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◇◇◇◇◇
それから数日後。
冒険者ギルド ドクストン王国王都支部。
受付:「支部長!迷宮管理人から、ここ2、3日の間の退場者が激減していると報告が上がってるけど。どうします?。」
支部長:「ん?どういうこと?」
受付:「だから〜!入った数と出た数の差が異常に少なくなってるんだって!
出てくる冒険者がほぼゼロらしいよ!」
支部長:「あっそう。でもそれって自己責任でしょ?」
受付:「それはそうだけど……。
放っておいて良いんですか?」
支部長:「うーん。良くないかなぁ。」
受付:「良くないですよ。」
支部長:「捜索調査かなぁ。」
受付:「捜索調査ですね。」
支部長:「うん。やっぱり、やめよう。」
受付:「なんそれ!?」
支部長:「うん。とりあえず、迷宮閉鎖。
出てくるものがいたら事情聴取。
それで行こう。それでお願い。」
受付:「うーん。まあ了解。
本部には連絡しておいてくださいよ。」
支部長:「はいはい。面倒だなぁ。」
◇◇◇◇◇
ドクストン迷宮内部。
レキ:「マリス。冒険者がだいぶ減ったな。」
マリス:「そうね。ほとんどの冒険者を狩り尽くしたんじゃないかしら。
それにこの迷宮って広すぎてよくわからないわね。この異様さは気持ちいいけどね。」
レキ:「確かにな。このまま居ても退屈だな。
そろそろ潮時かもな。
おい!お前たち!
ここに置いていくから好きに狩ってこい!」
魔物A:「グゲゲゲ!」
魔物B:「ガウガウ!」
魔物C:「ウキャ!」
レキはここまで召喚石で魔物を召喚していた。
魔物の合計は5匹。そのうち1匹はBランク。残りの4匹はCランク。
この魔物たちをここに放置するだけで、勝手に魔物を狩って食らっていく。
この魔物たちは、やられれば消滅するが、狩れば狩るだけレキのレベルが上がっていく。
レキ:「それじゃ、マリス。そろそろ戻るか!」
マリス:「そうしましょう。」
レキも数日間、迷宮にこもっていたのでレベルが30オーバーまで上がっている。
ステータスだけでいうとリオには劣っているが、それでも破格にレベルが急上昇していた。
14歳にしてこのレベルはありえない成長スピードである。
レキとリオ。
同世代のこの異常な2人が、同時期に同じ世界に存在していることはまさに運命なのかもしれない。
◇◇◇◇◇
ドクストン迷宮入り口。
数時間後。レキたちは迷宮から出てきたが、途端に管理人に声をかけられた。
管理人A:「お前ら、Fランクのやつじゃねえか。
中の様子を聞かせてもらうぜ。
ちょっとこっちへ来い!」
レキたちはそれを無視してその場から立ち去ろうとしたが……。
管理人A:「おい!小僧待て!ウギャー!」
呼び止めた管理人は、レキを掴もうとした腕をマリスに斬られていた。
腕を斬られた管理人はその場に蹲った。
管理人A:「腕がーーー!!い゛ーーー!」
管理人の腕の手首より先が胴体から離れ、地面に転がっていた。
斬られた手首からは血飛沫が止めどなく吹き出している。逆に手で必死に押さえようとするが、止まることはなく血まみれの状態で苦しんでいる。
マリス:「手を出すなんて失礼なやつね。」
レキ:「マリス!目立つようなことはよせ!」
マリス:「あら、ごめんなさいね。」
その言葉に反省の色は見えないが……。
周りにいた入場を断られてた冒険者たちが、突然のレキたちの行動に唖然として眺めていた。
そして、もう一人の管理人が我に返り、レキたちに対して剣を抜いて構えた。
管理人B:「お前ら!何をしたかわかってんのか!?
