前書き
この小説は由良さんとのコラボ作です。
1部グロ表現が入ります。
苦手な方は閲覧を御遠慮ください。
上話は由良さん原作
下話は水無瀬のオリジナルとなっております。誤字脱字等あればコメントでお知らせください。
それではどうぞ。
時は大正____
とある国のとある町に
鉄鉱石事業が盛んな家があった
その家は非常に優秀な家系で
地域からも深く親しなまれていた
財政が危機に達した町を救った父
貧困問題を解決し人々に貢献した母
十を超える数多くの事業を成功させた兄
怪我や病の治療に深く携わっている姉
そして、何も出来ない無能な弟の渉
優秀な家系を汚らわす物として家族から、町の者から虐げられていた。
外では聖女として称えられてる母も家では渉に罵声を浴びせこき使い、食事も満足に与えず人間として接しなかった。
他の父、兄、姉も才能がない渉と関わることはしなかった。
親しく接してくれたのは物心が付いて少したった頃までだ。そこから12年もの年月の間、渉は家の恥として過ごしてきた。
「あっち行って!!あんたは無能なんだから家の床でも磨いてなさいよ!!」
「はぁ、どうしてお前だけこんなにも出来損ないなんだ?」
「頼むから俺達に近ずかないでくれ。お前が同じ家族と言うだけで恥ずかしいんだよ」
「どーせ何も出来ないんだからさっさと消えれば?wあんたが居なくなっても悲しむ人なんて居ないんだから!」
そんな暴言を吐かれ続ける毎日。
これが普通。何も出来ない僕への罰。
姉に言われた通りこのまま消えてしまおうと思った。そこから家の窓から飛び降りようとした。
消えることに対して何も思わない自分。
いっそのことこのまま消えてしまおうと。
覚悟が決まって窓から顔を出した時、
「何してるのー?」
そんな明るい声がした。下の方からだ。
下の方を見ると上を見上げて興味深そうに僕を見つめる女の子が居た。驚いて固まってしまった僕にまた話しかけた。
「どうしたのー?何かあったー?」
黄金に輝く髪に空のように鮮やかな青い目を持つ女の子。
外国の子のようだ。
「おいでよ!!あそぼ!」
まるでここの国の人のように流暢に言葉を話す姿に驚きながら外へ出た。
外へ出ると明るく少し年下であろう女の子がニコニコ笑いながら待っていた。
上から見ていたから分からなかったがその女の子も僕とは全く違う綺麗な服を着ていて髪の毛もサラサラだった。
「私の名前はラリア!君の名前は?それよりこっち来てお話しようよ!私の家教えてあげる!!さっき何してたの?ご飯は食べた?早く早く!こっち来て!!」
ラリアの喋るスピードについていけず戸惑ったがラリアの家に行くことにした。
「僕の名前は渉。氵に歩くでわたるって言うんだ。ラリアは片仮名でラリアなの?」
「うん!そうだよ!!」
お互いに自己紹介をしながら歩いていった。
着いたのは少しの葉が着いた木の棒の前。
「ここだよ!ここが私の家!」
ただの木の下が家だというラリアに驚いてまた固まってしまった。
「ねぇねぇ!友達できて嬉しいなあ!渉のこと沢山教えてよ!」
興味津々で僕のことを聞いてきた。
こんな僕のことを話したらきっと離れていくに違いない。はぐらかしてラリアのことを最初に聞くことにした。
「ラ、ラリアはどうしてこんなとこにいるの?家族は?」
ラリアは少し考えてから話し出した。
さっきとは違う落ち着いた口調で。
「元々は別の国で家族で暮らして居たの。ママとパパはすっごく偉い人でね。私もきっと凄い人になるって言われながら過ごしてて。でも出来ないってことではないんだ。でも。なんだかとっても苦しくて。何度も家出した。その度に怒られて。そのまま勢いでこの国まで来ちゃった。w」
才能があるなら。そう思ってしまった。
そんなこと言えるわけが無い。
考えて考えて考えて。
「頑張ったね。」
その一言しか思いつかなかった。
ラリアは暗い顔から少し明るくなって
「渉はさっきまで何していたの?」
この質問には返さないといけないと思った。
「僕は、才能が無いんだ。」
ラリアはきょとんとした顔で
「どうゆうこと、?」
僕はゆっくりゆっくり事情を話した。
