⚠前回と同様
四天王(特にコハク)と博士とか
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コハクとリツ
「どうですの?リノさん」
「出ないね〜」
リノのスマホロトムが、絶えずロトロトロト、と着信を続ける。
しかし、電話の相手は何十回コールしても電話に出ることはなかった。
「もう直接行った方が早いんじゃ?」
「それもそっか〜」
「ジャン負けで参りましょう」
「おっけー!」
「せーの」
掛け声とともに、3人は手を出した。
「コハク。入るよ」
結果負けてしまったリツが、連絡の取れない四天王の1人、コハクの部屋へ訪れた。
扉をノックして、中に呼びかける。
「……」
返答がない。想定内だ。
リツは無断で扉を開けると、コハクの工房へと足を踏み入れた。
足の踏み場もないほどガラクタが散乱する薄暗い部屋の奥に、ライトの小さな灯りが点いていて、作業机に背中を丸める後ろ姿を確認できる。
「コハク!」
入口から呼びかけてみても、集中しているコハクの耳には一切届かない。リツはため息を着くと、ガラクタを踏みながら近づいていった。
「おい!」
「うわああっ!?!?」
「うわ!?」
背後から覗き込むように声をかけると、コハクは飛び上がって驚いた。
その叫び声に驚いて、リツも声を上げる。
「びび、び、びっくりした〜…!!」
「こっちがびっくりしたっつの…!
…ほんとに今まで気付いてなかった?リノが何回も電話してたけど」
「え?ごめん…スマホロトム…?どこやったっけ…」
「だー…もう…今鳴らすから俺が」
リツはスマホロトムを操作すると、コハクに電話をかけた。
ガラクタだらけの部屋の中から、かすかだが確かにロトロトロト、と着信音が響いている。
「あ!あった!」
コハクは机の上に積もったガラクタからスマホロトムを引っ張り出すと、リツからかかってきた着信をとった。
「もしもし!」
「見つかったなら出る必要ないから」
どこまで天然なんだろうか。この男は。
リツは呆れながら、着信を切ってスマホロトムをポケットに入れる。
「あっ!そっか!」
「こんなきった…乱雑な部屋じゃ、1度物を無くしたら見つからないんじゃねーの?一度断捨離とか…」
「え”っ!?……あー…か、考えとくね」
「(こいつぜってえ一生やらねえな)」
リツは作り笑いをしながら、心の中で悪態をついた。
「あ!そ、それより!僕に何か用事があったから呼んでくれたんだよね!?どうしたの?」
「エントランスで皆で麻雀しませんかってセザンヌさんからのお誘い」
「!!すぐ行く!」
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リノとコハク
「ね〜〜コハク〜〜」
「はあい」
きゅ、きゅっとボルトがスパナに擦れる音を響かせながら、コハクはリノの呼びかけに返答する。
「暇なんだけど〜〜」
「う〜〜〜ん…僕の所にいるよりお出かけしたり…他の人のところに行く方が絶対楽しいと思うな〜…」
「いやリノはコハクと遊びたいからここにいんの!!」
作業椅子に座るコハクに後ろから抱きついて、リノは駄々っ子のように体重をかけて足をばたつかせる。
「ぼ、僕はほら…忙しいから…さ…?」
「ちぇー」
リノは唇を尖らせながら、渋々コハクから体を離した。
「ねー。このでっかい工具箱見てもいいー?てかもう見てるけど!」
「い、いいけど……危ないから気をつけてね?」
「はーい」
リノはコハクの工房に置いてある工具箱を物色しはじめる。
ペンチやドリル、ドライバー、金槌、レンチ……。
リノは適当に手に取って眺めながら、コハクに問いかけた。
「うわ!ドライバーってこんな種類あんの?おもしろ!」
「え?うん。ネジによって大きさを変えるからね」
「へ〜!」
「…ほんとに楽しい?ここにいて……」
「楽しい!」
「そ、そう?」
コハクは作業の手を止め、リノに向き直って少し照れたようにはにかんだ。
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セザンヌとコハク
「コハクさん。いい加減にしてくださる?」
「…はい」
「いつまでもこの散らかった工房を許しておくことはできませんのよ。お片付けなさってくださいませ」
「でも、どこに何があるのかはちゃんと把握してて…!この方が使いやすくて…」
セザンヌはコハクの工房に足を踏み入れて早々、積まれたガラクタの数々を見て怒りを通り越して呆れていた。
「わたくしは以前から何度もお片付けなさってとお願いしていましたよね?
