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貴方と出会ったあの日から数日後僕は特殊部隊に入った
特殊部隊は力のある優秀な極僅かの人だけが入れる部隊らしい
様々な試験をクリアし、いよいよ今日が初仕事だ
「初仕事緊張するかい?」
「はい…凄くドキドキしています」
「そんなに気を張らなくても大丈夫、基本は2人で行動してもらうから何かあれば相方に聞くといい。無口だが優しい子だ」
「…頑張ります」
話をしている内に部屋につき案内される
「紹介する、彼女が相方のNちゃんだ。こっちはK君、宜しく頼む」
「はじめまして、Kです。宜しくお願いします」握手でもと思い手を差し出す
「…」
Nさんは軽く会釈だけし、椅子に座った
「ごめんね、あの子誰にでもああだから。気にしないで」
「それじゃ、あとはいつもと一緒だから。Nちゃん案内してあげてね」
そう告げると男が部屋を出ていく
(どうしよう…握手はまずかったかな)
無言の時間が流れチラリと彼女を見る
仮面をつけ体のシルエットが出ない服を着てるので、女性だと言われなかったら女性にも男性にも見える。
「…仮面」
ぼそっと呟いたのが聞こえたのか、振り向いたので慌てて顔を逸らす
(仮面といえば)
あの人は今どうしてるんだろうか
助けて貰った後お礼を言おうと思ったが震えで声が出なくて言えなかった
名前さえ聞けなかった
…あの人に会いたい、貴方のおかげで今の僕がいるのに
考えているといつの間にか時間のようで、車に乗り込む
「今回のターゲットは今から向かうビルの最上階に立てこもっています。持ち物は刃物、180cm大柄の男です」
窓を見ると目的地のビルが見える
「このビルの最上階です、Kさんは初仕事なので見学をお願いします。ではNさん、Kさんを宜しくお願いします。終わったらまた連絡を」
そう伝えると車に乗りこみ走り去っていった
「Nさ…」
話しかける前に着いてきてと合図されたのでそのまま着いていく
無言の時間がここでも流れ結局何も話さないまま最上階に着いた
「鍵掛かってますね、どうしますか?」
Nさんがドアノブに手をかける
(壊すのかな?どうするんだろ)
ドキドキしながら見てると扉が音を立て開く
「えっ」
確かに鍵はかかっていたはずじゃ?
扉を壊した形跡も無いし…
Kが扉を見ている間にNがスタスタと中に入っていく
「あっ。Nさん!」
置いていかれないように急いで中に入る
「あれがターゲットですね。」
男はこちらに気づいていないようだ
「僕はどうしたら」
質問すると壁を指さししたので、そこで見学という意味だろう
Kが壁に移動したのを確認し、Nが男に向かって歩いていく
「誰だ、お前」
男もこちらに気づいたようでナイフを取り出し向かってくる
(体格差大きいけど、大丈夫かな)
なんて心配していたが、すぐに決着はついた
「す、凄い。あっという間に」
早すぎてあまり分からなかった
Nさんを見るとスマホを操作している
「すみません、連絡…」
「終わりましたか?」
スマホから声が聴こえる、どうやら通話中だったみたい
「先程終わりました!」
「その声Kさんですね?後5分程で着くので一緒に待っといてください」
通話が切れNさんがポケットにしまう
(着く前にさっきの扉きいてみようかな)
やっぱりどうしても気になる
「あの、Nさん」
NがKの方に振り向く
「さっきの扉ってどうやって開いたんですか?」
「……」
少し見つめ合った後、Nが顔を逸らす
(やっぱりダメだった。そうだよね…嫌われてるし)
「おまたせしました。行きましょう」
「はい…」
トボトボ歩いていると背中をたたかれ振り向く
「どうしましたか?」
「会って1日目でもう嫌われてるんですが…」
「何故そう思うんです?」
「まだ声を聞いた事無いし、話しかけても答えてくれないしで…」
「大丈夫ですよ、皆そうです。」
「みんな?」
「えぇ。声は聞いたこと無いですし、素顔だって見たことないですから。嫌われてるのではなく、前からそうなんです」
「てっきり僕だけかと思いました」
皆そうなら嫌われてる訳では無いのかも知れないな
「気に病む必要はないですよ。」
「安心しました」
そのまま車に乗りこみ指定の場所へ向かった
