「こんなに…ありがたい。皆のために役立ててくれ。」トーマスが感謝を述べたが、町長は首を横に振った。

「いや、これは当然の報酬だ。それに、君たちはさらに強くなるための準備を進める必要があるだろう？存分に使ってくれ。」

三人はその後、ギルドに向かい、得た報奨金を預けることにした。ギルドでは魔脈という本人確認システムがあり、彼らの預けたお金は安全に保管されることとなった。

「さて、これからどうする？」ケインが尋ねた。

「普通なら、すぐに次の目的地に向かうところだが…」トーマスが答えかけたとき、グラントが興奮気味に口を挟んだ。

「待ってくれ！この町の近くには、貴重な鉱産資源がたくさん眠っているんだ。それを見ていきたいんだが、どうだ？」

トーマスとケインは顔を見合わせたが、二人ともグラントの好奇心に理解を示し、町に滞在することを決めた。

翌日、グラントは早速鉱石の採掘に出かけた。彼が目指したのは、以前言っていた「入れる魔力量によって反射力が変わる鉱石」だ。これを使って、トーマスとケインの剣をさらに強化しようとしていた。

採掘の道中、グラントは苦労してその鉱石を手に入れることに成功した。彼は湖沿いにある弟子の鍛冶小屋へと足を運び、そこで剣のアップグレード作業を始めた。弟子たちはグラントの指導のもと、丁寧に鉱石を加工し、二人の剣に魔力を宿す作業を進めていった。

一方で、トーマスとケインはその間、町を探検することにした。シルバードの町は、のんびりとした雰囲気が漂い、彼らにとっても久しぶりのリラックスした時間となった。町の市場では、地元の特産品や工芸品が並び、トーマスは珍しい果物やスパイスを見つけてはケインと笑い合った。

「こうしてゆっくり過ごすのも悪くないな。」ケインが微笑みながら言った。

「ああ、たまにはこういう時間も必要だ。」トーマスも同意した。

彼らはその後、町の小さなカフェで休憩し、地元の名物料理を堪能した。穏やかな午後の時間が過ぎていく中で、二人はこれまでの冒険を振り返り、今後のことを話し合った。

夕方になる頃、グラントが鍛冶小屋から戻ってきた。彼の手には、以前よりもさらに光を放つようになった二人の剣があった。

「お待たせ！これで、次の敵もバッチリだぞ。」グラントは自信満々に言った。

トーマスとケインは、新たな力を宿した剣を手に取り、その感触を確かめた。確かに、今までとは違う力強さが感じられる。

「ありがとう、グラント。これで、さらに先へ進める。」トーマスが感謝を述べた。

「次の目的地に向かう前に、少しでも強くなっておきたかったんだ。」グラントは照れくさそうに笑った。

三人は、シルバードで過ごした穏やかな時間に満足しながら、次の冒険への準備を整えた。次の町へ向かう日が近づいてきたが、その前に彼らはこの町で得た新たな力と、心の安らぎを胸に刻みつけた。