テラーノベル
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「君と春とそれから私」
卒業シーズンですね。
注意事項
※トゥルーエンド、ruの片思い
※不穏
※VTA時代の描写あり
※嘔吐表現あり
※公式から言及のないrbの記憶喪失に関する捏造あり
※作中同期の名前が出ます
色々と許せる方のみ閲覧お願い致します。
ここから伏字なし
小柳side
『白い光の…に〜〜て〜〜♪』
…何だ
『勇気を…〜〜希望〜〜〜広い〜〜♪』
歌か?色んな人の声が聞こえる。
『懐かしい……声〜〜〜…る〜』
……これ、俺も歌ったな。
…………………
後ろから肩を掴まれる。振り返ると頬を人差し指で刺された。小悪魔のような笑い方で俺を見る彼。
『ねぇぴょん声全然出してなかったでしょ』
『いや出してたって。お前こそ歌詞あやふやだったじゃねぇか。てか指で刺すのやめろ。』
彼はどこからか摘んできたたんぽぽの綿毛を持ち、廊下の窓から外に飛ばそうとしている。
『え〜やだ。歌詞どうこうはぴょんにだけは言われたくないね。…そうだ、式終わったらさ、ちょっと教室で残っててくれない?』
『ああ…、うん…。』
その…俺も、、
「……俺も伝えたい事…。……あるから」
今日もまた、天井に向かって届かなかった言葉を反芻する。
〜〜〜〜〜〜〜〜
定期的に見る夢がある。特にこの季節。3月あたりのぬるい風が吹いてる、でもどこか冷たい、不安になる匂いのするこの季節。おそらくこの国において出会いと別れが最も多いと思われる3月は、そんな人間の気持ちが空に伝わったかのように空気がわなわなと蠢いている。
ちらほらとたんぽぽが咲き始めた校庭の芝生。
桜の花びらが舞う教室。
その窓際に居る綿毛をオフホワイトの髪に付けた彼。その目の前に座る俺。…勇気を出せなかった俺。
この季節が来る度に、俺はどこにもぶつけようのない後悔と自己嫌悪を抱える事になる。
それを察したかのように携帯がとある人物からのメッセージを受信した。
「小柳君今日予定ありますか?」
…少し逡巡して、ベッドに横たわったまま2分ほど放置する。深くため息をついて、もう一度そのメッセージを読み返してから返信した。
「ない」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「〜って事があって。酷いんですよカゲツ…。…ねぇ小柳君聞いてます?」
「…ん?あぁ」
最近暇な日があると俺の家に転がり込んでくる星導。本人曰く「うちの電気代が勿体ないので」との事。俺の家で節約するなと口では言っておきながら一度も拒絶しない俺も俺だ。特段何をする事も無く、俺は配信準備をしたり、星導もスマホ、漫画、アニメを見たりと各々自由な時間を過ごすのがお決まりになりつつある。
今日は星導は一方的に話がしたい日のようで、俺がパソコンをいじる横でひたすら話しかけてくる。
「もー構ってくださいよ折角家まで来てやってるんですから」
「いやいやお前が毎回勝手に押しかけて来てるだけだろ」
「忙しいなら断ればいいじゃないですか」
「別に断る程の予定もないんだよこっちは」
「非リアの鏡ですね」
俺がマウスで殴る振りをして、星導は大袈裟に体をくねらす。「おぉ怖〜」などと抜かしているのを横目に作業へ戻る。そんな俺の反応をつまらなさそうに星導は見てくる。
…正直、今朝見た夢の影響もあり、まともに星導と対話ができる自信がなかった。気を抜くとあの時の、学生時代の星導を求めてしまいそうになってしまうのだが、それは今の彼にとって凄く残酷な行為だ。俺の身勝手な罪悪感や後悔の為にそんな事を望むだなんて許されない。どうにかこの気持ち悪い願望を気力で抑えていた。
「…すいません。今日はもう帰りますね」
「え…」
いつもなら俺が配信を始める直前まで居座るのに、彼はまだ来て1時間もしない程で帰る支度を始めた。俺の思わず漏れた声に星導が反応する。
「ふっw何です寂しいんですか?」
「いや、別にそういうんじゃ」
「ならもう失礼しますね。お邪魔しました」
