注意書き
・二次創作です。
公式には関係ありません。迷惑のかかる行為はおやめ下さい。
・冴凛(もどき)です。くっつきません。
・殴り書きのため、文章変です。ごめんなさい。
・誤字脱字あったらすみません。
・メリバです
・n番煎じ
性癖に忠実になりました。
アニメ楽しみですね!!
「良くやった、潔世一」
震えが止まらない。「にぃちゃん」と兄を呼んでも、振り返る気配は感じられない。
凛の瞳に映っているのは、潔を褒める大好きな兄の姿。ずっと求めていたものは、全て潔世一に奪われてしまった。
たった一言。たった一言でいいから褒めて欲しい。そんな彼のささやかで傲慢な願いはもう叶わないのだと、凛は悟ってしまう。
「⋯⋯待って。にい、ちゃ⋯⋯」
「⋯⋯凛」
振り返った冴は、いつもと同じすまし顔だ。ツンと冷めた瞳は、先程の潔への態度と180度変わっている。
「お前は、」
冴が何か言っているような気がするが、凛の耳へは届いていなかった。
ただ、痛い。足が、体が、心臓が。
(⋯⋯も、やだな⋯⋯。聞きたくない⋯⋯)
くらり。
次の瞬間、凛の視界は真っ黒に塗りつぶされた。
冴side
「凛。」
愛しい弟を見上げる。未だに雪の日に囚われている弟に対して、解呪の鍵を与えるために。
「お前はよくやっていた。凄いな、凛」
「⋯⋯」
「凛?」
凛の口が薄く開いて何かを言葉にした。蚊の鳴くような声で、凛は言った。
「ごめんなさい」と。
そう、謝罪の言葉を口にした。
どうして凛が謝るのか分からなかった。ただ、嫌な予感がして凛の方へ1歩歩みを進める。
ぐらりと、凛の体が傾いた。
「──っ凛!!」
どさり。
凛が真緑の芝生上に倒れ込む。ひゅ、と自分の喉がなる音がした。
会場が水を打ったのかように静かになる。1拍置いて、甲高い悲鳴が会場に響き渡ったのと同時に、一気に観客が騒ぎ出した。
パシャパシャとフラッシュが炊かれる音を気にする余裕も無く、凛に駆け寄る。呼吸が少し浅いが、それ以外に特に気になる点はない。なら、どうして。
「りん、凛⋯⋯。りん、⋯っ!!」
「冴、落ち着け!!」
潔世一や他の選手達が、ほとんどパニックになった俺を落ち着かせようと躍起になる。
直ぐに担架が運ばれてきて、凛は連れていかれた。担架を運んできた人に、凛は病院に連れていくので安心して表彰されてほしい。と告げられた。
凛は、それから目を覚まさなくなった。
原因は分からない。ただ、身体には何も問題が無いから、精神的なものかもしれない。と医者は言った。
「⋯⋯凛」
日に日に増えていく見舞い品の花たち。その中で眠る凛は、その容姿も相まって、まるで白雪姫のようだと感じる。
凛は眠り続けている。ずっとずっと。この先も。
凛side
「⋯⋯兄ちゃん⋯⋯?」
「おはよう、凛」
目が覚めると、幼い頃の兄がそこに立っていた。夢。そう確信する。だって、今の俺はW杯を優勝した直後だったのだから。
「寝坊助だな」
そう言って笑う兄は、記憶と全く同じ。ベッドから起き上がって部屋の中を見た時、強烈な違和感に襲われた。
⋯⋯サッカーのトロフィーが、無い。
「⋯⋯にいちゃ、サッカーは⋯⋯?」
「さっかあ? なんだそれ」
息を飲んだ。にいちゃんが嘘をついている気配はしない。きっとこれは本当だ。
俺は、サッカーの存在しない幼少期の夢を見ている。
「はやく起きないと⋯⋯!」
⋯⋯ふと、思考が停止した。
現実に戻っても、兄ちゃんは俺を認めてくれていない。ずっとあの日に囚われながら、兄ちゃんが俺を見てくれるのを待ちながらサッカーをする。もっと走って、走って、走り続けて⋯⋯。ゴールが無かったとしても、走り続けなくてはならない。
──なぁんだ。こっちの世界の方が幸せじゃん。
「⋯⋯にいちゃん、おはよう」
「おはよう、凛」
忘れちゃおう。全部。サッカーのことも、雪の日のことも、夢を書き換えた兄ちゃんのことも、兄ちゃんに認められなかったことも。全部、ぜんぶ。
「そういえば凛。さっき言ってた『さっかあ』ってなんのことなんだ?」
「⋯⋯サッカー? なぁに、それ」
「⋯⋯寝ぼけてただけか」
コメント
3件
凛ちゃん起きてぇ…!今回も最高ですありがとうこざいます!!