「あ、おかえり!どうだった?初の現場は」
「仕事が早すぎて驚きました。あの早さは僕には…」
「仕事の早さなんて気にしなくていいさ」
「無事であれば大丈夫」
飲み物をKに手渡す
「家まで送っていくよ、今日はもう休むといい」
「ありがとうございます。」
車で自宅まで送ってもらいその日は解散となった
「あ〜めっちゃ緊張した!」
初仕事が見学で良かった
…じゃないと足を引っ張ったと思う
上司や迎えに来てくれた人達は皆優しかったけど
「相方Nさんかぁ…」
全く喋りもしないし、表情だって見えない
上手くやっていける自信は無い
「でも1人じゃ無理だし仕方ないか」
今はNさんに嫌われないようにする
仕事を早く覚える
そのふたつを頑張ろ
(あの時救われた様に今度は僕が誰かを救える様に)
〜数日後
「今日が2回目の仕事だね、今回は実践してもらおうと思うんだけど準備は出来てる?」
「バッチリです」
「じゃあ行こうか!」
車に乗り目的地へと向かう
「170cm男、痩せ型、持ち物は確認されていない」
「分かりました」
Kが車から降りビルを見上げる
「どこにいるんですか?」
「屋上だ。行く前にコレを」
「これは?」
取り出したのは拳銃らしきもの
「撃つと電気が流れる、万が一の時にはね」
「ありがとうございます。あの」
「どうした」
「Nさんは?見当たらないですが」
相方って言っていたのに2回目から来ないなんてまさかな。。
「あの子は他の仕事に行っているよ、急な仕事が出来てしまってね」
「…そうですか」
「じゃあ気をつけて、終わったらまたこの場所に来てくれ」
「分かりました」
Kがビルの中に入っていくのを確認し、男が電話をかける
「今入った、準備宜しく」
「なんで2回目で僕1人なんだよ。早過ぎない?」
正直心の準備は出来ていないし怖い
「でも、怖いけど頑張らないと。弱音吐いたって仕方ない」
きっと僕なら大丈夫だから
ドアノブに手をかけゆっくりと開く
「うっ…寒い」
扉を開けた瞬間夜風が一気に流れ込み体を撫でる
「⋯あれ」
何故か屋上に人影は全く見当たらなかった
「着いたの遅かったかな」
Kが連絡をしようとスマホを取り出す
「痛っ…こいつ」
攻撃は間一髪で防いだが、体勢が馬乗りの状態になってしまった
(仕方ない、貰ったやつを使うか)
素早くポケットに手を伸ばし銃で撃ち込む
「危ない危ないー!なんとか終わった」
スマホを拾い連絡を入れる
「っ…首が痛い」
痛む所を抑えると何故か手がヌルッとした
見ると真っ赤に染まった自分の手
「まぁ後から治してもらえばいいや」
なんて思っていたが傷が深く、さっきから血が止まらない
「初仕事なのに失敗しちゃった…」
意識が朦朧としてきた時扉が勢いよく開いた
「お疲れ様、Nちゃん」
NがぐったりしてるKに近づき首に手を当てる
「ウッ…」
小さく呻いたが回復したらしく、体を起こす
「ありがとうございます、Nさん」
「体大丈夫?」
「もう大丈夫です」
「良かった…今度からこんな無茶はしないでくれ!銃を使った時だってヒヤヒヤしたんだから」
「み、見てたんですか!?」
「カメラでNちゃんと一緒にね」
だからNさんは居なかったのか
「見てて思ったけど君は体術あまり得意じゃないかな」
「…?体術って何ですか」
聞いた事ないけど
「仕事始める前に習わなかった?」
「習ってないです」
「てっきり習ったものかと…すまない、近い内に手配しておくから今日はもう帰ろう」
気絶させた奴を抱えあげ車に乗り込む
「カメラで見てたって事はこの人も仲間なんですか?」
「あぁ、君がビルに入った後に連絡をしたんだ」
「そうだったんですね」
「ナイフ偽物にしとけば良かった…痛かったよね」
「実践だったし気にしてませんよ」
結構痛かったけど
「次は体術出来るように手配しておくから準備出来たらまた連絡するね」
「分かりました」
話をしている内に家に着いたので車から降りる
「それじゃあおやすみ」
「おやすみなさい」
車が走り去ったのを確認しKが家に入る
「死ぬかと思った〜首切られた時すごく痛かったし!Nさんが居なければ…」
僕は今ここに戻って来れなかった
「早く覚えてNさんに迷惑かけないようにしないと」
そのためにまずは体術を頑張ろう!!