Fラン風情が!大人しくしろ!」
そう言った管理人の腰は引けて、徐々に後退りしている。
それを見た周りの冒険者が面白がって煽り始めた。
すでに手首を斬られた管理人は地面に横になって動かなくなっていた。
冒険者A:「管理人!おら、早く行けよ!」
冒険者B:「おもしれー!やれや!」
冒険者C:「Fラン!お前らがやっちまえー!」
マリス:「あら、なんだか面白い雰囲気になって来たわね。」
レキ:「マリス。もうここまで来たら、まとめてやってしまおう。証拠隠滅だ。」
マリス:「ふふふ。そうしましょう。
下界の人間たち。
暗黒の闇に飲まれなさい。
マカイブラック!」
マリスは魔界のスキルを使って、周りの人間の視界を一瞬に奪い去る。
これはマリスの周囲の生物を暗闇に包むという魔人特有のスキルである。
冒険者A:「わ!なんだこりゃ!やめろ!」
冒険者B:「おい!何も見えねえぞ!」
冒険者C:「ふざけるな!早く止めろ!」
冒険者D:「やめて〜!」
辺りの冒険者は全ての視界が失われたことにパニック状態となって騒然となっていた。
だが……その放置されている状態が続くと、冒険者たちは面白いようにだんだんと不安になっていく様子が伺われた。
そして、誰かが命乞いを始めたのをきっかけに、全員が釣られるようにその場に蹲《うずくま》り、命乞いを始めていくのだった。
マリス:「ふふふ。やっぱりこうなるのね。
楽しいわぁ。もっと命乞いしなさい。」
レキ:「ふ。そうだな。大きな声で命乞いしたやつだけは助けてやる!せいぜい頑張れよ。」
その言葉を聞いた冒険者たちは、一斉に大声で命乞いを叫び始めた。
自分だけは助かろうとして……。
◇◇◇◇◇
一方、少し時を遡って……。
リオたちもドクストン王国の王都に辿り着いていた。
リオ:「やっと着いたね。これからどうしようか?」
リンドウ:「そうね。まずはよくわからないから、冒険者ギルドか教会に行って事情を教えてもらったらどうかしら?」
カゲロウ:「せやな。まずは教会の方がいいんとちゃうか?女神様もいるしな。」
リオ:「うん。そうだね!じゃあ、教会に行こう。」
◇◇◇◇◇
ドクストン王国王都内 聖ナスヴィー教会。
リンドウ:「ここが教会ね。
やっぱり王都だけあって結構大きいわね。」
この教会にも、大きなナスヴィー様像が祭壇の奥に祀られている。
そこまで行ってみんなでお祈りを始めた。
女神:『ハーイ!リオ!無事に着いたわね。』
リオ:「はい。ナスヴィー様!着きました。」
女神:『着いたばかりであれなんだけど、ちょっとお知らせ。この王都に例の少年と魔人が来ているわよ。注意しておいてね。』
リオ:「例の少年というとレキ・グランベルですか?」
女神:『うん。そうだね。魔人と行動を共にしてから、だいぶと闇に染まっているみたいだから。
これは魔神ディスハーの影響が強くなっているかも知れないわね。』
リオ:「魔神ですか。」
女神:『そうよ。おおよそ300年前の状態にならないといいんだけど。
私も魔界には関与できないから何が起こるかわからないのよ。』
リオ:「300年前ですか。何があったんですか?」
女神:『それはね……。』
それから、ナスヴィー様に約300年前に起こった出来事のあらすじを教えてもらった。
魔界の干渉が強くなったこの世界が一時期、人類滅亡の危機に陥っていたことを。
ただ、事の詳細には触れていないので、あくまでこの世界の文献に残されている範囲でだが……。
女神:『あ!もうすぐ、ここの司教と聖女が来るわね。』
そこへナスヴィーとの会話を聞きつけた、この教会の聖女が司教を連れてリオたちのところに駆けつけてきた。
サントス:「リオ様でいらっしゃいますか?」
司教と思われる老人から声を掛けられた。
リオ:「はい、リオ・ルナベルです。」
サントス:「おー、大司教様からお話は伺っております。
私はここの教会で司教を務めさせておりますサントスと申します。
こちらは聖女のカノンです。」
カノン:「カノンです。お会いできて光栄です。」
サントス:「リオ様は女神様とお話中でしたか?」
リオ:「あ!大丈夫です。だいたい終わりましたから。」
女神:『あ!リオ。サントスと話してきていいよ。
いろいろ教えてくれると思うから。
じゃあ、くれぐれも例の少年たちに注意するんだよ!』
プチュン!
いつものように突然切られる。
リオ:「サントスさん。女神様も大丈夫みたいです。」
サントス:「そうですか。それじゃ、ご案内しますのでこちらにお越しください。」
司教サントスに案内されて、リオたち一同は別室の方に向かった。
◇◇◇◇◇