テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件
もう第20話、読み終わったよ〜〜😭💕💕 レオの過去パートで一気に胸がギュッてなった…! あの公園で少女に「素敵なメロディー!」って言われるシーン、まさに運命の出会いすぎて鳥肌立ったよ…! リリーが見る夢の隣の人が実はレオで、あの日の少女がリリーだったりしない??って勝手に妄想が止まらん!! 重なる横顔、タイトルもエモすぎる…✨ 二人の距離が確かに近づいてる感じがたまらなく好きです、しろのねさん…! 続きが待ちきれないよ〜〜🌸
「そうか、無事に成功したんだな。良かったな!」静寂に包まれたバルコニーで、レオがまるで自分自身のことのように、目元を深く和ませて微笑んだ。
リリーは、先日の学園視察での演奏が無事に終わり、厳格だったお父様から正式に音楽活動を認めてもらえたことを、真っ先に彼に報告していた。
「レオのアドバイスがなかったら、きっと緊張で指が動かなくなっていたわ。本当に助かったの……ありがとう」
「いーえ」
素っ気なく返される穏やかなその声に、冷え切っていた胸の奥がふわりと温かい灯火に包まれていく。
「ねぇ、レオ。あなた前にお父上に届けたかった思いがあるって言ってたわよね。」
「ん?あぁ、たしかに言った。けどもういいんだ。随分前の事だしな。」
そうは言うものの、まだ心残りがあるように、レオの瞳には影が落ちた。
「実際は分からないけど……。きっとあなたのお父上も、音楽を認めてくれていたと思うわ。」
「どうして?」
「私のお父上も最初は私に、何も言わずに出ていってしまったのよ。けどそれは少し考える時間が欲しかったんですって。不器用なお父上なりに言葉を選んでくださっていたのよ。だから……だからきっとあなたのお父上も……」
「あの人も……そうなのか?」
父親に感想を求めた時、何も言われなかったことがただただ悲しかった。だが、もしも
「それにお父上はレオの演奏をちゃんと聞きに来てくれたのでしょう?興味がなかったら最初から聞きに来たりはしないわ。」
その言葉を聞いて、演奏を聞きに来てくれていた父親、そして落胆したレオにかけた母の言葉が浮かんだ。
『あの人はね不器用なのよ。気の病むことないわ。良かった、とそう思っているはずよ。もう少しだけ待ってくれないかな?』
今となっては確かめようもないことだが、もし本当にそうだとしたらいいなと、レオは心の中で祈った。
「ねえ、レオ……今日ね、また『あの夢』を見たの」
ふと気になっていた話題へと切り替える。前々から彼に幾度となく打ち明けていた、不思議な夢のことだ。
「夢? ああ、以前もよく見るって言っていたな。今回はどんな内容だったんだ?」
「なんというか……とても明るくて広々とした場所で、見たこともない道具からいろんな音が重なり合って響いていて……それが、息をのむほど綺麗だったの」
私は夜空を見上げながら、曖昧な記憶の糸をたぐるようにポツポツと夢の情景を語った。
「私の隣には……誰かがいた気がするの。顔も、名前も、はっきりとは思い出せないけれど……ただ、その人が隣にいてくれたから、不思議とすごく安心できたの」
私の話を聞いていたレオは、しばらくの間、言葉を失ったように沈黙していた。しかし、次に出された彼の言葉には、確信めいた響きが宿っていた。
「……そいつ、笑ってなかったか?」
「……えっ」
図星だった。ぼんやりとした記憶の中、隣にいた人物の顔立ちまでは判別できないはずなのに──その人が心から楽しそうに笑っていたことだけは、はっきりと胸に残っていたのだ。
「なんで……なんでわかるの?」
「さあな。……ただの勘だよ」
少し照れくさそうに視線を逸らす彼の横顔に、またしても胸がぎゅっと締めつけられるような感覚を覚える。
わからない。どうして彼と接していると、こんなにも切なくて温かい気持ちになるのか、言葉に置き換えることができない。
でも、ひとつだけはっきりと確信できることがあった。
──レオとこうして密やかに過ごすこの時間が、私にとって何物にも代えがたい大切な時間だということ。
夜風が吹き抜け、バルコニーの肌寒さが少しだけ増してきた。
「……もう少しだけ、こうしてお話ししていてもいい?」
「……ああ」
短く返されたその一言に、思わず口元がほころぶ。
「また、来てくれますか?」──そんな不躾な問いかけはしなかった。
だって、言葉にしなくても……彼はきっと、また私の元へ来てくれる。そんな確信が、胸の深いところにあったから。
吹き抜ける夜風が、そっとリリーの乱れた髪を撫でていく。その横顔を見つめる玲央の脳裏には、あの幸せだった日々が浮かばれていた。
────────
ある夏の日のことである。
あれは、まだ地球で暮らしていた頃──小学四年生の夏休みのことだった。
幼いレオは何日もかけて必死に書き上げた自分だけのオリジナルメロディーを、尊敬する父に聴いてもらおうと、高鳴る胸を押さえて仕事部屋へと向かった。
父はプロの作曲家だった。幼い頃から父が鍵盤に向かう姿を見つめ、生み出される音楽を耳で、背中で、全身で感じ取って育ってきた。将来は絶対に父のような凄腕の作曲家になるんだと、本気で夢見ていた。
季節の途中で転校してきたばかりで、クラスには友達の一人もいなかったけれど、当時の俺にとっては孤独すら創作の糧であり、好都合だと強がっていた。
「少しは近所のお友達と外で遊んできたら? きっと楽しいわよ」
母は心配そうにそう言って背中を押してくれたけれど、俺にとっては父の背中を追いかけて曲を作っている時間の方が、何倍も魅惑的で楽しかったのだ。
それなのに──
「なんだ、この意味不明なメロディーは。笑わせないでくれ、あまりにも下手くそすぎる。今、俺は締め切り前で忙しいんだ。子どものお遊びに付き合っている暇はないと言っただろう」
父さんは一度たりとも俺の顔を見ようとせず、譜面を一瞥しただけで、俺の情熱のすべてを酷評し、切り捨てた。
本気で、全身全霊で作った音楽だったのに。
少しでも「いい曲だ」と褒めてもらえると信じ切っていたのに。
胸の奥がぐしゃりと踏みつぶされるような激痛に襲われ、俺は楽譜を抱きしめたまま家を飛び出した。
引っ越してきたばかりの見知らぬ街。足の向くままに走り続け、気づけば誰もいない小さな公園に辿り着いていた。
錆びついた滑り台の上に登り、膝を抱えて茜色に染まる夕空を見上げる。
「……認めて、もらえなかったな」
ぽつりと溢れ出た呟きは、虚しく風に消えていく。悔しさと悲しさを紛らわせるように、俺は自分で作ったあの不完全なメロディーを、小さな声で口ずさんだ。
──その時だった。
「わあ……! すごく素敵なメロディー! ねぇ、なんていう曲なの!?」
背後から響いた鈴を転がすような少女の声に──俺の灰色の世界が、鮮やかに色づいた。
ruruha
821
#執着
さぶれ
1,802
49
#元カレ
まぁ
31,919