テラーノベル
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次の日の朝、僕はぼんやりと目を覚ました。
頭が重く、まだ体の芯にだるさが残っている。
涼ちゃんがキッチンで何かを作っている音が聞こえる。
「おはよー、元貴!今日もがんばろうね!」と、相変わらずの明るさだ。
若井はまだ寝起きの顔でリビングのソファに座っていた。
「無理すんなよ。今日はゆっくりいこう」と優しく声をかけてくれる。
僕は小さくうなずきながら、ベッドの端に腰掛けた。
「ありがとう、二人とも」
でも、胸の奥にはまだ重い何かが沈んでいた。
涼ちゃんはテーブルに朝ごはんを並べながら、
「今日こそは失敗しないから!見ててね!」と元気に宣言する。
朝のキッチンは、いつもより少しだけ活気があった。
涼ちゃんがエプロンをつけて、キッチンで腕まくり。
「今日はね、みんながびっくりするくらい美味しい朝ごはん作るよ!」と宣言。
若井は腕を組みながら、「また何か爆発させる気か?」と冷ややかに言う。
涼ちゃんはニコニコしながら、「大丈夫!今日は失敗しない魔法かけたから!」と元気いっぱい。
僕はベッドの端から様子を見ていた。
「…本当に大丈夫かな?」と不安が少し頭をよぎる。
キッチンからは賑やかな音が聞こえてくる。
フライパンを振る音、包丁でトントン刻む音
そして何度か「おっと!」という声。
若井は少し顔をしかめ、「やっぱり危なそうだな」とつぶやく。
でも今回は違った。
涼ちゃんが最後の仕上げに入ると、突然「ジャーン!」
と大げさに声をあげて、出来上がった料理をテーブルに置いた。
それは、ふわふわのオムレツと色とりどりのサラダ、そして焼きたてのパンのセット。
若井が目を丸くして、「おお…今回はちゃんと成功してるじゃん!」と驚きの声。
僕も一口食べてみる。
「あ、美味しい…!」
涼ちゃんは得意げに胸を張りながら、「ね?僕、やればできるんだよ!」と笑顔。
若井も思わず笑みを浮かべて、「これなら毎日でもいいな」と言った。
僕はそんな二人を見て、なんだか心がほっと温かくなった。
小さな奇跡の朝だった。
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