~2日後
「手配出来たから今日から体術トレーニング始めて行くね、準備はいいかい?」
「もちろんです」
着替えも済ませ運動もしたし、準備万端!
「先にやるから真似してくれ」
男がやった動きをKが見よう見まねでやっていく
「…うん!動きは上出来だ!次はターゲットに対してやってみよう。相手役来てくれ」
「あっ」
部屋に入ってきたのは2日前にビルであった人物だった
「この前はすみませんでした。首大丈夫ですか?」
「実践でしたし大丈夫ですよ、首は治してもらったので今はなんとも!」
相手が安堵し胸を撫で下ろす
「…よし、それじゃあ始めるよ」
男が先程と同様の仕草をする
「次やってみて」
Kも仕草を繰り返し行う
「どうですか?」
僕的には上手く出来た自信がある
「うん上出来だね、次に移ろうか!!」
次は投げ技みたいでまた真似てやってみる
・・・しかしこれが中々に難しかった
「う、動かない、、」
「このやり方は習得が難しいんだよね。だけど覚えたら他のやり方より早く仕事が終わるよ」
「…全然ビクともしない」
「覚えるまでは内容これにしようか!練習あるのみ!」
「頑張ります…」
Kが練習を重ね、数時間経過後
「そろそろ終わりにしないか?さすがに疲れただろう」
「まだ出来ます」
「もう何時間か経過してるし、疲労で体壊すよ」
「あと1回だけ」
「じゃあこれで終わりだからね!」
Kが投げ技をかけ、また失敗かと思ったが
「や、やった!!!出来ましたよ!!」
「凄いな!まさかこの初回で出来るとは思ってなかったよ」
「感覚掴めた気がします!」
「上出来だ!!よし、今日は解散!沢山練習したから沢山休むんだよ」
「はーい!」
Kを車に乗せ自宅に送りとどける
「次もまた同じ内容になると思うから連絡するね。それじゃあおやすみ」
車を見届け扉を開く
「いやー難しかったな、でも最後上手く出来て本当に良かった…」
感覚掴めたら後は覚えるだけ
「覚えてNさんの足引っ張らないようにしたいな」
それから数ヶ月練習を重ね、とある日
「よし!今日はここまで、お疲れ様」
「お疲れ様です」
「K君だいぶ上達したね」
「ありがとうございます」
毎日練習してるし当然
「今日で最後にしようか練習」
「何故です?」
「今の君なら本番でも大丈夫だから」
「・・僕もそう思います」
微笑んだK その目には自信が溢れていた
「自信満々だね、その意気だよ!」
この調子なら送り出しても問題なさそうだ
「次からはNちゃんと一緒に宜しくね」
「はい」
「じゃあ帰ろうか、次は2日後になるから頼んだよ」
「分かりました。あの」
「どうした」
「Nさんと距離縮める為にはどうしたらいいんでしょうか?まだ話したことすらなくて」
「うーん…」
距離の縮め方なんて分からないし、何より相手がNちゃんだから難しいんだよな
なんて返すのがいいんだ
「?」
「…時間!時間が解決してくれるさ」
「いつも通りにって事ですか?」
「あぁ、無理に距離縮めようとすると逆に距離が広がると思うよ」
「分かりました。いつも通りでやってみます」
「また何かあったら言ってくれ」
「ありがとうございます」
それから2日後
「おまたせ、2人とも揃ってるね。早速今日の任務はここだ」
男が写真に丸をつけ説明する
「内容はいつもと同じ。K君」
「はい」
「今日は君メインで動いてくれ、前の特訓の成果を実践でね」
「頑張ります!!」
「Nちゃん」
「…」
「K君にはメインでやってもらうから、アシストにまわって欲しい。万が一の為に」
