はっ…,,はっ__はーっ…,,っ
体が跳ね起き、みていた悪夢を断ち切った。
嫌な夢ほど脳裏に鮮明にへばりついてきて、夜に舞う静かな悪魔が俺を見下ろして微笑んだ
だめだ,,今日も全然寝れない…。
じん,,とは…?_よかった…生きてる…、、
隣で寝息たてる仁人の頭を優しく撫でて、どうにか肩で息を整えた。
軋む階段を静かに降りて、眠気覚ましに洗面所で顔に冷水を当てた。
うわ…隈ひど…
鏡に映る自分の顔は誰が見ても酷いものだった。
コップ一杯の水を飲んでソファーに横になった。
そして腕で目を伏せ、ただひたすら時計の針が進むのを待った。
眠気はあんのにな…まぁ寝てもどうせ,,
薬には頼りたくないけど、強めの睡眠薬でも飲んどけば多少楽かな,,
仁人抱き締めて寝れば安心して寝れんのかな…
でも多分あいつ嫌がるだろうし…そしたら…薬、飲めばいいか,,。
姿を隠していた太陽も次第に己の光を放ち始め、目を擦り眠そうにする仁人が階段から降りてきた。
そしてまた俺は平気なフリをする
『おはよう仁人』
「はよ…ふわぁ〜あ」
『今日も随分と眠そうだな笑』
「うん…けど仕事あるし」
『大変だな』
「朝ごはん食べたら行くわ」
『わかった』
手際良く朝食を作りテーブルに並べた。
そして2人で手を合わせ食べ始める。
『あ、仁人、今日帰り遅くなるかもしんないから先寝てていーよ』
「ん?そうなの?わかった」
すると静かに席を立ち、俺の目の下を優しく親指でなぞった。
「隈ひどくなってるけど…ちゃんと寝れてんの?」
『ん〜…最近はあんまり…』
「また怖い夢?」
『うん…』
「そう…あ、睡眠薬は飲むなよ?」
『え…?あぁうん。出来るだけ飲まないでいようとは思ってっけど』
「ならよし。じゃあ仕事行ってくるね。勇斗も無理しないで」
『はいはい。いってらっしゃい』
仁人が仕事に行き、続いて俺も重い足を必死に運んで仕事に行った。
仁人に余計な心配をかけまいと気を張っていたのが一気に解けたのか、黒いモヤが身体中にまとわりつくように身体が重くなるのを感じる。
眠気で途切れ途切れの集中力にブラックコーヒーを体内に流し込んで、なんとか仕事と向き合った。
今日に限って量が多く、やっと終わったかと思えば時刻は22時過ぎ
荷物をまとめ、家に向かった。
仁人がいるから楽園なのか、はたまた悪魔がいるから地獄なのか…まるで廃墟した遊園地のような自分の家に
ほんとにやばいかも…流石に眠い,,
仁人寝てっかな…寝てたら、、ダメって言われたけど飲んどいた方が多分寝れるし
ドアを開けると、寝室の電気が付いていた。
仁人が起きているかは分からないけど…
一先ず風呂に入り、全てのことを終えて寝室へ向かった。
『あ、起きてたんだ』
「うん。勇斗心配だし」
『…ねぇ』
「ん?」
『無理承知で聞くんだけど、、今日ハグして寝ていい…?嫌なのは分かってる…』
「笑いいよ全然。別に今日だけじゃなくて明日も明後日も。それで安心して寝れんなら」
『え…いいの?』
「いいって笑あ、ちょっと待って、」
そう言うとTシャツを脱ぎ、俺のTシャツにも手をかけた。
そして再び布団に潜って自分の横をポンポンっと叩いた。
『え?なんで上裸?』
「ほら、人肌に触れてた方があったかいし、鼓動も聞こえて安心して寝れるかなって」
『…』
「いいからほら、」
既に仁人の体温で温まった布団に脚を入れ、仁人を軽く抱き締めた。
『正直、仁人が寝てたら薬飲もうかなって思ってた』
「まじでやめて。前に勇斗薬飲んで寝た時あんじゃん?その次の日さ、起こしてもなかなか起きないから死んだかと思って焦ったわ」
『あぁそんなこともあったね笑』
「マジで笑い事じゃない」
『ごめん』
「もし勇斗が寝れないんだったら俺が寝ててもハグしていいし、なんなら別に抱いてもいいから」
『え』
「それでも悪い夢見るんだったら俺をいちいち起こして生きてるか確認してもいい」
『それは流石にできないけど』
「まぁとりあえず、今日はこのまま寝てみよ」
言われるままに目を閉じた。
仁人の鼓動に耳を澄ませながら。
いつもよりも窮屈なはずなのに、居心地良くて、直ぐに眠りについた。
自然と目を覚ますと隣には既に起きている仁人が、優しく俺の頭を撫でていた。
「おはよ。どう?寝れた?」
そういえば、夢を見なかった。
もしかしたら見ていたかもしれないけど、何一つ覚えていない。
見たとしてもいつものような、あのドロっとしたまとわりつく嫌な夢ではないことは確か
『寝れた…嫌な夢もみてないし…』
「よかったじゃん」
『…ありがと』
「いーえ。じゃ下降りよ」
いつもよりも明らかに身体が軽く、空気も澄んでいるように感じた。
『仁人ってさ…そういう力持ってたりする?』
「なに馬鹿なこと言ってんの笑持ってるって言ったら?」
『え、まじ?』
「冗談だよ笑」
『またさ、お願いしていい?』
「どーぞお好きに」
end.
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