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「ふぅ…!(とりまここに来たけど…)」
ここ、【花道公園】で時間つぶしをしようと来た。
だけど、することが何も無く….
「(何しようかな…?)」
「(あ、そうだ!)
僕は、前にここに来た時に見た『桜ノ花畑』に行くことにした。
――桜ノ花畑にて
そう言えば、ここにはとある “喫茶店” があるらしい。
僕は少しだけお金を持っているから、ここの花を見てからそこに寄っていくことにした。
少し歩くと、まだ咲いていない桜の木がズラッと並んでいた。
たぶん30本以上はあるだろう。
そして 地面には小さくて、でも凄く綺麗な花が咲き誇っていた。名前は分からない。
だけど、美しいことは確かだ。誰が植えたのやら….
昼に見るのも綺麗だけど、夜―― 夕方に見る花も凄く綺麗だ。
「…(菜摘…..)」
僕の頭には、ふと菜摘が浮かんだ。
――だけど、それはすぐ消えて… 代わりに檸檬ちゃんが出てきてしまった。
「(檸檬ちゃんのあの手紙… やだ、考えたくない…)」
僕は、檸檬ちゃんから告白されたとしても、それをきっぱり断れるのだろうか?
僕には、そういうのを断れる強い気がない。それが、自分の一番の短所だと思う。
そんな僕だけど、それを受け入れてくれた菜摘が、一番好きだ――!!
どこにいても、『菜摘が好き』という事しか出てこない。
そんな事を思っていると、どこからか物音が聞こえてきた。
「….!」
「綺麗….!!」
音がした方には、菜摘がいた。
菜摘は、花畑でしゃがみ込み、花を観察しているようだった。
それで、思わず「綺麗」という言葉が出たんだろう。
僕も一緒に観察したくて、いや話したくて、菜摘に話しかけた。
「な〜つ__」
「侑里く〜んっっっ!!!!」
「え、!?」
後ろから声がしたかと思えば、そこには….
檸檬ちゃんがいた….!!
「なんで、檸檬ちゃんが…..」
そう言うと、先に僕の存在に気付いた菜摘は 混乱しているようだった。
だから、僕が一旦状況を説明することにした。
「えっとまず、僕は塾の前に ここにちょっと寄り道…」
「あ、うん。」
菜摘は、僕の言葉にうなずいた。
そして話を続ける。
「んで、僕が菜摘に気付いて話しかけたら… 檸檬ちゃんがいた、って感じ?」
「そうだね___」
「あの、一つ聞きたいことがあるんだけど…」
菜摘は、檸檬ちゃんが誰なのかを僕に聞いた。
「えっとね、檸檬ちゃんは学校の友達で、僕の家にサプライズで遊びに来てたんだよね?」
「そうです!」
「サプライズ….?どういうことかしら?」
そう言われると、檸檬ちゃんがその事情を詳しく説明した。
「なっるほど〜。それで、ここに来たわけね。」
「うん!私は喫茶店に行きたくて来たんだけどさ、なんで侑里くんが….??」
「….」
ここでさっきの「告白らしき手紙があって、一旦逃げたかったから…」なんて言ったら、どうなるだろう…?
絶対言ってはいけないやつだけど… もう、嘘をつくことは出来ない。
――だから、仕方なくそれを言うことにした。
――でも、菜摘には聞かれたくないな…
かといって、一瞬耳を塞いでて! なんて言ったら、隠し事をしていたみたいになるし…
どうすれば良いんだろうか。僕は、ずっと黙り込んでいた。
「え、と、理由は…?」
「ごめん、もう言うね… 檸檬ちゃん、菜摘…」
「うん、良いわよ?」
「な、何?」
「えっと。それが…….」
僕は、その事情を二人に説明した。
その一部始終、菜摘は目を丸くしていた。檸檬ちゃんは、冷や汗をかいているようだった…
僕の話が終わると、菜摘はすぐに話しだした。
「檸檬さん、侑里が好きなのかしら?」
「……. は、い……//」
「!?」
檸檬ちゃんが、僕を…. 好、………き ??
やっぱりそうだったのか………
でも、分かってもまだ整理が追いつかない。だって、すでに彼女がいるから….
「菜摘さん、本当にごめんなさい…… 勝手にこんな事してしまって….」
「いえ、あなたが謝ることじゃないからね?人を好きになるのは普通だから。」
「人を愛し続けることも、ね!」
菜摘はそう言いながら、いつもと違う笑顔でこちらをチラ見した。
僕は、急な笑顔にギクッとしてしまった。
だけど、菜摘はすぐに視線を戻し、話を再開した。
「だからね、結論としては….」
“諦めてほしいの。”
「あなたは、明るくて素敵な人だから、きっと良い人が見つかるわ!」
「!」
「お願い、侑里は手放したくないの…!」
「! ですよね!でも、これで諦めがついたから。」
「これからは、他の良い人を探していくねっ!」
「えぇ!」
菜摘たちは、そんな会話をして微笑み合っていた。
――僕は、この会話の中でまたドキッとしてしまった。
菜摘が、「侑里は手放したくないの…!」と言っていたからだ。
僕はやっぱり、こういう言葉には弱いんだな〜〜と思った。
「まぁ、解決できたし良かったよ!菜摘も檸檬ちゃんも、ありがとう!」
「どういたしまして!!」
「こちらこそだよっ」
そして僕達は、これからもずっと友達、また恋人でいることを誓うのであった。
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