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あー、暑い。流れてきた汗で服と自分の肌が張り付くのも、ジンジンと泣く蝉の声にもムカついてくる。
学校帰り、イライラとする気持ちを抑え家へと向かう。インフルエンザが流行っていて
特に仲のいい友達が全員休んでいたこともあり、ただでさえ楽しくない学校はさらに憂鬱に感じた。
そうこう考えている間にマンションの前まで着いた。暗証番号を押し、部屋の前まで向かう。屋根ができたからといって、蒸し暑さは変わらず今すぐ風呂に入りたいと思った。
広いこともあり、マンションの1番端っこにある俺の部屋まで行くのはなかなか大変だ。
それでもどうにか歩き、やっとついた、と思っていると誰かが部屋の前に立っていた。
c「…あのー、何か用ですかね?」
そう訪ねると
「ああ、ここの部屋の人ですか?
隣に引っ越してきました。」
s「塩野翔と申します。」
塩野翔と名乗る男性はぺこ、とおじきをする。
c「あぁ…。俺は茅野柊司と申します…、
宜しくお願いします。」
軽く挨拶を交し、こちらどうぞ、と貰ったお菓子をかかえ部屋に入る。
インターホンをみるとさっきの人がピンポンをした跡が残っていた。今の時間父さんも母さんも仕事でいないから出れなかったんだろう。丁度よく帰って来れてよかった。
…綺麗な茶色の髪、宝石のようにキラキラ光る紫の目。どれも俺にないものだからか、とても魅力的に見えた。
…ぼーっとしていると、いつの間にか寝てしまっていたようだ。ぐっと伸びをして立ち上がる。
といってもまだ18時。親もまだ帰ってこないし、お腹も空かない。することもないからスマホを覗く。
写真フォルダを見返していると、母さんから連絡が来た。
「今日はお母さんもお父さんも帰れません。ごめんなさい。」
…今日は1人か、なんて考えてまた寝ようとする。
すると、チャイムの音がなる。
せっかく寝ようとしていたのに、なんて考えのろのろと玄関まで向かっていると、再び鳴らされた。
せっかちなやつ。急いで玄関に向かい扉を開くと、そこにはさっきの翔さんがいた。
c「ぁ…なんか用ですか?」
s「いや、俺、新しく春南中学入ること決まってンですけど、茅野さんもですか?」
なんでそれを、なんて言う前に彼が話し出す。
s「さっき見た時春南の制服着てたんで…」
c「あー…はい、そうですよ」
s「何年ですか?」
c「2年です」
s「あ、じゃあ同じや。タメでいっすか?」
急に馴れ馴れしくなるな、なんて考えたものの拒否する理由もない。ええで、と軽く返す
c「他なんか用って…」
s「あー、ないで。ただこれ話したかっただけ。連絡先交換せん?」
c「あ、する」
そして俺はLINEのQRコードを出し、読み取ってもらった。
s「じゃ、ありがとうございましたー」
そう言い、強く扉を閉めて去っていく。
…にしても、距離近かったな。
男から見ても分かるくらいかっこいいし、ああいう感じもてそー。
ぼーっと考えていると、また俺は眠りについていた。…
塩野翔(しおのしょう)
茅野柊司(ちのしゅうじ)