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「これ、何?」
「何って食事だ。ナイフとフォークを使うのは当たり前だろ。」
ご飯を食べられるのは嬉しいけど、豪華すぎる料理、使い方が分からない銀色の尖ったものと4本に枝分かれしてるもの。これがナイフとフォーク……?
「使うのは初めてか…?」
「うん……。」
「分からないなら別に使わなくていい。どうせここには僕しかいない。手掴みでも構わない。」
そう言われても、咲月さんの視線が鋭くて怖い。それに、これからはこれが当たり前になるんだから、覚えなきゃいけないよね。
「いい。頑張って使う。」
尖っているほうで料理を切っていく。ギコギコと食器と擦れる音が響く。メイドさん(?)と言われる人たちにクスクスと笑われている気がする。それでも、私は切るのをやめない。
「命、今お前が使っているのはナイフだ。もう1本がフォーク。左手でフォークを持って、料理を押さえながら右手でナイフを使って切れ。」
如月さんに言われた通りにやってみると、さっきまで全然できなかったのに簡単に料理を切ることができた。フォークに刺し口元へ運ぶ。今までの食べたことのない味に感動した。世の中にはこんなにも美味しいものがあるのか……
「な、なによ、そんなに見たってあげない…。」
「別に要らないって。ただ、見てて面白いと思っただけ。」
「か、感謝なんかしないから…。」
「喋る暇あるならとっとと食べろ。お前には、後で玩具の役割を果たしてもらわなきゃいけないからな。」
食事がこんなにも幸せな時間なんだって思ったことは絶対に言わない。だって…全部計算されているみたいでなんか悔しいもん。