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ぼくは狛犬だ。
しかし、人間の姿で生活している。
だからぼくには本来の姿というものがある。
物の怪の類と戦うときは顔や体が犬で手足は人間――それでも動物なみに毛深くなる。
そしてもう一つ、完全に犬の姿があるのだ。
たまに本来の姿にならないとストレスがたまる。
本能的なものだろう、と女神様は言う。
「ふかふかして温かくて気持ちいいね」
美子がぼくにもたれかかって言う。
「本当に下手なソファーより気持ちいいよ」
女神様もぼくにもたれかかっている。
「コマ兄が犬になるといいよね」
美子は嬉しそうだ。
「まぁ、たまには本来の姿に戻らないとね」
ぼくは床に寝そべり、二人がぼくによりかかる。
ぼくが犬の姿になると必ずやるのだ。
「種類はソファー犬でOKですかね?」
ぼくは聞いてみた。
「狛犬でしょう」
本来のお仕事を忘れちゃだめよ、と女神様は笑った。
「それにしてもいい天気ねぇ」
女神様が外を見ながら言った。
「お散歩に行きましょうか」
ぼくは言った。
「そうね」
「行こうよ」
「その姿で来たの?」
「えぇ、まぁ」
ぼくは犬の姿で出てきた。
「イェイイェイ!!」
ぼくは馬のように美子をのせている。
すると、美子はすごく喜んだ。
「もう、仕方ないなぁ…」
女神様はぼくたちを見て笑う。
「女神様ものれますよ」
ぼくは進めてみたが断られた。
女神様は周りを見ながら道を決めていた。
「楽しかったですね」
「また今度のせてね」
女神様は苦笑いした。
「コマ…犬の姿はすごく大きいんだから人に見られないでよ」
心配したんだから、と言う。
ぼくはちょっと反省した。
「でも、たまには本来の姿で外に出るのも大事よね」
女神様はフォローしてくれて、最後に
「今度は私ものせてね」
と言うのだった。