「ちょっと待てっ」
ほとんど無意識に星導を引き止める。彼の腕を掴んでからやっと自分が星導を帰したくない事に気がついた。
「…何です?さっきまで構って来なかったのに」
「…いや、その…」
上手く彼を引き止める理由が出てこない。そりゃそうだ。まともに取り合う自信もないのにただ何となく横にいて欲しいだなんて、そんな願いは恋人にしか通じない。俺が星導に頼んでいい事じゃない。
上手い事ここに居てもらえるような嘘も思いつかず、俺は黙って床を見つめるしかなかった。
そっと彼の腕を離す。
「悪い。またな」
「…。はい。また」
星導が歩き出して数秒後、玄関から重く扉が開閉する音が響いた。
「…星導」
自分から彼を帰したくせに、俺の口からは名残惜しそうな声が出る。
またこうやって俺は、長い人生に残る後悔を増やした。
星導side
まただ。また無意識に小柳君家に居た。何か特別な用事がある訳では無いのに彼へ会いたい欲求が体の中から湧いてくるような、そんな感覚が定期的に体を襲う。
そして、小柳君から何か行動を起こされる事を恐らくは望んでいる。恐らくというのはこの欲求自体が俺の意思とは関係の無い所で起こっている為、何とも言及しにくいからだ。今の所小柳君には適当な理由をつけて怪しまれないようにしているが、こんなのがずっと続いたら俺だって小柳君だって困るだろう。というか彼はもう困っているだろうけど。
なのに小柳君の方も何だか挙動不審で、今日は特に酷かった。俺が帰ると言い出すと引き止めてくる癖に、何を言い出すかと思いきや普通に帰されるという有様。まぁ、俺の度重なるお家凸のせいで彼も疲れているのだろう。
気まずくて彼の家を飛び出してきたが、何となく真っ直ぐ家に帰る気分にもなれず、俺は珍しくお酒を飲んで帰ろうかとBARに立ち寄った。
〜〜〜〜〜〜〜〜
この欲求?感情?について、何の心当たりもない訳では無い。
決まってこの時期、この感情が向くのが小柳君だけ、反応から見て小柳君も何か隠している事がある。
…この情報だけで大体検討がつく。
おそらくは星導晶…、この体の前の持ち主と関係があるのだろう。
俺の思考の介入する余地のない、「彼に会いたい」「……して欲しい」という純粋な感情。俺はそう思っていないと分かっているのに、いつの間にかこの考えに体を操作されているんだから怖い。でも何が怖いって俺まで気づいたらこの思考に染め上がってるんじゃないかという事。
色々と考えすぎて疲れた。もう何もかも忘れたくて、いつも飲まない度数のお酒を頼んだ。
「…小柳君」
何となく、呼び慣れない名前のように感じた。
小柳side
こんな精神状態で配信が出来る訳もなく、他の仕事や任務の方の準備をして今日は早く寝る事にした。のに、
俺の携帯からは電話の着信音が鳴っている。何となく嫌な予感がして画面を見るが、案の定星導からだった。出ようか迷ったが俺が寝ていたと言い訳するにはまだ早い時間ただった為大人しく出る。
「…もしもし」
「んあーこやなぎくん?あの駅前で呑んでたんですけろぉ…気づいたらこの時間でぇ、っぐ…」
電話の向こうからは夕方帰ったはずの、随分出来上がった星導の声がしていた。その先の話の展開は大体読めた為、俺は上着を着て家を出る準備をする。
「…今どこだよ。迎えに行く」
「だぁい…丈夫ですよひとりでいけます」
「無理だろ喋れてないのに」
すると家を出てすぐ、電話口と何メートルか先から同時にゴンっという音がした。その方を見やると電信柱に頭をぶつけた紫髪の男がいる。
「いったぁ…。」
その声を最後に電話を切る。急いで星導の方まで走った。彼は俺が目の前に来てもまだ電話が切れたことに気がついていないようで、携帯を耳に当てながら空いてる方の手で頭を押さえている。仕方なく彼から携帯を取り上げ、こちらに気づいてもらった。
「あぁこやなぎくん。あれ何でここにいるんですかぁ」
「お前に呼び出し食らったんだよ」
呼び出された訳でもないが、彼の様子を見て迎えに来て良かったと安心する。そのまま彼の手を引きゆっくりと俺の家へと歩いていく。千鳥足の彼がたまにこちらへ寄りかかって来るのが苦しくて腕で押し返した。
