《白の腕》
─俺が出た瞬間、スキマは閉じた。それを確認し、下を向いて見ると、木々が広がっていた。そう思っていると、気付いたら地面に近くなっていた。俺は、受身の体制になり、何とか着地する。だが、軽くやっていた程度なため、脚を打ってしまった。
「痛ぇ…」
そう呟いて、立ち上がる。紫が言うには、「でたら博麗神社を目指しなさい。」との事だ。まだ彼奴を信用できてはいないが、この状況だ。目標があった方が動きやすいだろう。そう色々考えていると、誰から声をかけられた。
「おい、お前そこで何をしてるんだ?」
声の方を見てみると、白いフリルとドロワーズを纏った、金髪の女がいた。それも、空中に。木の上という訳でもなく。俺がそれに驚いていると、
「…お前、驚いた顔してんな。見慣れてないのか?幻想郷の奴らは見慣れてるはずなんだが…」
「…あれを?」
「そうだぞ。お前、さては幻想入りした奴か?」
そう女が言う。何故幻想入りと分かったか疑問だったが、恐らく空を飛べるのが普通なのだろう。
「嗚呼、そうだ。紫とやらに連れてこられた。」
「あー、あのBB…じゃなくて、紫か。こりゃあまた彼奴が嫌な顔をしそうだな。」
「彼奴?彼奴って誰だ?」
「まあ行く途中だったし、お前も連れていくか。ほら、私の箒に乗れ。」
「お、おう。分かった。」
そうして、箒に乗って見ると、少しゆらゆら揺れていた。そう思っている間に箒が動き出した。
「飛ばすから、しっかり掴んどけよ?」
「え、ちょ、しっかりってどういう…」
「それじゃあ行くぞ!」
その瞬間、周りが止まったように見えた。だが、そのすぐ後に、背景がとても早く横に流れた。
「ちょっ、早すぎるだろ!」
「何言ってんだこの程度で、臆病だな。」
「あ?いいぞもっと速くしやがれ。」
「いいんだな?」
その一言と共に、さらに速さが一段上がった。が、今は怒りでそんなこと微塵も気にしていなかった。気付くと、石の階段がある所に着いた。そして、上には鳥居があった。
「おし、ついたぜ。」
「もうか、速いな。」
「お前が遅いだけだろー?」
「そもそも、浮けるかなんて分からねぇから無理だ。」
「…まあそんなもんか。」
その言葉を最後に俺と女は石段を上がり始めた。そこから、周りに微妙な空気が流れた。
「お、お前は好きな物とかあるのか?」
「無理に話さなくていいぞ…」
暫くそんな空気が続いた。そして気付けば一番上に着いていた。
「…ん、またアンタ来たの?」
「おう、悪いか?」
「悪くは無いけど…ところで隣の奴は?」
「「…そういえば聞いてないな。」」
「アンタ達気が合うの?」
「さあ、知らね。」
「ま、いいわ。私の名前は博麗霊夢、ここの巫女をやっているわ。ほら、魔理沙も。」
「ほいほい、霧雨魔理沙、魔法の森に住んでいる。これでいいか?」
「ん、嗚呼。俺の名前は如月湊、能力は正と負を操る程度の能力だ。」
「分かったわ、じゃあ湊でいい?」
「いいぞ。」
そう、霊夢らと話していると、近くの茂みから音がした。見てみると、草木の中から、白く、細い腕がでていた。─
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