Nが頷いたのを確認し、現場に向かう
「いつも通り終わったら連絡してくれ。焦らず気をつけてね」
「はい、Nさん行きましょう」
「…」
足早に向かったのであっという間に目的地に着いてしまった
「ターゲット後ろ向いてて気付いてないですね、じゃあやってきます」
言うや否やKがいきなり走り出す
「ん?」
足音に気づきターゲットが振り向いたがもう遅かった
「ふー」
練習通りに上手くいって良かった
「終わりました」
Nが手錠をかけ、Kの方に振り向く
「どうしました?」
「…」
やり方ダメだったかな
「……」
「あっ、電話ですね!後5分程で着くみたいです」
伝えるとNさんがまたそっぽを向いてしまった
(前より上手くなった所で対応は同じか)
結局いつも通り解散になり自宅に帰る
「はぁ…やっぱり分かってはいたけど」
出来るようになった所で、Nさんから見たら
足でまといなのは変わりない
「でも、まだ1回目だし!これから沢山やっていけば」
いつか話せたりするのかな
「前向いて頑張らないと!」
いつか絶対、あの時の貴方みたいになりたいから
「あ、電話」
応答するといつもの人だった
「お疲れ様!次もまた2日後に決まったから宜しくね」
「分かりました」
「後今日の仕事凄く良かったよ。練習の成果しっかり出てるね!」
「見てたんですか」
「いや聞いたよ」
「…誰です?」
僕とNさん以外居なかった気がするけど
「あぁそれは。。ちょっと待ってて」
どうやら電話の向こうに誰かいるらしく話し声が漏れる
「すまない!仕事が入ってしまって続きはまた今度!」
「あぁ…はい」
結局誰か分からなかった
「てか電話越しで言って欲しかった!!途中で終わると気になる」
2日後に会うし、その時また聞こうかな
-当日
男がいつも通りKを車に乗せ目的地に向かう
「あの」
「どうした?」
「前電話で聞いた人って誰ですか」
「ん?なんの事」
「2日前に電話くれたの覚えてます?」
「あぁ」
「その時仕事褒めてくれたじゃないですか」
「そうだね」
「仕事見てなかったのに、誰からそれを?」
「あー…」
(急に歯切れが悪くなったな)
「あぁ、あの人だよ。前にビルの時や体術で相手役してもらった」
「居なかったですけど」
「隠れて見てたんだよ気づかれないように!」
「へぇ、そうだったんですね」
(言い方からして多分嘘。これ以上聞いても無駄か)
「納得してくれた?」
「まさか見てるとは思わなくて…あの人だったんですね!」
「そうだよ、それ以外は特になかった?」
「はい」
「よし!着いたらNちゃんと合流してくれ。先に待ってると思うから」
「分かりました」
「終わったらいつも通り連絡よろしくね、じゃあ頑張って!」
Kが目的地に降り男が去る
「Nさんお待たせしました、行きましょう」
「…」
(いつも通りで距離縮まるのかな)
不安が募るが、とりあえず目的地に着いたので仕事から始めよう
「お取り込み中どーも」
「…誰だ」
「さぁね」
「まさか警察…」
「どうだろう」
ターゲットの顔がみるみる青ざめていく
「た、頼む!見逃してくれ」
「どうして?」
「子供が重い病気なんだ…それで金が必要になって…」
どうやら
病気でお金が必要になり犯罪に手を染めたらしい
「それは大変だったね、この仕事で資金足りるの?」
「これで足りるのでもうしません。払ったら罪を償います」
「どうかお願いします。見逃してください」
「…いいよ」
「あ、ありがとうございま」
「その話が本当ならね」
男に幾つかの紙を見せる
