テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
卒業式の日。
体育館の空気は、春なのに少し重かった。
拍手の音も、呼ばれる名前も、どこか遠くで聞こえるみたいだった。
「卒業、おめでとう」
廊下で澪が言った。
「澪も」
そう答えたけれど、胸の奥が少しだけ空っぽになる。
制服のリボンも、この校舎も、もうすぐ終わる。
「屋上、行く?」
澪が小さく言った。
「先生に見つかったら怒られるよ」
「今日くらい、いいでしょ」
そう言って澪は笑う。
私は少し迷ってから、うなずいた。
階段を上る足音が、静かに響く。
何度も通った階段なのに、今日は少し違って見えた。
ドアを押す。
屋上の風が、いつもより少しだけ冷たい。
「やっぱりここ好き」
澪はフェンスの近くまで歩いていく。
私はその隣に立った。
校庭では後輩たちが片付けをしている。
遠くで笑い声が聞こえる。
「終わっちゃったね」
澪がぽつりと言う。
「うん」
それだけしか言えなかった。
少し沈黙が流れる。
春の空は、淡い青だった。
「瑠璃」
澪が呼ぶ。
「なに?」
「覚えてる?」
「なにを?」
「昼の月」
私は空を見上げた。
青い空の中に、白く薄い月が浮かんでいる。
「あ」
思わず声が出た。
「本当だ」
「また見つけた」
澪は少し嬉しそうに笑う。
「私たち、月見つけるの得意だね」
「たしかに」
私は笑った。
でもそのあと、澪は少しだけ真面目な顔になった。
「瑠璃」
「うん?」
「卒業してもさ」
風が、ふっと吹く。
「また会える?」
その言葉は、とても静かだった。
でも、胸の奥まで届いた。
「会えるよ」
私はすぐに言った。
「本当に?」
「だって」
私は少し考えてから言う。
「空、同じだから」
澪が前に言った言葉を、そのまま返した。
澪は一瞬驚いて、それから笑った。
「それ、私の言葉」
「うん」
「でも嬉しい」
風が髪を揺らす。
少しだけ沈黙。
それから澪が、少しだけ近くに立った。
肩が触れるくらいの距離。
「ねえ、瑠璃」
「なに?」
「もし」
澪は空を見ながら言う。
「もしまた迷ったら」
「うん」
「空見て、月探して」
私はうなずいた。
「澪もね」
「うん」
「そしたら」
私は少し笑った。
「同じ月見てるかもしれない」
澪はゆっくりうなずいた。
「それ、いいね」
空の月は、昼の光の中で薄く浮かんでいた。
誰も気づかない月。
でも、私たちは知っている。
静かにそこにある光。
「じゃあ」
澪が言う。
「次はどこで月見る?」
私は少し考えた。
「海とか」
「いいね」
「夜の海」
「うん」
澪は笑った。
「じゃあ約束」
私たちは同時に空を見上げる。
昼の月は、変わらずそこにあった。
静かに。
ずっと前からそこにあったみたいに。
そしてこれからも、
きっと、同じ空に浮かぶ。
はい、どうも粋可でーす
投稿遅くなてしまい誠に申し訳ございませんでした!!m(_ _)m
理由はですね。貧血でぶっ倒れました。挙句の果てには頭痛もして書ける状況じゃなかったんですよ💦
まぁ、また百合小説思いついたら書きますわ
ほいじゃあ、アディオス!!( -`ω-)b
コメント
5件
素敵すぎる~!! 綺麗で儚い系めちゃ好きだから最高すぎた👍🏻 貧血か~めちゃしんどいよね 体調に気をつけて自分のペースで!!

うぇぇぇ貧血でぶっ倒れた!?大丈夫ですか?無理はしないでください!! 粋っちの書く百合儚くてバリバリすきです。 瑠璃ちゃんたちには幸せになってほしい!!