唾切が親戚の家へ行くと言って出かけてから3日がたった。空は雲ひとつない晴天、けれど皆はどんよりと暗いオーラをまとっていた。真澄に関してはいつもの数倍どす黒いオーラをまとっていた。
なぜこんなカオスになっているのか。それは数時間前…
京夜
「え、何これ」
馨
「どうしたんですか?」
真澄
「うるせぇぞ…ってんだその手紙」
紫苑
「え、燃やそうぜそんな変なもん」
無陀野
「燃やす前に中身を確認しろ、、」
京夜
「俺、読みたくないよ?」
真澄
「さっさと読め」
京夜
「いや、だからこわいk」
馨
「京夜さん…」
紫苑
「京夜先輩、、、」
京夜
「そんな哀れんだ目で見ないでよ〜泣はぁ、仕方ないな〜」
渋々、京夜はその手紙を声に出して読み始めた。
『この手紙が届いた方々へ
今日の昼から祈りが開かれます。そこには神の子がおられます。礼儀をきちんとし、身なりを整え、本殿へくるように。決して、無礼のないように。今日来れない方は、明日もあります。けれど、学生の方々は“必ず”くるように。 』
そう書かれていた、要するに、お呼び出しだ。しかもご丁寧に学生は必ずと書いてある
馨
「必ず…ですって」
紫苑
「だるぅ、、」
真澄
「チッ」
京夜
「燃やせば無かったことにならないかな…」
無陀野
「その祈りとやらに参加しなければ、また学校かどこかで言われるだろうな…」
紫苑
「神の子絶対の奴らが見逃す訳ねぇか…」
馨
「なら、準備しなくちゃですね、、できれば行きたくないですが」
無陀野
「昼から…あと3時間後、、」
真澄
「クソが」
そして、現在、本殿へ向かう10分前なのである。
京夜
「この服動きずら…」
紫苑
「これで山道のぼんの??」
無陀野
「ああ…この前もそうだった」
真澄
「こんな白いと目バグりそうだなぁ」
馨
「これ、山道の登ってて、暑くなりそうですね」
無陀野
「いや、それはない…」
京夜
「そうなの?今でも暑いんだけど」
無陀野
「森は太陽の光が当たらない…陰で寒いくらいだ 」
紫苑
「マジかよ…」
京夜
「もう時間じゃん、行こっか」
馨
「そうですね」
真澄
「めんどくせぇ」
紫苑
「早く終わるといいけど〜」
無陀野
「そうだな」
無陀野達は本殿がある所まで歩いていく。
かといって整備されているわけではない、木の枝や小石が落ちていたり、時にはつまずきそうな段差もあった、、
無陀野
「本当にきついな…ハァ」
京夜
「もう俺無理なんだけど…ハァハァ」
紫苑
「水飲みてぇ…ハァハァ」
馨
「何も持って来ちゃダメって書いてただろ紫苑、、、ハァ」
真澄
「本当に来させる気あんのかよ…ハァ」
皆、大きな木にもたれかかったり、膝に手をついて肩で息をしている。
本当に、入ったら出られない様な。道もうねっていたりと、一度でも道を間違えれば…そんな事を考えると冷や汗が出る
無陀野
「やっと着いたぞ…ハァ」
紫苑
「やっとかよ…ハァハァ 」
馨
「大きいですね…ハァハァ」
真澄
「思ったよりでけぇな…ハァ」
京夜
「も〜むり゛ぃ」
管理人
「おや、お若い方々…学生さんですね。そこで止まらず、早く入ってくると良いですよ。もうそろそろ祈りの時間ですし」
無陀野
「ありがとうございます…(あの時とは違う人だな…)」
そう言って、無陀野に続いて全員門をくぐった。
いつ見ても中は広く、静かだった。けれど人の気配が無いわけではなく、部屋に案内されれば、50人以上は座っていた。
管理人
「貴方達はあそこに座ってください。今日はこのくらいの人数ですから。」
そう小声で管理人は呟き、すぐに障子を閉めた。
無陀野達は静かに座り、あたりを見渡した。
全員純白の服、顔色も悪く、今にも倒れそうな者ばかり、こんな状態でよく山を登ってきたものだ
スー
静まり返った部屋に障子の開く音がした。
ゆっくり開かられた障子から見えたのは、美しい海の様な青い髪を揺らし、隣にいる服の作りで顔が見えない付き添いにエスコートされながら、ゆっくりと椅子へ歩いて行く、神の子の姿だった。
誰が見ても、美しいと思える白い肌と髪…
本当にこの世のものなのかと驚くくらいだ。
神の子、四季は静かに椅子に座った。
京夜
「(こんな綺麗なんだ…)」
馨
「(綺麗な人だけど…体が小さい)」
真澄
「(なんでこいつだけこんなに目が離せねぇんだ…?)」
紫苑
「(女の子かな?顔見せてほしいな〜)」
無陀野
「(綺麗だ…だが、なぜ目を、、、)」
そう、四季は目隠しをしている。
真っ黒い布で目を隠していたのだ。純白の着物を着ているためとても目立つ、
けれど髪の綺麗さと肌だけで惹かれているため、目など見たら周りはどうなる事か…
四季が部屋へ入ってきてからどのくらい経っただろうか…驚く事に誰も一言も喋らない、、
