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お前がいてくれて良かった

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お前がいてくれて良かった

1 - お前がいてくれて良かった

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2024年12月02日

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pixivの再掲です

垢→やゆよ @user_npdx4375


赤桃 生理男子



朝の光が薄く部屋に差し込み、ないこはうっすらと目を覚ました。寝返りを打った瞬間、腹部に鈍い痛みが走り、思わず眉をひそめる。痛みを覚えながらも、彼は体を起こし、ズボンに目を落とした。その瞬間、心臓が大きく跳ねた。

「…血?」

言葉にすることで現実感が押し寄せ、動揺が増す。どうして血が出ているのか、まったくわからない。昨日は何も異常を感じなかったはずだし、怪我をした覚えもない。それでもズボンに滲んだ赤いシミは明らかで、ないこは混乱の中に立ち尽くした。

「まさか…病気…?」

不安が胸を締め付ける。思考がまとまらないまま、リビングにいるりうらのことを考えた。彼に知られるわけにはいかない。どうにかして隠さなければ。

ないこはベッドから静かに降り、できるだけ自然に振る舞いながら洗面所へと向かった。血の跡を拭き取り、痛みを無視しようとする。りうらに見られたくない一心で、ないこは普段通りを装いながら朝食を作るためにリビングに向かった。

リビングで二人が向かい合い、何気ない会話が交わされる。しかし、ないこの中では、焦りと痛みが絶えず胸をかき乱していた。りうらが不審に思わないか、冷や汗が背中を伝う。それでも、なんとかしてりうらに気づかれないようにと、ぎこちない笑顔を浮かべた。

「…ないくん、大丈夫?」

突然の問いかけに、ないこは肩をすくめる。りうらの穏やかな声が心に響くが、今はその優しさに触れるのが怖かった。

「大丈夫、なんでもないよ。」無理に笑ってみせたが、その言葉の裏に隠された不安は隠しきれなかった。

朝食が終わると、ないこはそそくさと自室に戻り、ドアを閉める。痛みがさらに強まり、情緒が不安定になる。思考がまとまらないまま、ないこはベッドに腰を下ろし、ふとした瞬間に涙が頬を伝って落ちた。

「…俺、どうしちゃったんだろ…」

次第に涙が溢れ、息が詰まるような感覚が広がっていく。理由もわからないまま、ないこは涙をこらえることができなくなっていた。

その時、ドアが突然開く音がした。驚いて顔を上げると、そこにはりうらが立っていた。

「…!? なんで泣いてるのっ、?」りうらの声が驚きに満ちている。

ないこは焦りと恥ずかしさが入り混じった表情で、言葉を失った。涙をぬぐおうとするが、りうらの視線が痛く、うまく隠すこともできない。

「…あの、なんか、朝からお腹が痛くて…それで、血が出てて…病気かもしれないって思ったんだけど、わかんなくて…」

泣きながら説明するないこに、りうらは目を大きく見開き、しばらく沈黙が続いた。

そして、やがて、りうらは静かに頷いた。

「ごめんね、ないくん。気付いてあげられなくて。」りうらはゆっくりとないこのそばに歩み寄り、その肩に優しく手を置く。「でも、病気じゃないから、心配しないで。」

その言葉に、ないこの心が少し軽くなったように感じた。それでも涙は止まらない。




ないこはりうらの言葉を聞きながらも、涙が止まらず、どうしようもなく不安な気持ちが胸を締め付けていた。

「本当に病気じゃないの…?」震えた声で問いかけながら、ないこはぎゅっと目を閉じる。「俺、どうなっちゃうの、…?こんなの、聞いたことないし…」言い終わると、また新たな涙が溢れてきた。

そんなないこを前に、りうらはその場に膝をつき、彼の顔を真っ直ぐ見つめる。

「ないくん、大丈夫だよ。」りうらの声は、驚くほど穏やかで優しかった。「病気じゃないよ。男の子にも生理が来ることがあるんだよ。それは普通のことで、体が無理してるわけじゃないから、心配しなくていい。」

「…生理?」ないこはその言葉を繰り返し、少し間抜けな顔をして聞き返した。信じられないような顔でりうらを見つめる。「男にも、そんなのあるの、…?」

りうらは微笑みながら、頷いた。「うん、あるんだよ。珍しいんだけど、ないくんが思ってる程変わってるって訳じゃないから、そんなに怖がらなくていいんだよ。」

ないこは少しの間、無言でりうらを見つめていた。その言葉が自分の中に少しずつ落ちてくるのを感じながら、それでもまだ信じ切れない部分があった。

「でも、俺…急に血が出てきて、それに腹も痛いし…こんなに情緒も不安定で…」泣きながら呟くないこの姿に、りうらはさらに彼の肩をそっと抱き寄せた。

「無理しなくていいんだよ、ないくん。体も心も、今は少し疲れてるんだと思う。だから、ゆっくり休んでいいよ。」そう言いながら、りうらはないこの涙を指でそっと拭ってくれる。「何も心配しなくていい。りうらが、ちゃんとそばにいるからね。」

