水兎「…私達も、この事を知ったのは最近よ。ライさんの付き添いで少し遠出した帰りに、血塗れのこの子と、母親を見つけたの…」
桃李「…そうか、。」
それはまぁ、なんて言うか、複雑だな…
ライ「僕達は急いで仏と母親の容態を確認しました…けど、、」
ライの口振りから察するに、母親の方は間に合わなかったのだろう。
この件、どうやら思ったよりも重たいらしい。
桃李「それで、今回俺達は何をすれば良い。」
水兎「…簡単に言えば、今日から1週間、仏の‘‘護衛’’をして欲しいの。」
水兎とライの話をまとめるとこうだった。
仏の産みの親が亡くなり仏を保護した当時、ニ番街の稲荷教は破滅に追いやられていた。
教祖の集金の不正利用の発覚。
新たな妻は子を成せない身体で、浮気を繰り返していた。
これら2つの要因で心を病んだ教祖は自害。
正当な「稲荷」の血筋は途絶えた。
不純な宗教を信じれないと民衆が不信感を抱き始めていた時、とある信者はこう言った。
『前教祖には子供が居た筈だ。』
信じる者が無くなって心の拠り所を失った信者達は、躍起になって子供を探した。
その子こそは本物の神の使いだと。
そして、突き止めた。
ライ「…先日、その信者さん達がこちらに攻めて来て、、」
桃李「ん??攻める?なんでだよ?」
水兎「なんで。ってそれは、…確かに私達は仏の許可を得て一緒に居るし、心から愛しているけれど、二番街の信者さん達からしたら、私達のした事は誘拐と変わらないのよ、、。だから、なるべく争いたくなくて、桃李さんには話し合いの場を設けて欲しいの。」
話を聞く限り水兎達に悪い点は一つも無いし、むしろ盲目な信者やクソみてぇな肉親が悪い気さえするが…
ライ「…君は少し、優し過ぎる所があるけれど、それでも水兎ちゃんがそう言うなら、僕もそうするよ。、という事で旦那。お願い出来ませんか、??」
ライは水兎のそーゆーとこが好きなんだなぁ、、
返事なんて決まっている。
桃李「勿論、良いぜ!」
そう言うと水兎はパァっと顔を輝かせ何度も何度も礼を言ってくれた。
桃李「まぁ護衛つったって、相手は一般人のド素人だろ?そんな心配しなくてもいー気もするがァ…、、」
ライ「…まぁ、どうせ今日も来るでしょうし、その時にわかって頂きましょう。」
桃李「?」
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初兎「…て事があったらしいねん、。」
ないこ「…それは、、、大変だ、。」
初兎ちゃんから弟くんの過去を聞いた。子供の拙い説明ではあったけど、それでもその壮絶さは十二分に伝わる。
初兎「いむくんは神様なんや…信者さん達に返してあげた方が良いんかな…。」
ないこ「しょーちゃん…」
あまりに悲しげな表情は見ていられなく、俺は思わず目の前の子供の手をぎゅっと握った。
ないこ「それは違うよ。」
きっと弟くんだって、初兎ちゃんが大好きなはずだ。
ないこ「今さっき会った俺の言葉なんて、信用できないかもしれないけど…、君と遊んでいる時、仏くんの顔はとても幸せそうに見えた。それに、初兎ちゃんは‘’返してあげた方が‘’って言ってけるど、仏くんは本当にそんな事望んでるのかな?」
初兎「だ、って…ここは、ホントのいむくん家やない…、、。」
ないこ「…俺もそうだよ。」
初兎「、?」
ないこ「俺だって、桃李の本当の弟じゃ無い。」
初兎「ぇ…ッ、、ごめんなさ、僕、そんなつもりじゃ、んむっ、」
謝罪の言葉を綴る初兎ちゃんの口を人差し指で黙らせ、話を続ける。
ないこ「でもね、それを桃李に言った時、アイツすっごい怒った笑」
初兎「なん、で?」
不安そうにこちらを見つめる頭を撫で付け、話し始めた。
ないこ「俺、最初は此処に来るつもり無かったんだよ?桃李が旧友と会うって聞いて。そしたら俺、邪魔じゃん。」
ホントの事だ。しばらく桃李の仕事に付き添って「桃川桃李の右腕」と言う名が知れ渡り始めた時、俺は凄く嬉しかった。
桃李は、「なんっっかい言ったらわかんだよ!ないこは俺の弟だっつーの!!人に会うたんびに紹介してんのに、ビジネスみたいに言うなよな…」と、少しむくれた様子だったけど笑。
仕方がないよ、所詮俺は拾われた身だ。もとよりいくら桃李が俺のことを弟のように可愛がってくれたとしても、本当に弟になれるなんて思っちゃいない。
そんな思い上がりは、しちゃいけない。
そう思っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー少し前ー
桃李「…はぇあ?」
次の任務の打ち合わせをしている時、急に桃李がアホみたいな声をあげた。
いや実際アホなんだが。
ないこ「だから、次の任務は俺着いてかないよ。」
事の発端は桃李が次の任務で三番街に行くと言ってきた事だ。
「昔の知り合いに会うんだ!!たのしみだなぁ、、!」なんて、幸せそうな顔で言うから、俺は行くのを遠慮した。
俺の仕事は桃川桃李の右腕として桃李が舐められない様尽くす事だ。
その為に割と危ない交渉もしてきたし、ナメた先方には軽い圧力を掛けたりもした。その甲斐あって、ここ数年で桃李の評判はかなり上がった。
自慢じゃないが、時期桃川当主の右腕は相当頭がキレ、隅に置けないと言う噂も立っている。しかも大々的に。
普段の依頼や商談ならそれもまた構わないが、今回の相手は桃李のご友人だ。
もし、万が一、相手の気分を害してしまったら、?
探りを入れられている、信用されていないと思われてしまったら???
恥じゃ済まない。
桃李「なっ、なんでだよぉ💦!、一緒に行こうぜ??…兄離れか、、??兄様にはもう飽きたのか!?!?💦💦」
きっと桃李は気にしないだろう。けど、俺が気にするんだ。嫌なんだ。
少しでも、ほんの数ミリでも、俺のせいで桃李の価値を下げたくない。
ないこ「だって俺が行くと迷惑でしょ?笑。友人同士水入らずで、楽しんでおいでよ!!」
だから、これで良い。
桃李「…、、お前、なんか隠し事してんな?」
ないこ「…なにが?」
本当は行きたいなんて、言えない。
コメント
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うわぁ…🍣くん可愛い〜本当は行きたいのに🍑さんのこと思って引いてるのがお兄ちゃん思いでいい子だねぇ😭 あと💎くんはそんな野蛮人にはあげないよね!!!