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4 - 💚❤️:禁断を噛じる(2)

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2025年01月30日

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こんばんは、酔々です!


この話は前回の続きです

ちょっと短いんですが次はがっつりRなので許してください😖


では、どうぞ↓↓



ふと顔を上げれば、部屋はすっかり暗くなっていた。時計も見えなかったから、灯りを点けると、七時半。もうすぐそこまで冬が迫っていた。


「…アルケー」


謝らなきゃ。結局傷付けたのは俺だから。

そう思って、アルケーの部屋のドアを控えめにノックした。


「入っていいぞ」


ドアを開けると、アルケーはこちらに背中を向けて座っていた。どうやら何か作業していたようで、デスクトップパソコンが四角く光を放っている。


「さっきはごめん、」


「俺も、言い過ぎた。すまない」


いつもよりずっと小さな声が出た。弱気な謝罪に、アルケーが振り返る。その顔は、先ほどと変わらず笑みが無い。目力が強いから、睨まれているようにも感じた。それとも、睨んでるのか。そんなふうに考えてしまって、声帯が音を伴わず震えた。

アルケーも謝り返してくれて形だけの仲直り。だって、根本的には何も解決していない。俺はこれからも吸血を拒むだろうし、アルケーは吸血を勧めてくるだろうから。

沈黙が訪れる。パソコンの発する小さなノイズだけが部屋に響いた。


「…かなめ」


今度は、アルケーが小さな声で言った。


「俺の言うこと、信じてないだろう?」


俺の言うこと、というのは血を吸われるのを望んでいる、という言葉か。それならば、正直に言えば信じられなかった。


「だって…アルケー怖がってたでしょ

それに、アルケーには何の得も無いし」


「確かに、得はないかもな」


「じゃあっ、なんで」


血を吸わせてくれようとするの。そう言おうとした、刹那。白い腕がのびてきて、俺の頬を包む。冷たい、と感じた瞬間に口を塞がれた。

唇を触れ合わせるだけの、押し付けるだけのキス。

声が出せない、というより驚きに言葉を失う。


弾かれたように顔を上げると、アルケーは思い詰めたような表情をしていた。


「…かなめは、俺を大切にしてくれるよな」


アルケーが呟く。普段からは想像もつかない、風が吹いたら飛ばされるくらい弱々しい声だった。

そんな声初めて聞いたから、呆然と口を開いたまま固まってしまう。


「でも、それが辛い時がある

俺は何もあげれてないのに、貰ってばかりで苦しい。こいびと、なのに

恋人には、笑ってほしいだろ」


声がだんだんと大きくなっていく。アルケーのオッドアイは潤んでいて、涙声が混じり始めた。


「お前はいつも優しい。けど、嫌だ

俺だって、お前のこと大切なんだよ

最近、鏡見てないだろ。酷い顔だぞ。そんな顔してほしくない、!

自分を蔑ろにしてまで大切にされたって嬉しくない!」


「そんなに、思ってくれてたんだ」


最後は半ば縋るように言い切ったアルケーの肩は上下していた。

開きっぱなしの口は、脳を介さない脊髄の自己判断でひとりでに動いた。俺だけだと思ってた、その言葉は口に出したのか思っただけだったのかもわからないくらい、混乱している。


「恋人だからな」


「先ほど得は無いと言ったが、訂正する

恋人が自分に夢中になっているのを見るのは、うれしい」


アルケーはそう言って頬を染めた。恋する乙女しか出来ない、純真で妖艶な笑み。

その微笑みに、幾つもの鍵をかけて厳重にしまっていた言葉が零れてしまった。


「アルケー、血、飲んでもいいの」


「俺はずっと望んでいただろう?」


アルケーはいつの間にかいつもの尊大な笑みを浮かべて答えた。ああ、そっか。嘘じゃなかったんだ。


アルケーは得意げに、でも恥じらいながら続ける。


「まずはこの俺をあげるから、特別に抱かれてやってもいいぞ?」


【続】

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