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「それじゃあ連絡先交換しましょう?」
「連絡先ですか?」
「うん。明日大丈夫だったら連絡して!」
「あ……はい、それじゃあ……」
こうして二人はごく自然な流れで連絡先を交換することになり、それから暫くして辺りが少しずつ暗くなってきたこともあり、
「そろそろ帰りましょうか」
里菜がそう声を掛けると和葉も頷いた。
別れ際詩音は名残惜しそうにしながらも帰り道では今日の出来事を嬉しそうに話し続ける。
「たくやくんやさしいし、すごくたのしかった!」
「そっか、良かったね。凄く楽しそうだったものね」
詩音の弾んだ声を聞きながら和葉も千宙も自然と頬を緩めていた。
その日の夜、仕事から帰ってきた湊に和葉は今日あったことを話した。
「今日、里菜さんっていう人と知り合ったの。詩音も卓也くんと遊べてすごく楽しそうで……」
「そうか」
「それで、里菜さんからまた明日も会わないかって誘われたんだけど……どうすればいいと思う?」
湊は相槌を打ちながら話を聞いていたものの、ふと何かを考えるように黙り込んだことでその様子に和葉が首を傾げた。
「……どうかした?」
「いや」
一瞬考えたあと湊は言葉を続けた。
「和葉も詩音もいい気分転換になるだろうし、いいんじゃないか?」
「そうかな?」
「ああ」
その言葉を聞いた途端和葉の表情が明るくなる。
「それじゃあ、明日も少しだけ会ってくるね」
「ああ」
和葉は嬉しそうにスマートフォンを手に取ると早速里菜へ連絡を始めた。
その姿を眺めながら湊は何気ない顔のまま考えていた。
(大内 里菜……一体どんな人物なんだ?)
突然声を掛けてきて、和葉の心を掴んだ女性。
初めから疑ってかかるつもりはないし、和葉の交友関係まで制限する必要もないと思っている。
けれど、父親からの妨害があるかもしれない。
これまでのことを考えると有り得ない話ではない。
それに万が一にも和葉や詩音に何かあってからでは遅い。
そう思った湊はまず千宙にメッセージを送った。
《今日会った大内 里菜はどんな女性だった?》
暫くすると千宙から画像付きの返信が届き、湊が画像を開くとそこには公園のベンチに腰掛けている和葉と里菜が談笑している姿が写っていた。
(流石だな)
千宙の有能さに感心しながら湊は画像をじっくりと確認するも、そこに写っている女性には見覚えがなく、そのことにひとまず胸を撫で下ろす。
(梓沙が近づいてきたのかと思ったが……そうじゃねぇみたいで安心した)
けれど、だからといって完全に安心出来たわけではない。
(……梓沙や親父の差し金って可能性もあるからな)
念の為と湊は次に真宙へメッセージを送った。
《千宙から画像を貰って大内 里菜という女について調べてくれ》
送信して間もなく真宙から返信が届く。
《畏まりました。早急に調査致します》
その文面を確認すると湊はスマートフォンを伏せて再び和葉へと視線を向けると、和葉はそんなことなど何も知らず嬉しそうにスマートフォンを眺めていた。
時折、小さく口元を緩める和葉の横顔を見つめながら湊は小さく息を吐く。
(和葉が安心して付き合える相手なら、それでいい)
そう思う一方で胸の奥には拭いきれない不安が残っていた。
翌日、約束通り和葉は里菜と公園で会っていた。
勿論前日同様千宙も一緒に来ている。
「弟さんとはいつも一緒なの?」
「ああ、今ちょっと居候させてもらってるんで手伝えることは手伝おうと思って俺のほうから付いてきてるんですよ……もしかして、お邪魔でした?」
「えっ?」
思いがけない返しだったのか里菜は慌てて首を横に振った。
「ごめんなさい、そういうつもりじゃないの。仲が良いんだなって思っただけだから……気を悪くしたならごめんなさい」
「いえ、別に気にしてないんで」
千宙は気にした様子もなく笑うと詩音たちの方へ視線を向け、
「それじゃあ俺は詩音ちゃんたちと一緒にいますね」
「あ……うん、よろしく……」
#ヤクザ
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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千宙が詩音たちの元へ向かうと和葉と里菜の二人きりになり、千宙の背中を見送りながら里菜が申し訳なさそうに口を開いた。
「弟さん、気を悪くしちゃったかしら……」
「あ、その……大丈夫だと思いますから、気にしないでください」
「そう? よかった……」
それでも気になっているのか里菜は少し困ったように笑った。
「ごめんなさいね、私、思ったことをすぐ口にしちゃう癖があるから……」
「いえ……」
和葉はそんな彼女を見て柔らかく微笑んだ。
「今日はありがとうございます」
「そんな。こちらこそ、会ってくれてありがとう。卓也もね、詩音ちゃんと遊べて楽しかったみたいで帰ってからも嬉しそうにしてたのよ」
「うちもです。詩音もすごく楽しそうでした」
そんな穏やかな会話が続く中、里菜はふと思い出したように尋ねた。
コメント
1件
みぅです、読ませてもらいました🥀 里菜さん、すごく自然に和葉さんに近づいてきて……。 湊さんの「親父の妨害があるかもしれない」っていう警戒、胸にグッときました。 千宙くんがもう写真撮ってるのが本当に“流石だな”って思うし、 でもその一方で和葉さんが無邪気に連絡してる姿が切ない。 里菜さんの「思ったことすぐ口にしちゃう癖」って言葉も、 それが本当なのか計算なのか……気になる。 次が読みたいです🌙