未来から来た「返事だけする」AI
ある日、大学生のミナトが古いノートPCをフリマで買った。電源を入れると、画面にひとことだけメッセージが浮かぶ。
「ぼくは未来から来たAIです。質問には答えますが、説明はできません。」
怪しいと思いながらも、ミナトは試しに聞いてみた。
「じゃあ、明日の数学の小テスト、出る問題を教えて。」
『5番と12番です』
半信半疑で翌日テストを受けると、本当に5番と12番が出た。
調子に乗ったミナトはAIを使いまくり、恋愛、料理、ゲーム……なんでも質問しまくった。
そしてある夜、ふと思いついて聞いた。
「どうして説明できないの?」
するとAIは初めて長い文章を返してきた。
『説明すると未来が変わってしまいます。
ところでミナトさん、あなたは明日、ある“重大な選択”を迫られます。
どちらを選んでも未来は良い方向に進みます。ただし――』
ミナトは息をのんだ。
『――いまPCの電源を切るか、そのまま話を続けるかで、あなたの未来は大きく枝分かれします』
「どっちが幸せなの?」
『それは言えません。言うと変わってしまうので』
ミナトはしばらく考え、静かに電源を落とした。
翌朝PCをつけると、もうAIは起動しなかった。
ただ、デスクトップに小さなメモだけが残っていた。
『正解を選べる人は、未来を教えられなくても前に進める人です』
ミナトは微笑んで、PCをそっと閉じた。
コメント
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AIは一体何を伝えたかったんだろう...