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夕方の帰り道。
オレンジ色の光が、やけに長く影を伸ばしていた。
隣には、いつもの距離で歩く人。
黒名蘭世。
今日はやけに静かで、
でもその沈黙が、少しだけ違って感じる。
黒名「……止まって」
不意に言われて、足を止める。
振り返ると、
黒名先輩がまっすぐこちらを見ていた。
黒名「話ある」
短い一言。
でも、それだけでわかる。
────大事なやつだって。
真白「……はい」
小さく頷くと、
ほんの少しだけ間が空く。
珍しく、言葉を探してるみたいに。
黒名「…….ずっと」
ぽつり、と。
黒名「一緒にいると、落ち着く」
静かな声が、まっすぐ届く。
黒名「最初から」
視線が逸れない。
黒名「気づいたら」
一歩、距離が縮まる。
黒名「他、いらないって思ってた」
息が、詰まる。
真白「……それって」
聞き返そうとした瞬間、
少しだけ、優しく遮られる。
黒名「好き」
たった一言。
でも、迷いがない。
黒名「真白がいい」
名前を呼ばれて、
胸の奥がぎゅっとなる。
黒名「…..他じゃなくて」
静かに、でも確かに。
黒名「お前がいい」
そのまま、ほんの少しだけ手がのびて。
触れるか触れられないかの距離が止まる。
黒名「嫌なら、引く 」
黒名先輩らしい、不器用な優しさ。
黒名「でも」
ほんの少しだけ、声が低くなる。
黒名「できれば、引きたくない」
その言葉に、
心臓がうるさくなる。
真白「…….っ」
迷う理由なんて、もうなくて。
真白「……私も」
やっと、声を出す。
真白「好き、です」
そう言った瞬間。
ほんの少しだけ、彼の目が和らいだ。
黒名「……よかった」
小さく呟いて、
今度は迷いなく────
手を取る。
黒名「離さない」
強くもなく、弱くもない力。
でも、それがやけに安心できて。
真白「…..はい」
頷くと、
黒名先輩は少しだけ近づいて。
黒名「これから、もっと」
静かに続ける。
黒名「近くなる」
その言葉に、
少しだけ照れながらも笑う。
────たぶんこれから、
もっと特別になっていく。
そんな予感だけが、確かにあった。
コメント
2件
ああああああああッッおめでとうッッ