その度にコハクさん。貴方はなんと仰っていましたの?」
「う”……うーん…時間に余裕が出来たら、すぐ片付けます…って…」
「そうですわね?で、最初にお願いしてからどれほど経ちましたか?」
「…さ、3ヶ月〜…くらい……?」
コハクはセザンヌと目を合わせようとせず、視線を泳がせながら答えた。
「ふふふ…」
「あ、あはは…!」
「半年ですわ」
「ごめんなさい」
セザンヌがにっこりと微笑みながらそう告げると、コハクは観念したように頭を下げた。
「で、でも」
「でもだっては散々聞きましたわ」
「う”……」
コハクが再び言い訳をしようとすると、セザンヌはぴしゃりと言い放ち、コハクは押し黙った。
「わたくしもお手伝いしますから、一緒にお片付けいたしましょう」
「はい…」
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リノとソウ
「ソウてんのさ〜〜。好きな女子のタイプってなによ?」
「気持ちわりい呼び方すんじゃねえよ」
「はー!?ひっど!可愛いでしょ!で!?」
ソウはリノに肩を組まれて、眉間に皺を寄せた。
が、観念したのかうんざり顔で返答する。
「お前みたいにうるさくねえ女」
「うーわ!かわいくなっ!ほんとは好きなくせにさぁ!リノのことーー!!」
「うぜえ」
「で!!誤魔化さないでちゃんと答えてくんね!?」
「あ?……別に、そんなもん特にねえよ」
「つまんね〜〜!!リツカスにチクってやろうと思ったのに!!」
「もう一生てめえと話してやんねえ」
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ラクトと博士
ウィーン
研究室のドアが開く音に、博士はドアの方に目をやる。
そこには、目が痛くなるほどのビビットカラーのパーカーの少年が立っていた。
「なんや、ラクトクンか」
「……」
ラクトは無言でずかずかと博士に近寄って、スマホロトムのポケモン図鑑の画面を突き出す。
「なんか言えや!…えー…どれどれ…おー!!この辺のポケモンは全部埋まっとるやん!
えらい頑張っとるなあ。さすがや」
「別に。…図鑑コンプしたらほんとに俺とバトルしてくれるんだよね」
「もちろん。ええで」
「…」
ラクトはそれだけ聞くと、くるりと踵を返して研究室を出ていこうとする。
「っおい!ちょいまち!わざわざここまで来てそれだけかいな!?アドバイスとかいらへんの!?」
「要らない。俺は自分だけの力で図鑑もコンプリートするし、チャンピオンになる」
「…さ、さよか…。
ま、次のゴウセツジムがあるゴウセツシティはさっむいとこやから、暖かい格好していくんやで」
「うっさい」
そう言ってラクトは研究室から出ていってしまった。
博士は呆然と閉じられたドアを見つめ、呟いた。
「構ってちゃんなんかそうじゃないんか…」
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ピコと博士
「〜♪」
長い足を椅子の上で組んで、ナニワ博士は随分上機嫌そうだ。
鼻歌交じりにキーボードを叩く姿に、ピコは顔を顰めた。
「…怖いんですが」
「んあ?何が」
「博士の様子が」
「??」
「博士が上機嫌な時は碌なことにならないので」
「なんやそれ!」
丸眼鏡の奥の鋭い糸目が、きゅっとさらに釣り上がる。
「あと、何度も言いますけど似合ってませんから。メガネ。僕の真似ですか?」
「ああ!?ちゃうし!最近目悪くなっただけや!」
「開いてないも同然の目じゃないですか」
「ちゃんと開いとるし見えとるわ!」
博士が眼鏡を取ろうと手を伸ばしたその時。ピロン、と音がしてピコのPHSにメッセージが届いた。
それを見た彼の顔が一瞬綻んだのを見て、博士はニヤニヤと笑いながら問いかける。
「誰や?女の子?」
「……デンコウジムリーダーのカノンですよ」
「女の子やん!!」
「業務連絡!!です!!」
「ピコくん顔赤なっとるで!?照れんなや!」
「博士が誤解するからです!!ほんとにただの業務連絡ですから!!」
ずいっとPHSのメール画面を近付けられた博士は、仕方なく椅子に座り直す。
「あーはいはい分かった。そーんな必死に弁解することもないやろ〜。もしかして…なあ?」
「!!!」
ゴトッと派手な音を立てて、ピコの手からPHSが落ちた。
「図星か」
「ち、違いますから」
「ピコくんもちゃんと年相応の男の子なんやな〜。安心したで」
「揶揄うのはやめてください…!」
足元に落ちたPHSを拾ったピコは、電源を入れる。
「で?カノンちゃんとはどこまで進んだん?」
「進みません!!」
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PHS
「そえば、ピコくんってスマホロトムにせえへんの?未だにPHSって。時代遅れちゃう?」
「失礼ですね。…まあ、電話とメール以外に必要な機能もないので」
「図鑑機能ついとるんやで?」
「ポケモン図鑑があるじゃないですか」
「そうやけど…合体しとった方が便利やん。あと動画アプリ入れれば…ほら、ジム戦とかも見れるしな?」
「特に必要性を感じませんけど…。それに僕機械音痴ですし」
「あー…そやったわ。PHSの初期設定も全部俺がやったんやった…」
「はい。おかげで助かりました」
「…確かにスマホロトムなんか扱えんかもな…」
「そうですよ」
おわりです!!
コメント
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😵💫👈❓❓❓❓
とてつもなく尊いです(?)