「これ何か分かる?」
「さ、さぁ何の事か分からないです」
「貴方が今まで騙してきた人だよ。さっきみたいに同情を誘うような嘘をついて」
「……」
「騙したうえに口封じするなんて酷いね」
「嘘をついても無駄!それに逃げ場はもう無い」
「……」
「痛い目見たくなかったら大人しくして」
「…あぁ、そうする」
観念したらしく男が膝をついた
「ん?」
音がした辺りを見ると何かが転がってきた
「ボール?一体どこから…」
球体に触れた瞬間煙が立ち込める
「うっ…」
「今更押さえたってもう遅い」
「このボールには催眠ガスが入っているんだよ。触れると発動する」
「…」
「そろそろ良い子は寝る時間だな」
「眠った後に始末して、その後に俺はトンズラさせてもらう」
(まずい、もう意識が…)
体から力が抜けKが横たわる
「めんどくせーから2人一気にやるかぁ」
「…あれ」
床に横たわるのはさっきの男が一人だけ
「もう1人いたはず。どこいった!」
バチバチッ
ドサッ
「…やれやれ」
Kが立ち上がりぐったりしている男を見下ろす
「早く終わりましたね!Nさんありがとうございます」
時計を見ると30分も経っていない
(いつもは時間遅いしすぐ解散だけど。今日こそは)
「あ、あのNさん!良ければこの後一緒にしょ…」
(いや、いきなり食事は無理か。なら)
「一緒にテーマパーク行きませんか?」
「…」
「仕事した場所ちょうどテーマパークの近くでしたし、ダメですか?」
「…」
Nが聞こえなかったかのようにスマホを取り出す
「すみません、忘れてください」
いつもと同じフル無視。やっぱり無理か
最初に会ってからもう数ヶ月仕事一緒にしているけど、全然最初と変わらない
(仕事の腕とか上達してると思うんだけどな…)
「おまたせ!ごめんね、他の仕事が長引いてしまって」
「お疲れ様です、こっちは終わりました」
「ありがとう!送っていくから車に乗って」
今日もまたいつもの様に車に乗る
「…K君元気ないね、何かあった?」
「前にNさんの事話したじゃないですか」
「そうだね」
「あの時時間が解決するって、言ってましたけど…全然最初と変わってないように思って」
「でも嫌われてはないよK君は」
「喋ってないのに?」
「あのね、今近くに本人居ないから言うけど」
「なんですか」
「君を推薦したのはNちゃんなんだよ」
「えっ?いやいや嘘ですよね?」
「ほんとの事だよ、元々他にも候補者はいたんだけど」
「Nちゃんが君を推薦したから相方にしたんだ」
「でも…それならどうして喋ってくれないんですか?」
「僕は足を引っ張らないように頑張って…」
「Nちゃんも努力はちゃんと見てるよ!」
「でも…」
Kが悲しそうに言うので慌ててフォローを入れる
「あの子はひ、人見知りだからさ!」
「人見知りだから話せないだけだから!気にしないで!」
「…」
(本当は別の理由があるから話せないんだけど、今は伝えられないかな)
「いつか解決するから!それまで相方として一緒に頑張ろ」
「…分かりました」
「よし、今日はK君が好きな物食べに行こう!」
「…」
「行くだろ?」
「はい、行きます」
「Nちゃん君も一緒に来るかい?」
男が近くに来てたNに声をかける
「了解、じゃあ近くまで送っていくから車に乗って」
案の定断ったみたいだ
3人で車に乗り発進させる
「先にNちゃんから送っていくね」
「!」
いつもは最初に送ってもらっていたから知らないけど・・・
(もしかしたらNさんの家がわかるかも)