「てか何で飲んでた訳?」
「わかんないですよそんなの。気分です」
「だってお前酒弱いじゃん」
「えぇ…なんかやな事あって忘れたかったんじゃないですかー」
「…」
押し黙る俺を置いて彼はさっさと俺の家へ上がる。何か鼻歌を歌いながら、星導は勝手に風呂へ向かった。
「これ以上、忘れられたら堪らないって」
そんな呟きは彼の出したシャワーの音に掻き消された。
星導side
ドンドン、と扉を叩く音がする。
「おい、着替え置いとくぞ」
それから脱衣場の扉が閉まる音がした。
…ここ、小柳君家?あれ、俺BARで酔い潰れて結局小柳君家に戻ってきちゃったのか。結局迷惑をかけてしまった事に少し申し訳なさを感じながらも、無理やり帰せばいいのになんて思わない訳でもない。結局俺に対して小柳君は甘いのだ。
意味もなく湯船から手を出しお湯をすくったり垂らしたり、単純な作業を繰り返し思考を整理する。
「……好きなんだろうな。晶は、小柳君が」
言葉に出すと何だか泣きたくなってしまう。だってそんなの、俺のせいじゃないか。俺のせいで彼の気持ちは届かなかったんじゃないか。そして生憎俺は晶と同じ熱量で小柳君を好いている訳ではない。
「…もう全部忘れたいよ」
そんな事、本気で望んでもないのに、己の罪から逃れたくてそんな事を呟いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
風呂から上がり、彼の部屋着らしき服を借りる。俺の沈んた気持ちと裏腹に心の中で少し嬉しいような気持ちが湧き上がる。…どうしよう、気持ち悪い。これは…俺の気持ちじゃない、
「…ごぼっ…ぉご…」
思わず洗面台に胃液を吐き出す。昼から何も食べていない為固形物が出てこなかったのは少し救いだが、それでも友人宅に夜中押しかけ風呂まで借りた挙句嘔吐というのはもう向けられる顔がない。だが1人じゃ対処出来る範囲に限りがあり、結局軽く口元を洗い流した後に小柳君を呼んだ。
小柳side
星導の寝る布団を用意していると、脱衣所の扉が開き、頭を垂れた星導が出てきた。
「…すみません、洗面台に少し、吐いてしまって…消毒する物とかありますか?」
「えっいやお前大丈夫か?」
急いで星導の方へ駆け付け、洗面台を確認する。固形物こそ吐いていないものの、胃液はだいぶ吐いてしまったようだ。星導の顔色もいつにも増して悪く、酔っている事もあり真っ直ぐ立っているようで横にフラフラと揺れている。
「あと雑巾とか…掃除するので」
「いやいいって、俺がやるから横になれよ」
「嫌です…迷惑かけすぎて…俺潰れそう…」
心なしか星導の目には涙が溜まっているように見え、いつも俺の揚げ足を取ってくる強気な姿からは想像ができないほど弱々しくなった彼。思わず目を背けたくなる。
「…大丈夫だ。迷惑じゃない。それよりお前今にも倒れそうだぞ。頼むから潰れるなら布団の上で潰れてくれ」
「……」
何も言わなくなった星導をゆっくり布団の方へ連れて行き寝かせる。その後水とビニール袋を枕元に置き、洗面所の掃除に移った。その間も星導は顔面蒼白のまま「ごめんなさい…」と呟いていた。
…別に趣味では無いが、体調の悪い星導はいつもよりずっと色っぽく見え、こちらの理性が乱される。いつもは格好も相まって大人っぽいが、俺の部屋着を着て弱っている星導は幼さが垣間見え、より晶が脳内をチラつく。邪魔な思考なのに拭いきれない自分の意思の弱さに嫌気がさす。
「…お前が欲しいよ、星導」
もう全部、言ってしまおうか。
この時期にあやかって、最悪縁が切れることも怪しまれないこの別れの季節に。
星導side
彼の部屋の床に敷かれた布団に横たわる。リビングでも良かったのに、でもまぁ友達なら同じ部屋で寝るかと思い直し大人しく目を閉じる。
彼の匂いが染み付いた部屋は、俺の心を落ち着かせてくれる事はなかった。だがこの体はこの匂いを好きだと主張する為、その差異にまた思考が混乱する。
当然寝付ける訳もなく闇に目を凝らしていると小柳君が部屋へ入ってきた。
