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翌朝、いつもの目覚ましで目が覚めた
今日の目標
• 上をむく
• 挨拶をする
よし、なんだかできる気がしてきた。
制服に腕を通して、カバンを持って家を出る
いつもなら地面しか見えない
けど、今日は違う。人がいるって思った
上をむくだけで、ちょっとだけ楽しい気持ちになれた
…学校に着いてしまった
楽しかった気持ちも、朝のできるかもって気持ちも、教室に近づくにつれて薄れていった
教室のドアを開ける。
僕の席を目掛けて一直線に歩く。
廊下でもクラスメイトとすれ違ったのに、
もし、僕が挨拶をして
嫌な気持ちにさせてしまったらどうしよう
影で何か言われたらどうしよう
と思うと、言葉を発することができなかった
…やっぱり僕はこうなのか。
先生がドアを開けて入ってくる
慌てて席に座る音が聞こえる
いつも通りのこと
でも、今日はちょっと違った
w「若井滉斗です。よろしくお願いします!」
転校生…?変な時期に来るんだな。
なんて心の中で思ったり
先生「じゃあ、あそこの席使ってね」
え、まって、僕の隣?
うそ、やだやだ。
w「よろしく!俺、若井滉斗!」
o「…大森元貴」
絶対感じ悪いだろ、これ。
もっとほかに言い方あったでしょ。
なんて後悔してももう遅い。
言ってしまったものは仕方がなく、
彼の耳に届いてしまっている。
w「元貴ね!何の運動好きー?」
o「え、運動はちょっと…」
w「そうなんだ、俺はねー、サッカー好き!」
聞いてもいないことを話し始める
こいつ、陽キャかよ
お願いだから話しかけないでくれ
陽キャの周りには人がよく集まる
若井滉斗も例外ではなく、
休み時間になるとあっという間に囲まれる
どこから来たの、サッカー好きって聞こえたんだけど、なんの勉強得意なの、放課後遊びに行こう、
など、たくさん質問を投げかけられている
囲まれている若井滉斗を、
僕は机にうつ伏せたまま、横目で見ていた
笑ってる。
楽しそう。
まぶしい。
「別の世界の人間だ」
なんて思ったのに、
不思議と目が離せなかった
すると不意に視線があった
w「元貴、昼めし一緒に食わない?」
…なんで僕なんだよ
他にいっぱいいるだろうに
教室が一瞬、静かになる
みんなの目線が僕に集まる
…多分、全部気のせいだけど
断らなきゃ、
いつもみたいに、やんわり逃げなきゃ
o「……」
喉がなる
今日の目標が、頭の奥で、かすかに光った
•上をむく
•挨拶をする
これは挨拶じゃないけど、
o「…いいよ」
声は、思ったより小さかった
でも、ちゃんと伝わったようで
w「まじで?やった!」
その笑顔を見た瞬間、
後悔と、ほんの少しの期待が、
同時に胸に広がった。