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禁術前段階の光が弾けた瞬間、
エリスの身体から力が抜けた。
「……っ──」
短い息だけが漏れ、
そのまま意識がふっと落ちる。
ジェイアスは反射的に抱き止めた。
「エリス……!」
腕の中の彼女は軽く、
呼吸は浅く、
まるで今にも消えてしまいそうだった。
ジェイアスの胸が強く締めつけられる。
彼は震える指でエリスの頬に触れ、
必死に呼びかける。
「エリス……
戻ってこい……
俺には……お前が必要なんだ……」
その声は、
核でも森でもなく、
ただエリスだけを求める声だった。
その瞬間、
核の暴走が跳ね上がり、
森の深部から噴き上がる魔力が渦を巻く。
ジェイアスはエリスを抱き寄せたまま、
護符を展開し、
暴走魔力の直撃を防ぐ。
護符が軋み、
術式が火花のように散る。
それでも彼は退かない。
「大丈夫だ……
絶対に離さない……
だから……戻ってきてくれ……」
暴走魔力が森を裂くように広がる中、
ジェイアスはただひとり、
エリスを守り続けていた。
暴走する核の波が森を震わせ、
護符の術式が軋む音が響く。
ジェイアスはエリスを抱きしめたまま、
護符を重ね、
自分の魔力を流し込む。
その魔力は、
核と同じ“森の波長”を持つ。
だから──
ジェイアスの魔力は核の暴走に触れた瞬間、
共鳴を起こした。
護符を通して流れたジェイアスの想いが、
核の波に乗って広がる。
「エリス……
戻ってこい……
俺には……お前が必要なんだ……」
その声は、
ただの音ではなく、
魔力の波として核に触れた。
核は巫女と繋がっている。
だから、
ジェイアスの想いはそのまま
エリスの魔力へと届いた。
朦朧とした意識の底で、
エリスは微かに反応する。
暗闇の中で、
遠くから誰かが呼んでいる。
──エリス。
──戻ってこい。
──俺には……お前が必要なんだ。
その声は、
耳ではなく、
魔力の奥で響いた。
エリスの指先が震える。
核の波と、
ジェイアスの魔力と、
ふたりの繋がりが重なり──
エリスの意識が、
ゆっくりと浮上し始めた。