「まだ吐きそうか?」
「…ううん。大丈夫です」
「まぁ寝とけ。大丈夫そうには見えねぇから」
掃除の為か袖をまくったままの小柳君は「よっこいしょ」と声を出して俺の横に座り込んだ。
「…おじいちゃんみたいですね」
「ふっ。揚げ足とる余裕あるじゃねぇかよ」
「…るべちは若いので…回復も早いんです」
「あぁそうですか億超えタコがよ。今は大人しく寝とけって」
彼は特に何をしに来た訳でもないらしく、時折俺の様子を気にしながらもスマホを熱心にいじっている。
…だから俺も酔いのせいにして全てを聞くことにした。
「…ねぇ小柳君。俺にそうやって尽くしてくれるのは、…小柳君が学生時代の俺の事を好きだからですか?」
彼は目を見開いて、数秒押し黙る。だが少し俯き考えた後、俺の目を見て口を開いた。
「…まぁな。気付かれるか。」
「俺が言えた事じゃないですけど、小柳君、ずっと様子おかしかったですから。」
彼は頭を掻きながら、あぐらを崩し立てた膝に腕を乗せた。格好が様になるのが何だかムカつく。小柳君はまた少し考えた後、意を決したようにこちらを向き罪を吐き始めた。
「俺さ、卒業式の日、星導に告白しようと思ってたんだよ。それに都合のいい事に星導の方から2人で居られる時間を作って貰えて。…なのに、俺は言えなかった。俺は本当に星導が好きなのか?とか、同性相手に友達相手にこんな感情抱くとかどうかしてるって思ったり、要は怖くなったんだ。目の前にいる、あまりにも美しい想い人相手に、怖気付いたんだよ。俺は。」
懐かしむように、慈しむようにどこかを見る彼の目に、一瞬桜が見えたような気がした。
「だからずっと、俺は星導晶に囚われている…んだと思ってた。今の今までそうだと思ってたけど、でも。お前に言われてなんか違うって、そうじゃないって気づいた。」
おもむろに立ち上がり、彼はライブの時に8人で撮った写真を引き出しから取り出す。あの小柳君が俺らとの写真を現像して保管しているだなんて意外だ。むしろ古くてイメージ通りなのか?
「…俺は、金輪際言わないけど、…今の仲間が好きだよ。ギャルのウェンが、意外と悪ノリの通じるマナが、小学生のまま変わらないリトが、何言ってるか分からないのに面白いイッテツが、生意気で天然なカゲツが、毒舌なくせ何だかんだ面倒見のいいライが。それから、…鑑定士の星導ショウが。」
俺にそんな顔するんだと驚いてしまう程、小柳君は優しい顔で微笑む。
「こいつらと共に過ごした時間を覚えてるお前が、ヒーローとして、人外として俺と一緒に生きてきた星導ショウが、俺は好きだ。」
予想もしていなかった、紛れもない”俺”に向けた告白に言葉が詰まってしまう。そんな俺の様子も気にせず彼は楽しそうに話す。
「…俺もずっと、昔のお前が好きなんだって、ずっと囚われてるんだって思ってた。でも、おかしいよな。そうだよな。じゃあ何で目の前にいるお前と、この先もずっと一緒に居たいって思うんだよって話だもんな。お前晶と全然違うのに。っははw」
一人で勝手に納得して、ひとりでに笑いだした小柳君。でも目には涙が浮かんでいる。やがてそれは頬を伝い、小柳君の顔を覆った。
「気持ち悪いよな、急にこんな事言い出して。ごめんな。…でも、勝手で悪いけど、今俺すげぇすっきりしたわ」
彼は自分のベッドに倒れ込み、大の字になって心地良さそうに目を瞑る。満ち足りたような表情に、ずるいだなんて思ってしまう。そんな彼は顔だけこちらの方に向けて質問してきた。
「…振らねぇの?」
「……。」
正直、俺はまだ自分の気持ちなんて少しも分からない。でも小柳君だけ勝手にぶち撒けて楽になっているのが気に食わないから俺もできる限りの事を言ってやろうと思った。
「……俺は小柳君の事、別に好きじゃないです。
…でも、彼…。晶は小柳君の事好きだったみたいですよ。だからずっと告白されたかったって。でも卒業式?の時、何も言ってこないから失恋したと思ってたみたいですけど。」
彼は静かに俺から放たれる言葉を聞いている。…小柳君、顔だけは良いんだよな…なんて思ったりしながら俺も言葉を続けた。