神の子である四季さえも喋る様子は一切ない
ただただ、手を合わせている信者達…
神を信仰していない無陀野達にとっては地獄だった。
無陀野
「はぁ…(こんな無駄なことに金を使っておるのか…)」
京夜
「人多…(馬鹿な人がこんなにもいるんだ、)」
真澄
「チッ(気色のわりぃ場所に連れてきやがって)」
馨
「…(くだらない、、)」
紫苑
「ひまぁボソ(マジでなんで俺ここにいんの?)」
そんな地獄で永遠かと思われた沈黙は、後ろに控えていた管理人の一言でやぶれた
管理人
「それでは、皆様ご起立下さい…」
ザザッ
簡単に折れそうな体を素早く起こしみな立った。
これから一言神の子に挨拶をして帰るそうだ。結局最後まで神の子と会話を交えることはなく、一方的に信者が挨拶や感謝を述べて出て行く。
だが、無陀野達が目の前に来ると、付き添いの者が四季に何か耳打ちしたかと思うと四季は嬉しそうに口角を上げた。
この瞬間、無陀野達は固まった。
目は見れないものの確かに笑った四季は、何よりも美しく、輝いていた。
きっと、この時だった。
自分達の中の“普通”が大きな音を立てて、崩れたのは…
そう、無陀野達は全員、もれなく神の子一ノ瀬四季 に心を奪われたのである
無事全員部屋を出て、玄関へ向かっていた。
だが、全員ゆっくりと廊下を歩いている、もうすでに信者は誰1人いないと言うのに……
京夜
「ねぇ気にならない?(めっちゃ綺麗だった✨)」
馨
「同感です(あれが一ノ瀬四季、、一体何者なんだ)」
紫苑
「俺も〜(絶対美人だろ〜な✨)」
真澄
「まぁな(なんでなんもしねぇのに崇められるんだ?)」
無陀野
「そうだな(一族とは雰囲気が違ったな)」)
京夜
「めっちゃ綺麗な子だったよね!!✨ 」
紫苑
「本当!髪の毛とかめっちゃ綺麗✨」
馨
「(2人の気になるは恋愛系だったんだな…まぁなんとなく気づいてたけど、、)」
日本語は難しい…そう感じた馨であった
馨
「でも不思議と悲しそうでしたね…」
真澄
「あんな肌白いんだったら、外出てねぇんだろうな」
無陀野
「体が弱そうだったな…」
綺麗だと目を輝かせている2人を放って3人は呟いた
すると、長い廊下の奥から、
????
「それでは、僕たちはこれで」
管理人
「ありがとうございました…四季様もお気をつけて」
5人は驚いた…
その、最初に聞こえた声に聞き覚えがあったのだ…
京夜
「いや…まさかね?」
紫苑
「あるわけないよな…」
馨
「でも、もしそうであれば話は繋がります」
真澄
「どうゆうことだぁ?」
無陀野
「あの声は…」
ここにいるはずの無い人物の名前を出す。
全員の声が揃った…
するとまた、、
????
「さて、行こうか…」
確信した、これは唾切だ…
学校へ向かう時に言われた「行こうか」という言葉と重なった、、声のトーンなど、全く同じだった。そして、四季に手を伸ばした時、ブレスレットが見えた。それは昔、唾切自身が
「ある人から貰った大切な手作りのブレスレットなんだ」 と京夜達に言っていた。だから、見間違えるはずがない…京夜達は衝撃で固まっている。
無陀野にもその話をしていたため、目を見開いていた
そして遠くの廊下で、唾切はまた四季をエスコートしている。部屋へ帰るのだろう。
無陀野
「付いてくぞ」
京夜
「ここの一族めちゃ嫌ってたつばっちがねぇ」
馨
「バレるとめんどくさそうなんで隠れて行きますか…」
真澄
「あいつ、、神の子の話してもそらしてたからなぁ…今回ので問い詰めてやる」
紫苑
「まぁ行けばわかるっしょ!」
なっっっっっっっが!!!
ごめんなさい…分けようと思ったんですが、どうしても最後の場面を書きたくなってしまって…
読みずらいなどなどあったらごめんなさい。
今回は唾切がどこへ行ったか書きました!
想像と違っていたりするかもですが
そしてまたもや四季はセリフないし…ぐっだぐっだだわ…
多分だけど次回は四季くん喋るはず!
待っていただけると嬉しいです
それではまた次回会いましょう
コメント
6件
!やっぱり唾切さんは関係者か〜 てか、表現が上手すぎてびっくりした! 四季の美しさとか、目を引きつける雰囲気とか みんなが心を奪われた瞬間とか! めっちゃ最高だった✨️ 続き待ってる!!
唾切さん…やっぱ、四季くんと関わってたか! お堂に行くことを元々渋っていたのに、四季君に会った途端に目を奪われちゃう所めっちゃ好き! 四季君の綺麗さと不思議な雰囲気を纏ってる感じがめっちゃ伝わってきた… 唾切さんが無蛇野さん達に、行き先を聞かれて不機嫌になっていたのは四季君を独占する為なのかな…って勝手に解釈してる…。(多分間違ってる…)