その優しさに、ないこは堪えきれず、ついにりうらの胸に顔を埋めるように泣き崩れた。「…ぐすっ…りうら…俺、どうしよう…」声を震わせながらも、泣きつくないこの姿に、りうらは一瞬驚いたが、すぐに彼を抱きしめ返した。

「泣いてもいいよ、ないくん。全部吐き出して。無理しないでね。」りうらは優しくそう言いながら、彼の頭を撫で続けた。

ないこはりうらの胸の中で、しばらくの間、涙を流し続けた。涙が枯れるまで泣き疲れたないこは、次第に呼吸が落ち着き、ついにはそのままりうらの胸に抱きついたまま、眠りに落ちた。

りうらは、そんなないこの頭を優しく撫で続けながら、彼が安心して眠れるようにと心の中でそっと祈る。

「ないくん、無理しないで。辛いときは頼ってね、いつでも。りうらは、ずっとそばにいるから。」静かに呟くと、りうらはそのまま、ないこの温もりを感じながら微笑み、彼の眠る顔を見つめた。





ないこが目を覚ましたのは、夕方に差し掛かる頃だった。窓から差し込む薄いオレンジ色の光が、部屋の中を柔らかく染めていた。体が少し重いものの、以前感じていた強い腹痛は和らいでいた。

「…うん?」

気がつけば、ないこはりうらに抱かれて眠っていた。

それに、机にはコンビニの袋があったり 俺の服が着替えさせられてあったりと 少し申し訳無く感じる

腕を優しく回されている感覚に、少しだけ恥ずかしさを感じつつも、どこか安心している自分がいた。

「起きた?」りうらの声が、すぐそばから聞こえた。

ないこは顔を上げ、眠たげな目でりうらを見つめる。りうらは穏やかな笑顔を浮かべて、彼の頭を軽く撫でていた。

「ん…起きた。でも、まだちょっとだるいかも。」

ないこはそう言いながら、再びりうらの胸に顔を埋めた。彼の温もりが今は心地よかった。

「無理しなくていいからね、ないくん。今日はゆっくり休もうよ。」りうらは、変わらず優しい声でそう言いながら、ないこの髪を指で軽く梳いた。

「…ごめん、迷惑かけちゃった。」ないこは申し訳なさそうに呟くが、りうらはすぐにそれを否定するように首を振った。

「迷惑なんて思ってないよ。ないくんが辛い時は、りうらが支えるんだから。」

真剣な瞳でそう語るりうらの言葉に、ないこはまた少し胸が温かくなった。

しばらく静かな時間が流れた後、ないこは少し気まずそうに声を絞り出した。

「あのさ、さっきの話…本当に病気じゃない、?男子にも…生理ってのがあるっていう話、まだ信じられなくて。」

りうらは、そんなないこの不安げな表情を見て、優しく頷いた。

「うん、病気じゃないよ。本当に。ないくんの体が無理してるわけでも、何か悪いことが起きているわけでもないの。安心して。」

「でも…こんなこと、今まで一度も聞いたことないし…」ないこは心配そうに、再びりうらの顔を見つめる。

りうらは微笑みながら、彼を包み込むように抱きしめ直した。

「珍しいけど、決しておかしいことじゃないよ。ないくんが自分を責めたり、怖がったりする必要なんて全くない。」

その言葉を聞いて、ないこは小さく息を吐いた。まだ完全に理解できたわけではないが、りうらがいることで、少しずつ心が落ち着いていくのを感じる。

「…ありがとう、りうら。お前がいてくれてよかった。」ないこは小さく微笑み、りうらの肩に顔を埋めたまま呟いた。

りうらは、ないこの頭を軽く撫でた。

「でも、無理しないで、困ったときは頼ってね。りうら、ないくんの味方だからさ。」

その言葉に、ないこはまた少し安心したように笑い、目を閉じた。

「…わかった。ありがとう、りうら。」

そうして、二人は再び静かな時間を共有した。夕方の光がやがて消え、部屋の中は少しずつ夜の帳に包まれていった。まだないこにとっては不安を払拭しきれないことだったけど、りうらの温もりと優しい声が、ないこにとっては何よりも大きな支えとなっていた。










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