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ー学園長の庵ー
「わがままを聞いてもらいありがとうございます。」
頭を下げる八左ヱ門を学園長はじっと見つめた。
「何、礼には及ばん。お主にもいろいろあるようじゃからの。」
「わかるのですか?」
「いや、何かがお主を変えてしまったのはわかるが、その何かはわからん。」
「そんなに変わってしまったでしょうか?」
笑みを浮かべながら困ったように言う八左ヱ門。
「変わっておる。少なくともわしの知る『竹谷八左ヱ門』はそんな笑みは浮かべん。この時代の八左ヱ門が太陽と例えるなら、お主は月のようじゃ。」
「ハハッ‥‥。ちゃんと演じてたつもりなんだけどな~。」
八左ヱ門は体制を崩し座る。
「次はちゃんと『5年ろ組生物委員会委員長代理竹谷八左ヱ門』を演じて見せますよ。」
そう言って笑い立ち上がる八左ヱ門を学園長は寂しそうに見た。
「‥‥ワシはお主に何があったのかは聞かぬし、これからここで暮らす間何をしようと手出しはせん。だが、これだけは言わせてもらう。」
障子に手をかけた八左ヱ門の手が止まる。
「あまり、一人で抱え込まないように。」
「‥‥‥失礼します。」
八左ヱ門は学園長に背を向けたままそう言って庵を出ていった。
ー食堂ー
「八左ヱ門!」
食堂にはたくさんの生徒がいて、勘右衛門達5年生4人が八左ヱ門を待っていた。
「おほー!待っててくれたのか!」
「そうだ。早くしろ、腹が空いてるから。」
「悪い悪い。」
不機嫌そうな三郎の前におばちゃんから貰ったご飯を持って座る。
「じゃぁ食べよ~。いっただっきまーす!」
勘右衛門がご飯を口にし、八左ヱ門達は食事を始めた。
「ねぇ、八左ヱ門。」
ふと思いついたように雷蔵が八左ヱ門を見る。
「何だ?雷蔵?」
「その包帯。どうしたの?」
その言葉に、周りの生徒も耳を傾けてるのがわかった。
「あ〜。これか?」
八左ヱ門は明るい声で包帯に手を当てる。
「任務でヘマして怪我してさ~。大丈夫なんだけどな!まぁ気にすんな。」
そう言うと、雷蔵達は納得したようにうなずいた。
そのまま世間話をしたりして、八左ヱ門は雷蔵達と別れた。