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《もう一つの声》
─腕は上下にゆっくりと動いていた。誘っているような、呼んでいるような、そんな感じだ。
「あら、客かしら。」
「おう、そうみたいだ。しかも大人数で来やがったようだぜ。」
戦闘慣れでもしているのだろうか、2人は怖気付くことなく、落ち着いてそう言う。
「俺は、」
「アンタは神社の中に隠れてなさい。結界を張っとくから。」
俺が言い切る前に霊夢がそう言う。そしてそれを聞き、少し躊躇したが、俺は神社の中に駆け足で入った。神社に入ったその瞬間、外の景色が少し変わった気がした。恐らくこれが結界なのだろう。─
視点変更━━━━━━━━━━━━━━━
「魔理沙、右。」
「分かってるぜ!」
そう叫ぶと同時に、魔理沙が魔法を放つ。これで大分、相手を削れたと思うが、変わらず、絶え間なく敵は現れ続ける。
「…おいおい、まさか召喚系か?」
魔理沙が口を開ける。
「この量ならそうかもね。大体発生源はここから少し奥かしら。」
そう、あまりにも多すぎるのだ。今まで一度にこんな量の敵が出て来たのは初めてだ。その時、魔理沙が叫ぶ。
「あれか!」
魔理沙が指さした場所には、黒色の穴があった、奥も見えない穴が。そして、今も絶えず、白いやつらが出てきていた。
「分かったはいいけど、これどうやって消せばいいの?」
「知らねーよ!まあ撃ちまくってたら無くなるだろ!」
魔理沙がそういい、私もそれにのる。だが、何か嫌な予感がし、体が寒くなった。でも、戻れる訳でもない、なので、止めれなかった。
視点変更━━━━━━━━━━━━━
(霊夢と魔理沙、おせーなー。)
俺はそう呑気に座って待っていた。だが、それだと勿論暇なので、立ち上がって、この神社内を歩き回ることにした。
「こうやって見ると、この神社って意外とでかいんだな。」
そう喋っていると、突然大きな音がした。驚いて音の鳴った方を見ると神社が壊れていた。そして、あの白い巨大な奴がいた。彼奴が俺を見た途端、こちらに走ってきた。奴はどんどん近付いてきて、俺は吹き飛ばされた。腕に激痛を感じたので見てみたら、血がでていた。恐らく飛んだ木の破片で切ったのだろう。
「おいおい、初戦にしては強すぎじゃねぇか…?」
そう呟く。俺は、体格差、体力、速度、攻撃力、アイツに対して、その全てにおいて劣っている。
(そういえば能力とか言ってたな、『正と負の…』だっけ。この差を埋めるには能力しかない…か。)
そんなことを思うが、能力なんてもの、何も知らない。勿論、使い方も。そう考えていると、気付いたら、既に怪物はこちらに向かっていた。
(こりゃあ、終わりじゃねぇか。)
「〜〜〜!?」
その時、何故か怪物が弾かれた。俺は周りを見渡したが何もなかった。そしてその時、声が響いた。
『早く攻撃しろ!』
「!?」
俺はその声に驚いた。誰だって突然大声をかけられたら驚くだろうが、もう1つ理由があった。なぜなら、その声は、頭に直接響いたのだから。