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今日は色んなことが起こった
…若井滉斗
今日転校してきたばかりでもう人気者だ
その人気者はなぜか、僕の隣で延々と話続けている
あそこの曲がり角で僕は曲がる
あそこまで我慢すれば
o「じゃ、僕こっちだから」
w「え、そうなの?じゃあ俺も」
なんでだよ
ひとりで帰らせてくれよ
w「おー、ここが元貴の家か」
o「うん、じゃあね」
w「またな!明日迎えに来るから!」
o「え?」
僕がなにか言う前に若井滉斗は去っていった
o「うそだろ…」
僕の願いは叶わず、次の日の朝
家のインターホンがなった
昨日と同じ、
若井滉斗が延々と話しながら
学校までの長い道のりを歩く
席に着いたと思っても、若井滉斗は僕の隣
正直、地獄でしかない
これが、毎日続いた
何日かたったある日の休み時間、
若井滉斗から逃げるためにトイレへ向かう
するとクラスメイトがいたようで話し声が聞
こえた
「おい、なんで若井が大森に話しかけてるか 聞いたことあるか?」
「いや、ないな。なんで?」
「一人でいるやつのこと放っておけないんだってよ」
放っておけない、か。
なんだか無性に腹が立って
放課後に若井滉斗を呼び出した
w「どうしたの、元貴からなんて珍しい」
o「ねぇ、僕に話しかけるのってさ、一人でいたからなんでしょ」
w「え、」
o「そういうの、すごく迷惑。もう話しかけないで」
w「ちょっと待って!」
僕はその声を無視して家に帰った
次の日、若井は迎えに来なかった
久しぶりの静かな日常
次の日の朝。目覚ましが鳴って、目をさます
家の外は、静かだった
インターホンも鳴らない
玄関の前に、誰もいない
…当たり前だ
そう言ったのは、僕なんだから
制服に腕を通して、
ひとりで家を出る
上をむいて歩いてみたけど、
今日は、なにも楽しくなかった
学校までの道が、
昨日より、やけに長く感じる
教室に入って、席に座る
隣は、空いていた
それだけで、
胸の奥が、少しだけ痛んだ
休み時間
話し声はあるのに、
僕のまわりだけ、空気が薄い
前までは、
うるさいと思っていた声が、
今日は、聞こえない
…静かだ
久しぶりの、望んでいた日常
なのに
ノートを開いても、
文字が頭に入ってこない
若井滉斗が、
笑っている声が、
いないはずなのに、聞こえた気がした
放課後
気づいたら、
僕は、いつもの帰り道に立っていた
曲がり角の前
あの日、
一緒に帰った場所
o「……なんで」
誰に向けた言葉かも、わからない
放っておけない
そう言っていたことが、
まだ胸に残っていた
優しさだったのか、
同情だったのか
考えれば考えるほど、
わからなくなる
でも、
あのとき腹が立った理由だけは、
少しずつ、はっきりしてきた
僕は、
「かわいそう」って理由で、
そばにいられるのが、
嫌だったんだ
じゃあ、
僕は若井滉斗のことを、
どう思ってたんだろう
答えは出ないまま、
家に帰って、
ベッドに倒れ込む
目を閉じる
すると、
あのうるさい声が、
また頭の中で響いた
w「元貴!」
胸が、きゅっと縮む
…ああ
静かな日常に戻ったはずなのに、
僕は、
若井滉斗を、失った気がしていた
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