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水族館の出口を通ると同時にこの時間が終わると思うと、人混みから抜け出した後も離れない心さんの手を少し強く握る。
微量でも確実に駅の方に向かっていく。しばらくの間続いた沈黙を『駅に着いちゃったね。』
で破られた。
心「あー、もう一周すれば良かったなー」
和馬「流石に飽きそうだけど」
心「そう言っておきながら君は何回でも付き合ってくれるでしょ?」
和馬「…さあな」
心「うわ、誤魔化した」
スマホで電車が来るまでの時間を確認する。
心「君は気付いてないかもだけど、途中から握る力が少し強くなってたよ 」
心「それも駅に近づくたびに」
心「そんなにうちと離れたくなかったのかなー?」
和馬「……そうだよ」
心「ふぇっ!?え?あ、へ、へー?」
和馬「って言ったらどうする?」
心「うあ!うちの事騙した!わざとらしく握ってる手を近づけちゃったりしてさー!」
和馬「ごめんって、ちょっとしたお返しのつもりだったんだけど」
心「電車来たし帰るね!」
心「次はうちが仕返しするからね!楽しみしてな!」
和馬「仕返しは楽しみしておくもんじゃないだろ」
心「バイバイ!」
和馬「また学校で」
綺麗な紅色に染まった葉は次の季節の準備をするかのように枯れ落ち、少し寂しさと寒さを感じる季節になった。
和馬「俺ってなんでこんなにも何もできないんだ」
心さんと水族館デートをした後特に進展はなく、積極的に行動できない自分に嫌気がする。
和馬「…なぁいいバイト先知らない?」
優「バイトするの?」
和馬「そう。このままじゃ無くなりそう」
優「うーん、いいところは知らないなー」
亜美菜「おーい、まだ1限終わったばっかだぞー。ダウンするには早いぞ」
心「夜更かしでもした?」
優「和馬はいつもこんな感じだよ」
心「ねえ、さっきチラッと聞こえたんだけど」
心「バイト探してるんでしょ?」
心「うち良いところ知ってるよ」
和馬「ほんと?」
心「うん、コンビニなんだけどいい?」
和馬「全然、紹介してくれるだけでありがたい」
心(うちのバイト先って知ったらどんな反応するかな)