この作品はいかがでしたか?
317
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『』… 誰 か サン
「」… 澤 村 大 地
『……ただいま』
「……おかえり」
すれ違う日々の中で、漸く君を迎えることができた夜。
疲れ切った表情の君は、今にも壊れてしまいそうで。
「風呂、沸いてるぞ」
『…ん』
歯切れの悪い返事。
いつもなら、すぐにお風呂に入るのに。
『………大地?』
言葉よりも先に、体が動いていて。
「……何かあったんだろ」
抱きしめたまま、君に問いかける。
『………大丈夫だから、』
言葉の終わりが少し震えたのを、俺は聞き逃さない。
「…俺には言えないこと、なのか?」
君の目を真っ直ぐに見つめれば、次第に涙が溢れてきて。
『……だいち、っ』
大粒の涙を溢す君を、抱きしめる。
「………全部、話せばいい」
聞かなかったことにしてやる。
伝えれば、君は堰を切ったように話し始めた。
計り知れない、君の苦悩と重圧。
ほんの少しでいいから、軽くしてやれたら。
「……よく頑張ったな」
そっと頭を撫でれば、君の表情が和らいで。
『……ありがと』
濡れた類をそっと拭って、唇を重ねる。
" …頼ってくれて、ありがとな "
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