上流の方へ来るとたくさんの洞窟があった。
「多い。」
「仕方ない。バラけて探すぞ。」
「いました!」
しばらく探していると、八左ヱ門の声が響いた。
急いで走っていくと、伝七達四人がバラバラに倒れていた。今すぐにでも駆け出したい衝動にかられた。しかし、
「これは何だ?」
洞窟の入り口には無数の糸が貼られており、それをきると爆発がおこる仕掛けがつくられていた。
「伝七がやったのだろう。この間作法委員会で教えた簡易なカラクリだ。大丈夫。手順を間違えずに外せば問題ない。」
慎重に一個一個外していき洞窟に入れるようにした。
「よし、これで入れる!」
「彦四郎!」
「一平!」
「左吉!」
「伝七!」
「ん‥‥‥。」
仙蔵達が一歩洞窟の中へと足を踏み入れると、伝七が目を覚ました。
「伝七!」
仙蔵が伝七に近寄ると、伝七は仙蔵に苦無を向けた。
「来るな!」
「伝七?」
「僕の友達に近づくな!」
「伝七、私だ。立花仙蔵だ。」
「違う!先輩じゃない!」
そう言って叫ぶ伝七は、顔が真っ青だ。
「落ち着け。伝七。」
「混乱してる。」
伊作が伝七を見ていった。
「来るはずないんだ!先輩は僕達を助けてなんてくれない!僕達が素直じゃなくて生意気だから!」
その言葉に仙蔵は伝七を抱きしめたい衝動にかられた。しかし、伝七を刺激できない状況なため動くことすらできない。
「僕達を殺しに来たんだろう?!残念ながらお前に殺される命はないんでね!」
そういった伝七は仙蔵に向けていた苦無を自分の腹にさした。
「伝七!」
仙蔵は横に倒れる伝七をささえた。
「伝七、伝七!」
どれだけ声をかけても伝七は返事をしない。
「まずい。すぐに処置しないと!他の子たちは体を温めて!」
伊作の指示が洞窟に響き渡る。
ふと、伝七を支える手が血まみれになっていることに気がついた。見ると背中に深い傷があった。
「伊作!背中にも大きな傷が!」
「分かった!とりあえず簡単な処置をする!でもここじゃちゃんとした処置ができない!学園に知らせないと!」
伊作は伝七に処置を施した。
「仙蔵!伝七を学園へ!」
その言葉に仙蔵は伝七を抱いて走り出した。
コメント
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号泣です😭いい作品ですね!フォロー失礼します!