テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
紅
650
330
#糸師凛
りー
242
24
三匹目のケンタウロスを倒した後、円形巨石群から離れて30分。またケンタウロスのところまで戻ってきた4回目の挑戦。流石に慣れてきた。マジックミサイルも安定してきて確実に倒せるだけのパターンが出来上がった。こうなったら後は作業だ。後三回は戦えるから、その間にしっかりケットシーを倒してマジックミサイルのスキルスクロールを何枚手に入れられるか、だな。
個人的にはマジックミサイルは何処まで上がっても不具合はないので、マジックミサイル兄さんとしての地位を築いてもいいぐらいだ。いくつまでマジックミサイルのレベルは上がるんだろう。100かな、1000かな。今の日本記録はいくつなんだろう。
「何かよそごとを考えている気がするわ」
「マジックミサイルの日本記録はレベルいくつなのか気になってた。100なのか1000なのか10000なのか。何処まで上がるのかを気にしてた」
「さあ……本当に高い人は一々数えてないんじゃないかしら。上がり幅が気になるのは二流の証拠じゃない? ぜひとも一流を目指してほしいものね」
「なるほど。じゃあ俺も気にしないでどんどん覚えていくことにしよう。少なくともケンタウロスの装備セットが揃うまではここに通うことになるから結構レベルは上がりそうな気がするな」
マジックミサイル……50ぐらいまでは上がりそうだな。レベル50ってことは……現金に換算しても1700万円ぐらい自分に金をかけていることになるのか。その分探索者にならなければ充分すぎる収入で贅沢はできるのは確かだが、探索者として自分の実力の裏打ちをするための必要な投資だな。しっかりと覚えてケンタウロス退治がまた便利になるようにしておこう。
五度目のケンタウロス戦までの間にケットシーを倒し、ケットシーからのスキルスクロールは八枚ほどになった。全部がマジックミサイルだとすると、これを全部覚えてしまえばもうケンタウロスも一人で倒せるようになるんじゃないだろうか。
彩花のサポートがあるほうがやる気が上がるのは確かだが、ケンタウロス退治のために毎回わざわざ彩花に付き合わせるのは悪いからな。自分一人でもできるようになっておかないといけない。
マジックミサイルもレベル30ぐらいに上がればケンタウロスも一撃で昏倒させられるほどには成長するはずだ。しっかり覚えていって地力をつけていこう。今は……11ぐらいだったはずだ。今日の探索で10枚は確実に仕入れているはずだからしっかりと覚えて、次回はマジックミサイルだけで十五層に到着できるぐらいの気持ちで行こう。
しばらく探索していると、アカネがふよふよと浮きながらこちらへ来た。
「どうした? 何か問題発生か? 」
「そういうわけじゃないわ。ただ順調にやってるのかを見定めに来ただけよ」
要するに仕事が終わって暇になったらしい。せっかくなので付き合ってもらうことにしよう。ケットシーを火魔法とマジックミサイルでそれぞれ撃墜する。アカネが見ている間はドロップはひたすら魔石が続くが、アカネにドロップ運がないのかな? と思っているところで一枚スクロールが落ちた。
これは……見覚えがあるから多分マジックミサイルだろう。というか、ケットシーがマジックミサイル以外のスキルを落としたことはない。もしかしたらレア中のレアで何か落とす可能性があるかもしれないけど、それを今引く可能性があるとしたら、アカネ効果なのだろうな。まあ、戻って調べてみればわかることだ。それまではお預けだな。
アカネを伴ってまたしばらく十五層で戦い続け、30分経ったところでケンタウロス戦。もう完全に慣れたな。
◇◆◇◆◇◆◇
そのままアカネを引き連れて合計7回のケンタウロス戦を終えて、今回手に入ったのは靴とズボン。馬肉は三回出た。相変わらず地面にベチョッと落ちる、清潔さもなにもない肉だが、それでも肉は肉。どうやらダンジョン内には細菌などが生息している様子が無く、地面に落ちても砂や土がつく以外は問題が無く、そのまま水洗いしても洗面台やシンクを細菌で汚す心配がないのでこれは洗って夕飯に食べよう。
レベルも二つ上がり、俺は30、彩花は多分24になった。
「じゃ、私は先に帰るから。ゲロゲロ騒いでるところを通って頑張って帰ってきてね」
そう言い残すとアカネは先に戻っていった。
「あいつ、本格的に十三層だけ避けていきやがったな」
「耳栓があるからある程度は大丈夫だけど、確かに精神的に一番疲れるエリアなのは確かよね」
「お地蔵様でもげんなりするカエルの鳴き声とか、大昔の周辺に田んぼしかなかったころの鳴き声よりもうるさかったってことだよな。そこまでうるさいのかあそこは」
そう言いつつ、十四層十三層と順番に戻り、うるささを耳栓でガードしながら十二層まで一気に抜ける。
「まだ荷物には若干の余裕があるが、それを考えて十二層でもう数枚スクロールを仕入れていくか? その場合ちょっと帰りが遅くなるけど」
「それでも……時間的には余裕はあるわね。二枚ぐらい出るまで粘っていきましょう。十三層や十四層で手間取らなかった分だけ時間に余裕があるわ」
彩花も門限までには余裕で帰れる……ということで、予定外の延長戦が始まった。スケルトンメイジ相手に先日の試し切りの成果を見せつけ、一撃で骨ごと核を砕けばいいんだよ! と言わんばかりにスムーズに斬り込み始める。