「…まぁ、俺的には良かったです。もし2人が結ばれていたら、俺はより重い罪悪感を抱いて星導という人間を生きて行かなければいけなかったですし。…3年前、目覚めた時小柳君から「俺ら付き合ってたんだよ」なんて言われたら絶対笑っちゃってましたから」
「ひっどwふざけんなよ」
「だって…wじゃあ言いますけど想像できます?俺らが付き合ってる所。絶対笑っちゃうんですけど」
「俺から言っといてあれだけどまぁ出来んわ」
俺らの間に短い笑いが起こる。こんな風に笑いあったって、全然甘い空気にならない俺らはやっぱりどこまでも”友人”のような気がして、彼の気持ちが可哀想にもなってくる。そんな同情を吹き飛ばす為に彼をからかう事にした。
「小柳君は俺がいなきゃ駄目な寂しがり屋の狼って事はよく分かりましたよ」
「は?別にそういう訳じゃねぇし。」
「絶対そうでしょ。まぁ、どうしても俺に横にいて欲しいなら、頑張って好きにさせてみてくださいよ」
「いや何億年かかんだよ…。はぁ〜面倒くせぇ奴を好きになっちまったなぁー」
「長い時間を生きるのには丁度いい片思い相手だと思いますよ?居なくならないですし」
「忘れられるけどな」
「それはご愛嬌ですよ」
ご愛嬌じゃ済まねぇよと笑う小柳君の表情は笑っているのに、声に滲み出る悲壮感が俺の心を刺す。
…晶の時から俺の横にいる彼は、一体どれだけの感情と記憶を抱えて生きてきたのだろう。そんな事はいくら考えたって答えは出ず、彼に聞いてみたって教えてはくれないのだろう。でも俺は星導でいる限り、その答えを探し続ける事が彼への罪滅ぼしになる様な、そんな気がした。
小柳side
定期的に見る夢がある。特にこの季節。3月あたりのぬるい風が吹いてる、でもどこか冷たい、不安になる匂いのするこの季節。おそらくこの国において出会いと別れが最も多いと思われる3月は、そんな人間の気持ちが空に伝わったかのように空気がわなわなと蠢いている。
「小柳君、見て。綿毛」
「どっから取ってきたんだよ」
「そこら辺ですよ。…ねぇ知ってます?綿毛って水の中に突っ込んでも濡れないんですよ」
「知ってる」
「えーつまんない。嘘でも知らないフリしてくださいよ」
「無理。お前みたいに嘘つきたくないんだわ」
「ひっどー」
腹いせとでも言うように星導は綿毛を俺の方に飛ばした。俺の髪や服に綿毛がつく。
「おっまえ…ふざけんなって」
「ははっw小柳君種だらけ〜わんわんだから毛並みにくっついちゃうんですね〜」
自分で飛ばしたくせに俺の髪の毛についた種を毛繕いするように取る星導。そんな彼の頭にも桜の花びらが落ちる。俺はそっと花びらを取って手のひらに乗せ、俺たちを撫でていく風にそれを託した。
ちらほらとたんぽぽが咲き始めた足元。
心地よい春風と桜の花びらが舞う川沿い。
その下に居る薄紫の髪を靡かせる彼。
その横を歩く俺。
…何もかもが同じで、違う彼を好きになった俺。
この季節が来る度に、俺はきっと2人の事を思い浮かべるのだろう。また忘れられる時まで、いや。
いつか思い出して貰える日まで。
このどこにもぶつけようのない喪失感と彼への忠誠心を抱え、俺は今日も星導の隣で同じ季節を迎えた。
この時期にこじつけた感が拭えないんですけど、kyngがrbの事をちゃんと分けて考えられるようになる様子が書きたくて書きました。結ばれるendにしようと思っていたんですがrbはそう簡単になびくタコじゃないと思ったらこうなりました。
たんぽぽの花言葉には「二度と会えない」という意味もあるそうです。桜もフランスでは「私を忘れないで」という花言葉が主流なようですね。
あと皆様にぜひ「さよなら愛しき面影よ」という楽曲を聞いて頂きたいんです。rbruなりrurbなりお好きな方は絶っっっ対刺さるので。
てか前書いたrbruでもrbに吐かせたんですけど決して嘔吐フェチじゃなくて、いや本当に違うんです本当にフェ
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あなたを一旦神とさせていただきます、 曲聞いてみます!