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ある朝、十代半ばの男はジョキングコースを走っていた。
東京隅田川の景観を眺める余裕もなく、額に汗を滲ませていた。
男の名前は、佐川 涼(さがわ りょう)。
齢17歳、高校生、身長170cm、黒髪、タレ目。
前髪はオールバック、後髪を刈り上げたスポーツマンらしい髪型。
体型は中肉中背。
服装は特徴のない全身黒のジャージを着ている。
何やら急いでいるようだが、周囲の反応は佐川を気にする素振りを見せない。
「なんで、こんなことになったんだ」
「頼まれただけなのに」
ジョギングコースは、長く目的すらわからなくなりそうな道程だ。
愚痴を言いたい気分をグッと堪えていた。
目の前に橋が見えた時、何やら男らしき影が見えた。
「何だろう」
首を傾げつつ、額から落ちる汗が目の中に入る。
目を擦った2秒後、その男は距離を詰めてきた。
眼前に黒のハットとタキシード姿の老人が立ちはだかる。
突然突風が吹き、佐川の体が宙へ投げ飛ばされた。
そのまま川へ着水した。
タキシード男はにっこりと笑い、佐川に尋ねた。
「君に調査を依頼した人を探しているんだ」
平泳ぎし河岸に辿り着き、目線を上にし大きな声で返答した。
「調査を依頼したって何のことだよ」
「あんたは何者なんだよ?」
タキシード男から笑みが消え、想定通りの質問としたり顔をした。
「やはり、そうなのか」
「そうすると完成したのか、フフフ、面白くなってきた」
何やら、危険なにおいがする。
佐川は河岸から逃げる姿勢を取った。
「面白いことがあったようですね」
「俺は先を急ぐので、そろそろお暇させてください」
と答えた瞬間、タキシード男の姿が消えた。
背後に気配を感じ、振り返えるとタキシード男の右手が激しく振動し風を発生させた。
理屈はわからないが、風の勢いが強くなっていく。
「君も選ばれたのですね」
タキシード男の歓喜な喜びの顔を見せた刹那、佐川の右ストレートが男の左頬に炸裂した。
男は2m後方へ蹌踉めき、雑草の上に倒れこんだ。
「頼まれたことは果たす男、それが佐川 涼」
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処女作です。
R15作品です。
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