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「もう痛くはないだろう?」
こくっと頷いて、「……だけど本当に、髭が生えていてもちっとも嫌ではなかったんです。髭のあった顔も……今も、どちらも好きですし」彼の顔を改めて見つめた。
「わかっているよ。さっきも言ったように、いい機会だと思ったからで、何も気にすることはないから。君にどちらも好きだと言ってもらえて、私も嬉しいよ」
彼の投げかける優しい言葉が、気にしがちだった私の心を温かく包み込んでくれるように感じる。
「あの、触らせてもらっても、いいですか?」
「ああ、触ってみるか?」
手が捕まれ頬へと誘われた。ひたりとその肌に触れると、滑らかな感触が手の平に伝わった。
「すべすべしてる」
「そうか、すべすべしてるのか」
彼が同じように返して、くくっと喉の奥で短く笑い声を立てる。
お互いに鼻先をつき合わせるようにして、笑い合うと、
「黙っておいで」
と、自らの口元に当てた人差し指を、私の口にかざして、
「……これで、心おきなくキスできる」
再び、閉じた唇に口づけた……。