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『──そういうわけで、悪役になったのだよ』






両手を合わせた凛は、無邪気に笑った。






荒廃した街の中心にて、シミひとつない高級感溢れるタイトワンピースに身を包んだ女と地べたに平伏す男の光景は、まさに異色としか言いようがなかった。






片方が悪の支配者と名高い「オール・フォー・ワン」なら尚更だ。






オール・フォー・ワンとして夢を叶え、悪役として返り咲いた女子高生は、目の前の弟を屈服させることに夢中だった。






『悪役がいないとヒーローもいないのだよ。私はね、与一、悪役が悪さをしないとヒーローは無職になって不要な存在になってしまう。だから、誰かが悪役にならないといけないと思うんだ』





死に際の虫のように這いつくばる弟を見下ろす目が、凛に対する恐怖心を上げていく。






自分を止めようと一生懸命に伸ばされる腕は、青白く不健康的だ。凛が丹精込めて作った料理を一口も食べなかった末路がこれだ。






『だからさァー君もなろうぜ、与一』






──悪役になろうぜェ?






凛は、ケタケタと下駄が跳ねるように笑うと弟に向けて手を伸ばした。






与「僕は許さない、姉さんの全てを」






凛の手がパシっと音を立てて払われる。






こちらを睨む弟の眼差しに吐息をついた凛は、あからさまな態度で悲しみを表現した。






『酷い言い草じゃないか。お姉ちゃん泣いちゃうぜ? 号泣だぜ?』






その発言に、哀憐という感情は微塵も存在しない。






泣き真似を始めて巫山戯る凛は、なんの反応も見せない与一に対して「つまらんぜ」と吐き捨てると人差し指をくいっと曲げた。






凛に呼ばれ、現れたのは2人の男達。






『与一くんの理解力があまりにもないらしいので、特別にゲストをお呼びしました。異能の被害者のおふたりです!』





はい拍手、と凛は笑顔で手を叩いた。

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