彩花も同様に力任せにスケルトンメイジを倒し始めたため、一方的な攻撃だけで終わることが多くなり、結果的に探索効率が向上、二枚と言わず三枚手に入ったところで帰ることにした。今日のスキルスクロールは鑑定サイトの一日制限のギリギリを攻めることになりそうだ……と。
そう思っていたら、帰り道の十一層でホブゴブリンが二枚もスキルスクロールをドロップ。合計枚数が20枚を超えてしまった。まあ文句が出るような話ではないんだが、一日で鑑定しきれないとするとちょっともやもやするものがある。
でもまあ、ドロップが多いに越したことはないんだ、素直に喜んでおくことにしよう。今日の収穫はかなり多かった。目的の装備品も三種類まではそろえることができたし、これでセット装備の内の3セット効果、身体能力の向上というセットボーナスは満たせるわけだ。今までとは防具の質が違うのだろうが、それでもしっかりとした装備品を身に付けるのは大事だと感じる。
十層から一層へワープポータルで戻り、一層から出入口へ戻ってきて、やっと一息つける状態になった。防具の内側は俺も彩花も汗の臭いでいっぱいだ。
「帰ったら洗濯ね。さすがにこの汗の量と……匂いはごまかせないわ」
「俺はこの際だから防具を下取りに回して、新しい装備に回してしまうのもいいが……やはりここまで来ると上着もそろえてから古い防具をまとめて中古に回した方が良さそうだな」
洗濯機へ自分の防具一式を放り込んで洗濯機を回すと、今日の戦利品の仕分けを早速始める。
「じゃあ、スクロールの鑑定と荷物整理は幹也に任せたわ。スマホは私の分も……よし、サイトに接続出来たから、順番に鑑定しておいて。できるだけ個人情報は見ないようにしてね」
「そこは信頼してくれていいぞ。漁ったりはしないからな」
「じゃ、信頼するわ。馬肉は一つは冷凍して、二つを焼肉と……ユッケにするのもいいわね。馬肉ユッケ。今日一日の疲れが吹き飛びそうな良い色してるし、きっとおいしいわよ。ごま油かごまと、卵黄とネギがあれば完璧だけど……ネギ以外はあるわね。どうしようかしら」
「ネギがあるほうが食感も辛みも混ざって美味しいのは分かる。が、ネギのためだけに買い物に行くのも面倒だな、どうするか」
「ネギ以外に買い物に行く理由があればいいのよね? ちょうど夕方でセールの時間だし、買い物行ってくるわ。本日のおすすめ品があればついでに買ってくるけど? 」
「揚げ物で何か良さそうなのがあったらよろしく。丼とかでもいいよ」
「わかったわ。じゃあ引き続きよろしくね」
彩花に予算の5000円を渡して買い物をお願いすると、「これは何でも買えそうね」と元気に出かけていった。ただ、ついでに彩花のスマホを持っていかれたので俺個人の分だけ鑑定を済ませると、バッグから取り出す色んなドロップ品、トレントの樹液であったりとか、そういうものを全て取り出す。
ベッド下に相変わらず鎮座しているドロップ品収納箱……もう目隠しは必要ないわけだが、それを取り出すと中にザラザラと魔石を流し込んでいく。魔石で収納箱はいっぱいになった。これはちょっと予想外だな。一日で張り切り過ぎたか。いくらぐらいになってるか見物ではあるが、少なくとも20万ぐらいにはなってるだろう。毎日これを繰り返すだけで社会人じゃなくても暮らしていけるのでは……?
鑑定サイトにスキルスクロールの情報を流し込んでは、結果が返って来るたびに付箋紙で名前を張り付ける。とりあえず今覚えるかどうかは置いといて、これでいつでも覚えられる状態にできた。流石に俺が覚えるからと言って、彩花がいない前で勝手に使うほど俺も人の心がわからない人間じゃない。
彩花が買い物を終えて戻ってくるまでに片付けだけでもしておかないとな。とりあえず……マジックミサイルのスキルスクロールは十枚ある、ということだけは確実にわかった。今日の鑑定サイトのお仕事は終わった。俺もサイトを通さなくても見分けが付けられる男になったほうがいいのかな。
それとも、他のサイトを探してスキルスクロールを鑑定できるサイトを探した方がいいんだろうか。ちょっと調べてみよう。もしかしたら他にも同じ機能を有している鑑定サイトがあるかもしれない。もしも信じられないなら、わかっているスキルスクロールを再鑑定して、五回ほど判定してピッタリ同じだったらそのサイトは信用が置ける、として次回から使うようにしよう。
さて、鑑定サイトを検索する。色んな言語で検索サイトを調べると、ロシア語とポルトガル語の検索サイトが見つかった。ただ、信頼性はそれほど高くないし、ほかの言語に切り替える機能がないので自力で読解して意味を調べる必要があるのは間違いないらしい。
サイト自体の信用は高いようで、サイト評価も97点と非常に高い。どうやら嘘八百を並べたてられることはないようなので、試しに2枚わかっているスキルスクロールを放り込んだところ、ちゃんと同じ内容が返ってきたので間違いはなさそうだ。よし、ここも今後は使っていくことにしよう。これで一日10枚の制限はなくなったぞ。
コメント
1件
うわあああ第255話読み終えたよー!!😭💕✨ マジックミサイル兄さん爆誕してて草www レベル50で1700万円って計算に笑ったけど、現実的な思考とダンジョン飯のバランスがマジでエモい…!馬肉ユッケの話から急に現実の買い物ルーティン入るの、日常と非日常の行き来が心地よすぎるんですけど…🥺 あとアカネが「ゲロゲロ騒いでるところを通って帰ってね」って言い残すの、さすがに性格出てて最高だし、彩花との買い物前のやりとりも尊い…。鑑定サイトの制限クリアしたのもデカいし、次回が楽しみすぎる!お疲れ様でしたー!!🌸