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日も落ちて、空が茜色に染まり始めた頃教室の中は昼ほどの煩さはなく、小さな音さえも聞こえるほどに。そんな中場に合わないような声で帰ろうとしていた俺は名前を呼ばれ立ち止まらないわけにはいかなかった。
呼び止めたのは柊 亜美菜(ひいらぎ あみな)
心さんの親友だ。
急に呼び止められたので、少し戸惑っていると席を指で指す。座れということなのだろう。指された席に座ると柊さんは口を開き始めた。
亜美菜「ちなみに心はバイトだから先に帰ったぞ」
和馬「そ、そう」
亜美菜「そう身構えんなよ。別に重たい話をするわけじゃないんだし」
亜美菜「心についての話なんだけどさ…」
亜美菜「もうすぐ心、誕生日なんだよ」
和馬「…なんでそれを俺に?」
亜美菜「はぁ?なんでって、お前。心と友達だろ?」
亜美菜「友達が友達の誕生日祝わないでいるつもりかよ」
和馬「そういう訳じゃ…」
亜美菜「まあお前の場合頑張らなきゃかもな」
俺の性格的なことを言ってるのかと思ったが、どうやら違うらしい。柊さんは体を乗り出して俺に耳打ちをしてきた。
亜美菜「好きなんだろ?心の事」
そう言ったあと顔を赤くする俺をみてケラケラと楽しそうに笑う。
亜美菜「側から見たら結構わかりやすいぞ。お前」
亜美菜「心は鈍感だから気付いてないと思うけどな」
和馬「でも誕生日プレゼントなんて何あげればいいか分かんないし、心さんが好きなものなんて…」
亜美菜「心は何もらっても喜ぶと思うけど」
和馬「なんでも…なんでもが1番難しい」
亜美菜「だから何もらっても喜ぶんだって。大切なのは心のことを考えて、想って選んだってこと」
亜美菜「心のために使った時間の多さが大切なんだよ。分かったか?」
和馬「……」
亜美菜「なんか言ってくれ。言った私は結構恥ずかしかったんだから」
和馬「思ってた以上にいいこと言うからびっくりした。思わず姉貴って言いそうになったくらい」
亜美菜「絶対呼ぶな、なんだよ姉貴って」
和馬「ありがとう、柊さん 」
亜美菜「亜美菜でいいよ。なんかむず痒から」
亜美菜「じゃ、迎えも来てるし帰るわ」
亜美菜「バイバイ」
和馬「またね、亜美菜さん」