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「やばい、」

青年は突然唸った。隣の客が振り向いた。

青年は手帳のカレンダー欄を広げて見比べ、指をあっち、こっちにはわす。

「ああ、ここもぶつかってる。ってことは、ここもだ」

青年は自動車部品の仕事のために、あてにならない引越の仕事を動かし、ずらした引越の仕事とぶつかるコンビニの日程をずらし、それにともなう余暇の予定や学業の予定をずらすという作業に取り組みはじめた。

「何でそんなに持ってるわけ」旅人の口調まで焦り口調になる。

「大したことじゃない、予備だよ予備」

青年は手帳を、学業用、仕事用、プライベート用に分けている。さらに、仕事用は各仕事ごとに一冊ずつある。

関係者に電話をかけるうちに、オベリスクの影が伸びはじめた。青年が席を立とうとすると、さっきサバサンド出してもらったからここは僕がと旅人が言った。

「こう見えても、俺はコンスタンティノープル市民だよ。君はこの街のゲストだ」青年は胸に手を置き、自分は最後のローマ人だとも言った。

確かにこの街のルーツは、ビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルだ。そしてその帝国は古代ローマ帝国の末裔であった。しかし、滅亡から五百年以上の時が過ぎている。今この街に住むのは、周りでアップルティーやチャイを片手にしているトルコ人だ。青年のようなギリシャ系は、小数民族である。

天国のアリストテレス

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