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ということで、リョータに協力することになってしまった。放課後にリョータと会ってほしいと彼女に頼むなら、昼休みのうちがいいだろう。今日もそうだけど彼女はたいてい昼休みに教室にいない。でも雨の日だけは教室にいる。つまりお昼ごはんを外で食べているということだ。
校舎の屋上だろうと予想して、まずそこから探しに行ってみることにした。いなければ次は校舎の外をぐるっと回ってみるつもり。そうなると面倒だから屋上にいてくれよという願いが通じたか、彼女は校舎の屋上のフェンスの前の段差に腰掛けて一人で弁当箱のごはんを食べていた。まだ五月なのに屋上に降り注ぐ日差しは強烈だった。暑くないのだろうかと一瞬心配になったが、さっさと用件を済ませようと気持ちを切り替えた。
僕が話しかける前に、彼女が僕の姿に気づいてすっと立ち上がった。
「何の用だ!」
質問というより威嚇するような鋭い大声だった。不審者だと思われてる? 隣の席なのに顔も覚えられてないのだろうか?
「怪しい者じゃないよ。僕は君と同じクラスで隣の席の大中寺夏梅だよ」
「そんなことは分かってる」
「分かってるなら、いきなりそんな喧嘩腰にならなくても……」
「は? 隣の席になってからずっと私を無視してたのはおまえの方だろ? 私がおまえに何かしたか? あるなら言ってみろ!」
その頃、彼女はボクっ娘であることを隠して、私という一人称を使っていた。
それより僕が彼女を避けていたのが思い切りバレていて驚いた。それについては確かに彼女に非はない。謝った方がよさそうだ。