しばらく走りコンビニに車を止める
「それじゃあまたね、気をつけて帰るんだよ」
「ここがNさんの近所なんですね」
「そうだよ、いつもは家までなんだけどね」
「へぇ」
…って何してるんだ僕は
まるでストーカーみたいじゃないか
「K君は何食べたい?」
「…」
「K君?」
「はい!はいなんですか」
「何食べたい?」
「うーん」
ふと窓に目を向けるとテーマパークの駐車場が映り込む
「テーマパークで食べませんか?」
「おっ!いいよ!じゃあ車停めるね」
「それじゃあチケットから買いに行こうか」
チケットを買い早速中に入場する
「K君はここ来たことある?」
「結構ありますよ!」
「楽しいよね」
「めーちゃっ!楽しいのに!」
「…本当はNさんも連れていきたかった」
「そうだね」
「Nさんはここ来た事あります?」
「多分無いんじゃないかな」
「グッズとか渡したら嫌われますかね」
「K君から直接って事?」
「いや渡すので渡した後Nさんに」
「大丈夫だと思うよ」
「なら食事した後ショップ見に行きましょ!」
近くにあったレストランに入り食事を注文する
「…Nさんとプライベートで会った事ありますか?」
注文を待っている間Kが疑問を投げかける
「あるよ」
「会話とかしてます?」
「もちろん!」
「…僕がNさんと話せないのって何か原因あるんですかね。それか嫌われてるだけとか」
「さっきも言ったと思うけど人見知りだから」
「でも!!今まで仕事してきたけど全然目を合わせてくれないし!何より」
「Nさんが僕に嫌悪感を持ってると思うんです。嫌ならペア変えてもいいのに!」
・・僕だって毎回毎回あの調子じゃ傷つく
「…」
「分かった…理由を話そう」
隠し通すにはもう限界だし、N君に辞められると困る
「…ほんとですか?」
「あぁ」
「あの子…Nちゃんがきみを避ける理由はね」
「きみが男だから避けるんだ」
「え?」
僕が男だから今まで話もしなかったし、避けてたって事?
「でも貴方はNさんと話してますよね?男だけど… 」
「まさか女性ですか?」
「そんな訳無いよ!ちゃんと理由があるから!」
重く口を開いた
「…深くは言えないけどあの子の家族が原因でね」
「父親がNちゃんを置いて出ていってしまったんだ」
「…これが理由」
「どうして早く説明してくれなかったんですか?」
「話すタイミングが無かったんだ」
「タイミング無かったなら遠回しに話せばいいですよね?遅いんですよ!!」
「悪かったと思ってる…すまない」
「はーもういいです、過ぎたことは仕方ないので」
「⋯」
「ちなみにその父親はどこいるんですか?」
「こっちも分からないんだ、Nちゃんが幼い頃から居なかったらしいし」
「なら問題解決無理そうですね」
(て事は僕が好かれるのも無理じゃない?)
「…もう諦めますよNさんは」
「!」
「し、仕事辞めるのか?」
「…この仕事給料は良いし内容も難しくない、仕事時間も短いで高待遇だけど」
「やっぱり人間関係って大事じゃないですか」
「給料良くても人間関係が悪いと仕事も辛くなるし。僕はもう」
「ま、待って!お願いだから辞めないでくれ…」
「でも」
「もう1回Nちゃんに話してみるから!説得するから」
「頼む!!!!」
「え…じゃあ今回だけですよ…」
「ありがとうっ!明日にでもまた話してみるから!退職だけは本当に勘弁してくれ」
「どうしてそんなに止めるんですか?前回の時もそうでしたけど」
「この仕事は誰でも出来る訳では無いし、君が辞めたらまた次を探さないといけなくなる」