今日は大好きな人の誕生日。
12月2日。
俺の旦那さん、まろのお誕生日だ。
年に一度のこの日。
去年はまろがお仕事だったから息子の初兎と一緒にケーキを作ってプレゼントも用意してまろにサプライズをした。
とっても喜んでくれて何故か3人で泣いたっけ…w
そして今年、まろと俺の子供初兎が生まれてから6年経った今日。
目の前には喧嘩をする息子と夫がいた。
「ママ僕のやからっ!!」
「いーや、パパのものですぅー」
ムスッと頬を膨らましてまろを睨む初兎と、眉間に皺を寄せた険しい顔で初兎に対抗するまろ。
いやいやいや、あのね…
『まろ大人気ないから』
「はぁ!?悠佑が俺のなのは事実じゃん!!」
付き合う時言うたやんけぇ!!なんて声を無視して初兎の方に歩み寄る。
『初兎、今日はママとお出かけしよっか』
「うん!!」
「おい!ちょっ、待ってよ!!」
今度はまろがムスッと頬を膨らましていた。
「今日は俺の誕生日なのっ!!」
『うん、でも初兎の誕生日でもあるやん』
「いや、まぁそれはそうなんだけど…」
そう。今日は愛するまろの誕生日でもあり、大好きな初兎の誕生日でもあるのだ。
かれこれ15分くらい俺の取り合いをしている気がする…。
もう3人でゲームするとかで良くないかい??
「今日は!僕、ママと遊園地行きたいの!!」
『遊園地かぁ〜全然行ってなかったもんな〜』
「俺はママとイチャイチャしたい!」
『え、うーん…』
まろの言葉に少しだけ心が揺れ動く。
いや、初兎と遊園地に行くつもりではあったんだけど…。
確かに初兎が生まれてから全然まろとい、イチャイチャ…?出来てなかったし、、、。俺もまろとハグとか、キスとかしないなぁとは思っちゃってて…。
『ねぇ、初兎。明日やったらあかん…?』
「えぇ、明日僕の誕生日終わってるもん…今日がいいもん…」
『そうやんなぁ…』
そう言って初兎の頭を撫でながらチラッとまろを見る。
「っ、俺も今日がいい!!」
『明日じゃ…あかん…?』
「明日だったら俺の誕生日終わってる!」
『うぅ、それはそうやけど…』
さぁて。どうしたものか。
両者1歩も譲りません。
俺が分身出来たら良かったのに…って本気で思えてきた。
「今日はママは僕の!!」
「今日こそママはパパのっ!!」
ここ数年の誕生日は初兎優先だったから今年はまろっ!てしたいんだけど、去年はまろだったもんなぁ…。
うーんと頭を悩ましているとある1つのアイディアが生まれてきた。
あ、これでいいじゃん。
『なぁ、2人とも』
「なぁに?ママ」
『今からは初兎ので、夜だけパパのじゃダメかな?』
「は?」
「うーん…僕はそれでもいいよ、、、?」
「俺はヤダ!」
『えぇ、なんでよまろ…』
「今から18時までだとして初兎は約8時間だろ?そしたら最近寝るの22時くらいだから俺は5時間しか悠佑のこと独り占め出来ないじゃん!」
『そうかもしれんけどさぁ…えぇーダメ?』
こういう時こそ、必殺!上目遣い!!
ないこから伝授されたまろにおねだりする時の必殺技!効いてくれ!!
