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「 ちょっとベランダ行くわ 、 」
事後、そういってベランダに向かう叶の姿に哀しくなる。昔は煙草なんか吸ってなかったのにな。今はなんで煙草を吸うようになったんだ。どうして俺とヤったあとだけ吸うんだよ。
「 ここで吸えよ、別にもう気になんないし。 」
「 部屋が臭くなるのはちょっと嫌だから、無理せんでいいよ。 」
下着姿の俺にそう言って笑いながら外に出る叶。そんな叶の影が涙でにじんでる。声を出しすぎて背中には俺がつけた傷とかがいっぱいで、もっと哀しくなった。時間が流れていく。立てるくらいまで落ち着いてそこら辺にあった服を持って、俺も外に出ようとする。
「 あ、ちょっとまって、もうじき終わるから、煙草。 」
「 いい、気にしない。 」
そう言ってベランダに出たら少し肌寒かった。まだ春になりたてくらいだからだろうか。夜桜と叶の憂いを帯びた瞳が綺麗で、なんだか泣きそうになった。煙草が終わりかけになっている。俺への愛もそうやって消えていった。なんて、そんな終わり方であってほしいだけ。俺の妄想。
「 なぁ 、 なんで煙草吸うようになったんだよお前。 」
「 ぇ、あ~~… 、 特に意味はないよ。ちょっと口寂しいというか 、 」
隠し事をするときの叶だ。なんて考えてもなにも変えられない。俺と叶は付き合っていない、そしてここから関係が進むこともない。悲しいけれど事実なのだから。
「 なぁ、こんな関係いつまで続けんの 。 」
「 ん~~ … 、 そうだよねぇ 。そのうちやめるよ 。 」
あとちょっと、それくらいの言葉があれば俺だってこんな気持ちにならねぇよ。なんて言えるわけもない。これ以上期待して落ちたくない。叶に抱かれるのは嫌いじゃない。叶のことも嫌いじゃない。でも、今の叶は嫌いだ。
「 いつまで待ったら、終わるの? 」
「 なに、今日は質問コーナー?お前がやめたいって言えばすぐやめるよ。 」
なんだこいつ、自分からはなにも言わないのかよ。
「 じゃあ、どう思ってんの?俺の身体、 」
「 え~~…?相性はいいなぁと思うし、普通に気持ちいよ。って、なにそのキモい質問 」
隣でこうやって笑いあえるのも後何回あるかわからない。叶の愛はすぐ形が変わる。ときには変な形をしていたり、純粋な愛の形だったり。その愛で俺は沢山の傷をおった。悲しいくらいに、嫌になるほどに痛くて愛おしい。大好きなんて、言えないから。
「 ふ~~ん 、 次はいつヤんの? 」
「 ん~ … 、 今から。 」
そう言って灰皿に煙草を押し付けて先に部屋入ってるね、なんて言って部屋に戻る叶を見送って少し風にあたる。なんだろう、叶を見ると心に穴が空いたような、なんとも言えない感情に押し潰されそうで。灰皿に押し付けられた煙草みたいな。空しい気持ちのまま、部屋にはいる。叶が嬉しそうにこちらを見つめるから、俺も嬉しくなっちゃいそうで。
「 ほんとにすんの 、? 」
「 うん 、 嫌? 」
「 別に 。 普通にだけよ 、 」
「 わかってるよ 。 」
そう話しながら叶は俺のに手を伸ばす。今じゃ後ろだけで達することができるほど、叶に抱かれた。もうどうでもいい。悲しさとか、絶望とかそんな感情とセッ.クスは相性がいい。
「 っあ … 、 」
「 ほんと、葛葉ってかわいいよね。 」
「 だ、まれっ … んっ、 」
「 はいはい 、 解さなくてもいいかな 。いれちゃうよ 、 」
「 ん、 」
叶のがはいってくる感覚。これが気持ちいと感じるまでそこまでの時間はかからなかった。けれど、今はなんとも言えない。はいってくる、奥まで、。
「 ぁ 、 っ … 、 」
「 締まり悪いね 、 ゆっくり動いてるからかなあ 。 」
腹の辺りをなぞられたって、締まりは良くならねぇよ。なんて思っていても身体は違う。きゅ、と締まったのを確認した叶は満足そうに動き始めた。
「 あっ 、 んぅ 、 かな 、ぇ っ … 、 」
「 名前呼んでくれるの 、? 嬉しい。 」
ほんとは、名前じゃなくてすきって言いたい。
「 さっきヤったからかな、感度良くない?すぐいっちゃいそ、もうちょっと我慢してね。葛葉、ほんと感度いいんだから。 」
お前にいじられたから、お前だけでしか感じない。
「 かわい 、 中すごいうねってるよ。僕もいきそ… 、 」
お前だからだよ。
全部お前だけなのに 。
「 …、こんな関係終わりにしたいね。 」
「 叶がやめたいなら、やめれば。 」
そう答えるとすこし哀しげな顔をしてキスをしてきた。煙草の味が残った味がした。苦い、このほろ苦さを忘れたくない。離したくない。
俺だけの苦みであってくれ。