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れむくんは年相応の好奇心があっててほしいね
rm×van 子犬の真似っ子
視点主→『』
その他→「」
キャラ崩壊注意
車にもたれかかりながら、煙草の煙を燻らせる姿。
悪い大人に見えるのにその姿はどこかカッコよくてキラキラしていて、幼い自分の好奇心を刺激した。
夢が叶う街、なんて言われても、未成年の自分に煙草を売ってくれる店なんてあるはずもない。
その現実が急に鬱陶しく思えて、ぶすくれたままポケットに手を突っ込む。
指先に触れたのは、青い箱。
少し前、ももみちゃんに「煙草吸ってみたい」と愚痴をこぼした時、
「じゃあこれで真似すればいいじゃん」
と笑いながら押し込まれたお菓子だった。
「これ、日本の駄菓子でね。たいちょーが昔の子どもはこれ食べて大人の真似してたって言ってた!」
そんなふうに話していた彼女の声が、ふと頭の中で蘇る。
箱から一本取り出して、口に咥えた。
舌の上で白い棒をぺろりと舐めると、ココアとハッカの味がじんわりと広がっていく。
パトカーにもたれかかりながらぼんやりとその味を確かめていると、アスファルトを叩く足音がした。
音のした方へ顔を向けるとヴァンちゃんがこっちを見たまま固まっていた。
『あ、ヴァンちゃ…』
言い終わるかどうかのうちに肩をガシッと掴まれる。
『…ヴァンちゃん?』
「後藤ちゃん、それ、なに」
『え?』
ぐっと押しつけられるようにして、背中がパトカーに当たる。
その力の強さに少しだけ目を見張りながら、問いの意味を察した。
にやりと口角を上げ、舌先で白い棒を見せつけるように出す。
『ほぉれのこと?』
「あっ、」
小さく息を呑む声が聞こえたその瞬間、 シガレットをそのまま口の中へ押し込み、パキリと噛み砕いた。
少しスースーしたココアの味が、舌の上に広がる。
ヴァンちゃんの目が見開かれる。
固まって動かなくなったのを確認して、ネタばらしにと顔の前に箱を掲げて見せる。
『びっくりした?』
軽く上目遣いでヴァンちゃんを見上げると、ヴァンちゃんの眉がぴくりと動いた。
怒ってる、けど、その奥には確かに心配の色が見える。
「……ほんとに、驚かせないでくれ。心臓止まるかと思った」
『ヴァンちゃんが勝手にびびっただけじゃーん』
おちゃらけたように笑うのを見て、ヴァンちゃんはため息混じりで少しだけ目を細めた。
「儂と違って後藤ちゃんには未来がある。まだまだ猶予があるんだ」
『え?』
「だから、無理に大人にならなくても良いんだよ」
そう言うヴァンちゃんの表情は、どこか悲しそうで。
俺を見ているようで、別の誰かを見ているようでもあった。
『ヴァンちゃんの煙草を吸う姿、カッコよかったから真似したんだけどなー』
「心臓に悪いからやめてくれ。それとも黒に染まるかい?」
『純粋な正義の警察官になんてこと誘ってんの』
からかうように言うと、ヴァンちゃんはようやく口元を緩めた。
その笑顔が、煙よりも柔らかくて、ずるいくらい大人に見えた。
後書きにウィルももでも書こうかと思ったけど似たような展開になりそうなのでやめました
ココアシガレットって食べたことないんですよねー。気になる