話し終わった時、ラリアは明るい笑顔とか変わって優しく穏やかな顔で
「渉がまだ生きていてくれてよかった。大丈夫だよ。」
そこから少しの間沈黙が続いたが日も暮れて暗くなったのでそのままラリアと寝ることにした。
「おやすみ。また明日。」
「うん!おやすみ!」
次の日もまた次の日も沢山ラリアと話して少しのお金で一緒にご飯を食べて毎日が楽しくなった。そこから長い年月が立って僕達2人も働ける年齢になった。日雇いではあるが2人で働いてお金を貯めて2人で一緒に暮らすことがお互いの夢になっていた。
やっとの思いで働いてラリアも結婚できる年齢になった時に僕はラリアに想いを伝えた。
「ラリア。ずっとずっと大好きだ。愛している僕と結婚してくれ。絶対に幸せにする。」
僕はラリアの顔をしっかり見つめながら伝えた
ラリアはぱっと今までで1番明るい笑顔で
「もちろん!ありがとう!」
その時頬が熱くなるのを感じたのと同時に一滴の雫が頬を通りすぎた。
次の日に役所に届け出をすることにして
今日は世界で2番目に幸せな夜を過ごした。
「渉!行こう!」
ラリアの明るい笑顔と共に役所へ向かった
届け出をすることが出来、ラリアはとても嬉しそうだった。
共に少しボロく狭いが幸せな我が家へ帰った。
数年の年月が過ぎ、働いていた日雇いで高給取りの出張募集があった。その掲示を見た瞬間ラリアに楽をさせてあげたいと思いその事を話した。
ラリアは少し寂しそうな顔をしながら「凄いね!頑張って!」と言ってくれた。
ラリアの後押しもあり早速応募をした。
どうやら出張が決まったらしい。
数日ラリアと会えなくなるのは寂しいがまた次沢山過ごせばいいだろうと自己合理化し目的地まで行った。
現場についても普段と作業は変わらず土木作業ばかりだ。かなりの人手が必要らしく3日の仕事で3円50銭とかなりの高給だった。
ラリアのことを考えながらその3日間しっかり働いて3日目の晩に帰ることが出来た。太陽は沈みかけ反対には暗闇が広がっていた。
やっとの思いで家に着いた。
「…どうして?」
あまりのショックに膝から崩れ落ちた。
ラリアが頭から血を流し黄金の髪が赤く染っていた。
ラリアの頭を持ち嘲笑う姉の姿
やっとやってやったとでも言いたげな兄
魔女のような憎たらしい顔で優しくラリアを撫でる母。
血塗れの鈍器を持ち、こちらを睨めつける父
「あぁ、ああ”ぁ”!あ”ぁ”ぁあ”ああ”あぁ”!!」
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
どうしてラリアがこんなにも血塗れなんだ…?
何があった?違うこれはラリアじゃない。
ラリアは…ラリアは…こんな姿にならない…
「おい、渉ゥ。うるせぇんだよ。」
「直ぐにお前も逝かせてやるからよ。」
「次はあたしがヤっていい?」
姉は返事も待たずに怪しげな鞄を開けた。
その鞄には注射やメス、怪しい薬に空の血液パック、点滴セットなど医療器具が入っていた。
兄に手錠をつけられ足も固定された。
「…逃げる気なんてさらさらないのに。」
そこから姉による拷問が始まった。
質問の内容は自分たちのことを誰かに話したのか。どんな生活をしていたのかなど自分たちの名誉に関することばかり聞かれた。
もう時期死ぬ運命。素直に全てを答えた。
ゆっくりゆっくり暗闇に入っていった。その度に痛みにより現世に引き戻される。
それでも、苦しくはなかった。
…ラリアを、守れなかった。
もう、痛みも感じない。
ラリア、すぐ行くね。
もっと楽をさせてあげたかった。
もっと贅沢をさせてあげたかった。
もっと沢山の幸せを感じさせてあげたかった。
もっと…もっと…もっと
もう一度ラリアと一緒に人生を歩めるなら。
そう願いながら暗闇に落ちていった。
「ここは…?」
1面真っ白な空間。天国かと思った。
愛する人も守れなかったのに天国なんて行けるわけが無い。地獄がお似合いだ。
どれだけ考えても後悔ばかり。
また貴方ともう一度。
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