テラーノベル
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🤍「今日、一緒にお月見しよ?」
💙「は?」
珍しい誘いを受けた。
世間のお月見は9月とかじゃないのか、月なんて天気が良ければ毎日出てるっていうのに一体何をするつもりなんだろう。
色々考えたけど、よくわからないからとりあえず付き合ってみることにした。
🤍「いらっしゃい♡」
💙「お邪魔しまーす」
ラウはピザをデリバリーして待っていた。
高層階のこの部屋はリビングが全面窓になっていて、前来た時に普段見るより何となく月が近いようにすら感じたのを覚えている。
相変わらず無駄がない部屋。俺の部屋は何もないと言われるけど、ラウの部屋も物は少ない。
💙「すっきりしてんな、部屋」
🤍「これでもちょっと物増やしたんだよ。なんかさぁ、物がなさすぎて逆に落ち着かなくて」
💙「ふーん」
出されたアップルタイザーを飲みながら部屋を見回す。
なんか置いてあるものがめめのチョイスに似てるなと思ったけど、聞いたら案の定物を増やす事もめめのアドバイスだったらしい。
なんか面白くないな、と思って、何でそんな事を考えたのかわからなくて1人でパニクった。
🤍「どしたの?」
💙「ふぇっ」
いつの間にか空になっていたグラスを下げ、別のグラスを出そうとするラウ。
💙「待って、これもっかい飲む」
🤍「ん?気に入った?」
💙「あー…うん」
謎のモヤを抱えたまま食事したくない。ウェルカムドリンクをおかわりして、気持ちをリセットしたかった。
ラウはにっこり笑って『どうぞ』とアップルタイザーを注ぎ、シャンパンゴールドがグラスを満たしていく。小さな泡がとめどなくあがる様子を眺めた。
💙「ところでさ、なんで今日に月見?」
🤍「それはねぇ」
待ち焦がれたかのようにラウがカーテンを開ける。
そこには月…じゃなく、雲。
💙「ん?」
🤍「え?」
俺のきょとんとしたリアクションを見たラウは振り返って、すっかり雲に身を隠してしまった月に気付いて『ええぇ!?』と叫んだ。
🤍「さっきまで綺麗に見えてたのに」
💙「そのうち出てきそうだけどな」
そうは言ったものの、雲は分厚くなる一方でしまいにパラパラと雨まで降り始めた。
ラウは頼んだピザが冷めるのも気にせず、名残惜しく窓の外を眺めて背中を丸めている。
💙「食えよ」
🤍「……」
ピザを一切れ持って隣に行くと、涙まで浮かべてすっかり拗ねた顔のラウがそこにいた。
💙「一体なんだったんだよ…いや、とりあえず食え」
🤍「むぐ」
やや強引に突っ込んだピザを素直に咀嚼し、全部飲み込むと口元をペロリと舐めてうだうだとラウが体重を俺に預けてきた。
💙「重い。で、なに」
🤍「今日さ、ストロベリームーンなんだって」
💙「はぁん?」
🤍「もう言うね、俺しょっぴーの事好きなの。ストロベリームーンを片思いの人と一緒に見たら恋人になれるってジンクスがあるから、しょっぴーと見たかった」
一気にまくし立てられて、反芻して。
💙「ええぇ!?」
こいつ今俺の事好きって言った。
それに気づいたのと同じくらいのタイミングでラウは俺の手をとってそっと握る。
🤍「月は見えなかったけど、良かったら俺との事考えてくれない?しょっぴー」
💙「え…あぁ、うん。いいけど……」
言いながらなんて返事をしてるんだと思う。イエスにしてもノーにしてももうちょい言い方あるだろと。
照明を瞳に映してきらきら光るラウの目に吸い込まれそうになって、振り払うように空いた手で頭を撫でた。
💙「今はまだ…わかんないけど」
🤍「うん」
💙「お前の気持ちは嫌じゃない。だから、ちょっと考えてみる」
ラウの表情がぱあっと音がしそうなほど明るくなった。
🤍「ありがと、しょっぴー」
💙「…ていうか、月なんて見えたり見えなかったりするんだし結局なしでも言えたんだからそんなもんに頼るな」
🤍「えぇ〜、それしょっぴーが言う?」
冗談言い合って笑って、ピザ食べて、その日は普通に解散。
帰る頃には雨もあがって、ストロベリームーンとやらが見えていた。
💙「普通の月じゃん」
そんな事を口では言いながらいつもより綺麗だなとちょっと思ってたし、笑顔で俺を見送ったラウのことも思い出して帰る足取りは軽かった。
終
コメント
12件
そっか。両想いなんだ。 読解力地に落ちてる。
はーーーかわいい!2人まとめて可愛い!!
やーーー可愛い可愛い可愛い😭💓可愛すぎて転げ回りたくなります😭💓もともと🤍💙も好きですが、このお話のラウの感じがツボ過ぎて…そしてしょっぴーの感じも、年下×年上感たまらないです😭🫶