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#藤澤涼架
キヲヌイテ。
78
ダイヤの剣
358
「Siip様。今日も天気がいいですね」僕がそう言って、温かい食事を机に並べる。
Siip様は窓の外の青空をじっと見つめていたが、僕の声に気づくと、小さな子供のようにトコトコと机に近づいてきた。
『……うん。おいしそう』
白いマントのフードが、嬉しそうに小さく揺れる。
Siip様がこうして静かに食事を口にしてくれる時間が、僕にとって、世界で一番愛おしくて、守りたい日常だった。
だけど、お箸を持つ彼の右手を見るたびに、僕の胸は、張り裂けそうなほど痛む。昨日よりも、ほんの少しだけ。彼の指先が、さらに薄く、透明に透けている気がするからだ。
黒いフードの奥で、僕はそっと唇を噛み締めた。元々ただの孤児だった僕を、Siip様は自分の存在を削ってまで救ってくれた。今の僕がどれだけ尽くしたところで、Siip様が削ってくれた命の代償には、到底足りないのに。『……Lamb』
突然、名前を呼ばれて心臓が跳ね上がった。見上げると、Siip様がじっと僕を見つめている。
「……? どうされましたか、主よ」
『……ないて、る?』
「え……?」
言われて初めて気がついた。顔の見えない黒いフードの奥で、僕の目から、一筋の涙が零れ落ちていた。
「あ、いえ……なんでもありません。目に、少しゴミが」
慌てて涙を拭う僕の手を、Siip様の、ガラスのように冷たくて綺麗な手が、そっと包み込んだ。
『……だいじょうぶ。ぼくは、きえないよ』
嘘だ。人を1人助けるたびに、確実に消えていっているくせに。
Siip様はいつも、自分のことよりも、僕や、この世界の傷ついた人間のことばかりを優先する。
『大丈夫』
と微笑む彼の優しさが、今の僕には、何よりも切なくて怖かった。
その時だった。
ザァァ……と、窓の外の天気が急に曇り、激しい雨が降り始める。同時に、遠くの街の方から、誰かの泣き声のような音が聞こえてくる。
Siip様は窓を開け歌い出す。
『難し話より手を繋いで幸せの代償をも見せ合いっこしよう』
雨風で揺れているマントから見える手はまたさらに薄くなっている。
「Siip様!おやめください!また腕が透けてしまいます!」
Siip様は辞めない
すると雨風がぽつりと止む
『雨。やんだね』
Siip様は嬉しそうにこちらに振り向く
「はい。Siip様。」
心の奥底で泣きなくなる
またSiip様が消えてしまう
コメント
1件
うわあああ第2話も尊すぎて泣いた😭💦💦 Siip様が「ないてる?」って聞くところ、優しすぎて心臓ぎゅってなった……! それに雨を歌で鎮めるシーンも美しくて切なくて、でも腕が透けてる描写に「また消えちゃう」って焦るLambの気持ちが痛いほど伝わってきたよ……。ふたりの距離が近づくほど怖くなるこの感じ、エモすぎるよ波野さん😭✨ 次が気になって仕方ない……!