「…はぁ」
深く吐いた溜息。
まろは俺の方に近づいておでこをこつんっとくっつけた。
「夜は俺の。絶対やで」
『…おん!』
まじでないこナイス
と、ないこに届くわけもないのに心の中で言う。
ふわっと香ったまろの匂いにやっぱり大好きだなと不意におもってしまった。そのせいで少しだけ寂しくなる。
「んじゃ、俺収録行ってくるわ。初兎、楽しんでこいよ」
『まろありがとう』
「パパばいばーい!!」
それから服を着替えて準備を済ませて初兎と2人で電車に乗って遊園地に向かった。
平日ということもあり、案外人は少なくスムーズにアトラクションに乗ることができた。
「ねぇ、ママァ」
お昼ご飯を食べている時、突然初兎が悲しそうな声で俺を呼んだ。
『ん?どした?』
「来年は、僕じゃなくてパパのことゆうせんする」
『え?』
「だってあんなパパ見たことなかったもん」
『あんなパパ?』
あんなパパとはどんなまろだろう…。
普通にゲームに負けたくなくてムキになっているまろと同じような感じだったけど…。
「パパはいつも初兎の言ったこと全部してくれるのに今日はしてくれへんかった」
『確かに、初兎とまろが喧嘩してるの初めて見たかも』
「だからね、今日はほんとうにママをひとりじめしたかったんだなって思ったの」
『…そうだね』
「帰ったら、パパにごめんなさいする…」
『初兎は偉いなぁ』
よしよしと頭を撫でると嬉しそうに笑う。
本当にいい子に育ってくれていて嬉しい。
俺の子供だから口の悪い生意気な子になってしまったらどうしようとハラハラしていたがこんなに人の気持ちを考えてちゃんと謝れる子になってくれて安心した。
自分で振り返って、間違えたことはきちんと謝れる。こういう所がまろに似たんやろうなぁ。
なんて、俺とまろの子供なんだと強く感じた。
なんだか無性にまろに会いたくなってきたな。
夜を楽しみに初兎と遊園地を楽しんだ。
「『ただいまー!!』」
「おかえり」
『なんかいい匂いする…!』
「夜ご飯作ってた」
「夜ご飯なにー?」
「初兎の大好きなハンバーグだよぉ〜」
やっぱりまろも初兎を愛しているから。
誕生日なら俺に任せてくれても良かったのに自分の子供の為に料理を作ってくれる。朝の喧嘩が嘘のようまろは初兎を抱きあげてほっぺをすりすりしていた。
うぅ、俺も…してほしいなぁ、なんて
そんな俺の目線に気づいたのかまろはこっちを見て手招きをしてきた。
「初兎、先にお手手洗ってきて」
「うん!!」
とことこという音が鳴りそうな歩き方をしながら洗面所に向かう初兎。
そんな初兎を見送ってまろは俺の名前を呼んだ。
「悠佑」
『ん?』
ちゅ
『…へ?』
「夜は俺のなんやろ?」
そうにやにやしながら言うまろ。
カァーっと顔が暑くなるのを感じる。
『ま、まだ18時じゃないし…』
「あと5分じゃねぇか変わんないじゃん!」
『ご、ご飯終わったらにしよ?』
「まてないー」
『初兎戻ってくるからっ、』
「悠佑吸収させてぇ〜」
そう言って俺の肩に顔を埋めてくるまろ。
両手首を掴まれて壁に押し付けられる。
こういうのは初兎の教育に良くないのにっ、。
だけど、求めてる自分もいて…久しぶりにまろとしっかり触れ合えるのが嬉しくて。
首らへんにまろが歯をたてるのを感じて肩を竦める。
『ね、まろ…』
「パパ?」
『へ!?初兎!?』
いつの間に戻ってきたのだろう初兎が俺らを見て不思議そうに首を傾げている。
「なぁに、初兎」
「あのね、…ママ取っちゃってごめんなさい」
『初兎…』
初兎の真剣さが伝わったのかまろは俺から離れて初兎と目線を合わせるようにしゃがむ。
少しだけ涙を浮かべる初兎を今すぐにでもよしよししてあげたいが心を鬼にして見守った。
「パパがね、いっつも僕ににママゆずってくれてるのわかってるのに、パパの誕生日の日までママを初兎がひとりじめしちゃってごめんなさい」
「でも、夜はパパに譲ってくれるんでしょ?」
「うん、ママがねっ、僕と遊園地行ってる時にパパに会いたいって言ってた!!」
『え!?』
待って言った覚えないんやけど…もしかして無意識に言ってた…??
「ママはパパのこと大好きだもんな」
『っ…!そ、そんなことないしっ!!』
「でも、お昼ご飯食べてる時、ママ『パパって世界一カッコイイんだよ』て言ってたよ?」
『ちょ、初兎!?』
「へぇ〜?そっかぁ〜」
ニヤリと口角を上げて俺を見つめるまろ。
あぁ、もうっ!!!
