7時11分渋川駅発
曇り
馬鹿が集まる高校なんて行きたくない。そんなこと思いながら今日も満員電車にのるはずだった。あれ、人がいない。なんでだろ。そーだった、今日は大体の高校が文化祭の代休だったんだ。ラッキーな日。座れる。なら音楽でも聴きますか。なににしようかな。今は相対性理論でも聴こう。最近ハマってるんだ。そーだな。地獄先生とキニナルアノコで決まり。ぼーっと外を眺める。ビル、学校、工場、移り変わる景色はなんとも言えないが飽きることがない。ただ、曇りなだけあっていつもより景色がきれいに見えた。なにか特別なことでもあるのだろうか。あ、隣の男子高校生が私の肩で寝ちゃった。たまにある。こーゆう知らない人の肩で寝ちゃうこと。ほんとに疲れてるんだよね。わかる。私は終点だし大丈夫だけどこの人は手前の駅で降りるなら大丈夫かな?とりあえず寝させてあげよ。それにしてもこの人きれいな顔。俳優さんみたい。鼻は高くてまつ毛は長い。私は寝ているからって気にせず顔を見続けた。油断してたときに彼は起きた。はっ…きれい。彼の長いまつげが間から見えるビー玉のような透き通った焦げ茶色の瞳を際立たせている。彼は見つめられたのは気にせず私の肩で寝続けた。今の状況が曲の歌詞とマッチして思わずイヤホンを外した。いつしか彼の黒髪は私の肩から離れ、彼は耳元でぼそっとすいませんと言って終点で降りていった。なんだったんだ。彼の息といい鼓動といい私を熱くさせているのはこれが原因か。耳がりんごよりも赤くなる。私が恋なんて。そんなの絶対ありえない!そーだ。また恋なんてしたところで何も変わらないの。もううんざりなのに、頭から体から彼のすべてが抜けない。もう一度だけ彼に会いたい。わかってることはひとつだけ。彼の名前が田中ということだけ。この日は高校で起きたことが全て夢のように感じた。まるで電車の中の出来事のように。あれは…。考えるだけで頭が真っ白に。今日から私は人生で最初で最後の恋を始めた。
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