『俺手洗ってくるからっ!!!』
「ママ恥ずかしいんだね」
「照れちゃってかわいいなぁ〜」
『聞こえてるからなっ!!!』
駆け足で洗面所に向かって手を洗った。
鏡に映る自分の顔が想像の倍赤くて顔まで洗ったのは秘密。
『まろ〜…初兎、寝た?』
「おう、ぐっすり」
あの後みんなで仲良くハンバーグを食べてケーキも食べてプレゼントも渡して。
夜からはまろのっ!なんて言ったけど結局は3人で仲良くゲームしたり、お話をした。
バースデーボーイに先にお風呂に入ってもらい、後から俺が入って上がるとシーンっとしていたのでもしかしては。と声をかけると初兎が寝ていた。朝から遊園地に行って疲れたのだろう。
まろの腕の中で眠る初兎の寝顔が可愛くて思わず写真を撮ってしまう。
「ベッドに寝かせてくるな」
『うん、ありがとうな』
「てか悠佑髪乾かしてないじゃん。俺が乾かすから待ってて」
『あ、うん』
大人しくソファに座って待っていると直ぐにまろはドライヤーを片手に持ってきて、俺の隣に座った。
「ん、ここ」
『え?』
「座って?」
指示通りまろの足の間に座る。
なんだかこの距離久しぶりにだなぁとか、付き合ってばっかの時はこんなだったよなぁなんて色々思い出していたらいつの間にか乾かし終わっていたようで後ろから急に抱きしめられた。
『うぉっ!?』
「悠佑〜! 」
『どうしたのまろ』
「はぁ、悠佑大好き」
苦しいくらいにぎゅっと抱きしめられて、なんだかいつもは口にしない恥ずかしい言葉がポロッと出てしまった。
『俺は愛してるよ』
しばらくの沈黙。
自分の言ったことが段々恥ずかしくなってきて誤魔化すためにまろに言い訳をしようと後ろを振り返る。
『ちょ、まろ何か言っ……んっ、』
「ちゅ、…ふっ、…」
突然のキス。
触れ合うだけのキスでも興奮してしまう。
何度も、何度も重なって…。
あぁ、ダメだ。本当にまろが足りない。俺の中に、足りない。
『まろっ、』
「悠佑」
『ふぇ?』
「分かってたんやろ」
え、なにがっ、?
「夜を選んだってことはこうなるってこと」
そうまろは言って俺を押し倒してきた。
…そうやで、、?ちょっとだけ期待してたの。ねぇ、だから。
『まろぉ、…もっとちょうだい…?』
「わかってる…そんなこと言われたら止まらなくなるからやめて」
『えっち、しよ…?』
「おまっ、ほんとに…」
『パパの、ほしいのぉ』
「はぁ…ママ、それズルすぎ」
もうちょっとで余裕が無くなりそうまろ。余裕の無い彼が見たくて追い打ちをかける。
『パパっ、俺…2人目ほしいな、、』
お腹の少し下に俺の言葉に目を見開いたまろ の手を置いて触れただけできゅんっとなったお腹の奥は無視をして、まろの耳元で囁いた。
『ここにいっぱい、まろの、ほしい』
「我慢しねぇからな」
『うん』
「悠佑…愛してる」
『俺も』
それから激しい一夜を過ごして、次の年に第二子が誕生した。
いむが生まれてからママの取り合いが激しくなったとかなってないとか
コメント
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初コメ失礼します!違うアプリからきたんですけどめちゃくちゃ素敵なお話ですね✨️ あさんが書くストーリーってどれも本当にぐさっって来て疲れた体に染みます😭 こんな素晴らしいものをありがとうごいます!
最高です🥺🥺💕💕💕 やっぱり取り合いっていいですね……👍🏻水くんも参戦の取り合いも見てみたいです😇😇😇
待って最高過ぎます✨ 3人の取り合いとかも見てみたいです✨(図々しくてごめんなさい…)